●SEの働き方には[自社開発][受託開発][客先常駐]の3種類があるため、志望する企業の働き方はあらかじめ把握しておく。
●SEの志望動機を書く際は[なぜその職種か][なぜその企業か]を深掘りしてから書く。
SEは長時間労働で大変といったイメージを持っている人も多いでしょう。確かに、新しい知識や技術を常に学ばなければならず、忙しい仕事の合間に勉強する必要があります。
しかしながら、積極的に新しい技術を身につけることでステップアップすることができ、自分の能力の向上を実感してやりがいを感じることができます。
ITはこれまで、私達の生活を劇的に変えるイノベーションを起こしてきました。SEは、そのイノベーションを担う職種と言っても過言ではないでしょう。
そして現在はIT企業以外でもDX化が推進されているため、多くの企業がIT人材の必要性を感じており、SEの需要は今後も高まっていくことが予想されます。
企業がSEを求めるニーズは増えているものの、志望する企業から内定を獲得するためには、質の高い志望動機を書かなければなりません。
そのためにもまずSEの業務内容や働き方を理解し、志望動機の例文を参考に書き方のコツを掴みましょう。
SEの仕事内容を理解しよう!
システムエンジニア(SE)は、クライアントの要望や課題を解決するために作成するシステムやソフトウェアの設計をおこなうことが仕事です。
システム開発は一般的に下記の流れで進められますが、SEはその中でも上流工程である『要件定義』『基本設計』『詳細設計』を主に担当します。
それぞれの工程について詳しく見ていきましょう。
要件定義
クライアントと打ち合わせをおこない、どのようなシステムを希望しているのか、またどれほどの予算や規模なのかをヒアリングします。
開発期間や費用を定め、どのようにしてクライアントの要望に応えていくかを決定し、『要件定義書』と呼ばれるドキュメント文書にまとめます。
要件定義書は、クライアントを含む開発に関わるメンバー同士の認識齟齬をなくすために作成するもので、この後のフェーズである基本設計や詳細設計でのベースとしても活用されるものです。
システムにあまり詳しくないクライアントであったとしても、要件定義書を読めば「どういうシステムが開発されるのか」が確認できるように内容をまとめる必要があります。
基本設計
要件定義ができたら、そのシステムを実現させるために実装する機能を明確化していく基本設計をおこないます。
主にユーザーから見える仕様の設計のため『外部設計』とも呼ばれ、ユーザーがそのシステムを利用したときにどのように動作するか、表示方法や操作方法のスタイルはどうするかなど、様々な仕様を決める工程です。
基本設計では下記項目を含めた『基本設計書』を作成します。
●業務フロー図、システム構成図
●画面設計図
●帳票設計図
●バッチ設計図
●データベース設計図
●外部インターフェース設計図
詳細設計
基本設計で決めた実装予定の機能を「どのようにプログラミングしていくか」を決めるのが詳細設計です。
基本設計とは反対にユーザーからは見えにくい仕様の設計となるため、『内部設計』とも呼ばれており、プログラマーが設計書を見ればプログラミングできるように細かく設計をしなければなりません。
詳細設計では下記項目を含めた『詳細設計書』を作成します。
●モジュール構成図
●アクティビティ図
●シーケンス図
プログラミング
詳細設計をもとに、SEはプログラマーに機能の開発依頼をおこないます。
一般的にプログラミングはプログラマーがおこなうため、SEが手を動かすことはありません。
しかし、プロジェクトの規模や企業によってはSEもプログラミングをおこなう場合があるので、SEでもプログラミング言語の習得は必要でしょう。
●PHP
●Java
●Python
●C++、C#などのC言語
テスト
プログラミングが終わると、システムが設計通りに動作するかを確認します。
万が一バグや不具合が見つかった場合は、設計通りに動作するまで何度も修正をおこない、最終的にクライアントへ納品、という流れになります。
プログラマーやPMとの違いは?
一言で『エンジニア』としてまとめられてしまうことが多いSEとプログラマーですが、どう違うのか分からない就活生もいるのではないでしょうか。プログラマー以外にも仕事内容が混同しやすい職種としてPMが挙げられますので、エンジニアと何が違うのかについて確認しておきましょう。
■プログラマーとの違い
SEとプログラマーでは任された業務の範囲が異なります。
SEは、主にクライアントとの窓口として設計書を作成します。社内外の人とやり取りが多くなるためコミュニケーション能力は必要不可欠でしょう。
プログラマーは、SEが作成した設計書をもとにプログラミングをおこなうのが仕事です。専門性の高い職種のため、高度なプログラミングスキルが求められます。
ただし前述したようにプロジェクトや企業によってはSEとプログラマーを兼任することもあるため、志望している企業の業務範囲が事前に把握できていると対策しやすいでしょう。
■PMとの違い
SEはシステム開発の現場責任者であり、そのSEの上に立ってプロジェクト全体の管理をおこなうのがプロジェクトマネージャー(PM)です。
PMはプロジェクト全体を統括し、クライアントへの企画立案、予算管理、チームメンバーのアサイン、プロジェクト進行管理などをおこないます。
どちらもコミュニケーション能力が求められますが、PMはチーム管理能力やリスク管理能力なども求められるでしょう。
SEとしての働き方3選
『SIer』や『SES』という言葉を耳にしたことがある就活生も多いのではないでしょうか。実はどちらもSEとしての働き方を指す言葉です。
SEとしての働き方には、『自社開発』『受託開発』『客先常駐』の3種類があります。
どの働き方になるかは企業次第になりますが、企業軸で就活をするか、働き方軸で就活をするか、によって志望動機も変わってきます。
そのため、SEとしての働き方についてはあらかじめしっかりと理解しておきましょう。
自社開発
自社開発とは、自社のサービスや製品を自社内で開発し、運用、販売までおこなうことを指します。
自社内でプロジェクトが進んでいき、ゼロから企画や開発に携わることができるため、これをやりがいに感じている人も多いでしょう。また、開発にあたってクライアントが存在しない点も特徴です。
自社開発の中でも『一般ユーザーが利用するシステムの開発』と『社員が利用するシステム(社内インフラ)の開発』の2種類に分けられます。
受託開発
クライアントからの発注を受けて開発をおこなうのが受託開発です。
受託開発をおこなう企業をSIer(エスアイヤー:System Integratorの略)と呼びます。
クライアントから請負契約として案件を受注し、開発したものを期日までに納品することが一般的な流れです。
予算やシステムの仕様、機能の最終決定がクライアント側にあるため、要望を叶える提案をするためにも、しっかりとヒアリングをおこない、コミュニケーションを取ることが大切でしょう。
客先常駐
客先常駐は、クライアント企業のオフィスに常駐してシステム開発をおこなうことで、SES(System Engineering Serviceの略)とも呼ばれています。
受託契約との大きな違いは、納品物に対する完成義務の有無です。
客先常駐はシステムの完成が目的というより、開発に必要な人材の確保の意味合いが強く、SEとして技術を提供する働き方であるのが特徴でしょう。
新卒でSEを目指す場合に志望動機を書く際のポイント
志望動機を書く際は、なぜその職種なのか、その職種の中でもなぜその企業なのかを明確にし、ロジカルにアピールできるようにしましょう。
なぜSEを目指しているのか?
多くの職種の中から、なぜSEを選んだのかを説明する必要があります。
「IT関連の専門スキルを身につけたい」や「最先端の技術開発に携わりたい」といった志望動機を自分の体験を織り交ぜて伝えることが、説得力のある志望動機を書くポイントです。
例えば、「学生のころにロボットコンテストに参加したことがきっかけで、ロボット開発に携わりたいと思うようになった」といった具体的な内容を盛り込むと、印象に残る志望動機になるでしょう。
新卒の就活においては、多くの就活生が知識やスキルを証明できる実務経験がないためポテンシャルが重視される傾向があります。
これまでの経験を踏まえて、SEとして働くことができるポテンシャルをアピールできると、書類通過に繋がりやすいと言えるでしょう。
なぜその企業を志望しているのか?
SEといっても、働く分野は多岐に渡ります。また、各領域において国内外のシェアを持っている企業や設立間もないベンチャー企業など、企業の立ち位置も様々です。
たとえば、サイボウズは「グループウエアで世界No.1」の実現を目指しています。
「世界No.1を目指す企業だからこそ、その企業で自分の力を試してみたい」などの意欲を志望動機に記すことで、企業研究をしていることが伝わるでしょう。
企業でどのように働いていきたいのか、自分の将来像を伝えることにより、採用後のイメージもつきやすくなります。
SEでアピールすべき強み
SEとして働くには、IT関連業界への興味や関心があることが前提と言えます。
IT業界の技術革新は非常にスピードが早く、常に知識や技術のアップデートが求められるため、IT業界での就職を目指し、独学で学んだプログラミングの知識や技術を示すことができれば、積極性や意欲をアピールできるでしょう。
また、クライアントとの窓口やチームでの仕事が多いため、コミュニケーション能力も求められます。
アルバイトや部活において、人とのコミュニケーションを大切にしてきたエピソードなどを盛り込むことで、より良い志望動機となるでしょう。
自分の強みを洗い出し、SEとして働くにはどのような資質が求められるのかを考察して、説得力のある志望動機を作成しましょう。
志望動機の書き方、考え方を詳しく知りたい人は下記をご覧ください。
新卒でSEを目指す場合の志望動機の書き方
志望動機を書く際は以下のフレームワークに沿って書くようにします。
作成した志望動機は第三者に一度読んでもらうのがオススメです。
志望動機は企業に送る『自分のプレゼン』です。無理に長くする必要はなく、シンプルかつ丁寧で分かりやすい文章を書くことを意識しましょう。
結論から
まずは結論から書き始めましょう。
志望動機において人事担当者が一番に読む部分は『書き出し』です。ここで人事担当者に「読みたい」と思ってもらえなければ、おそらく志望動機は最後まで読んでもらえません。
志望動機の書き出しでは、「○○を成し遂げたいと思い貴社を志望しています。」のように『この企業に就いて成し遂げたいこと』を述べます。
複数ある場合は「〇点ある」と書き始めるのも良いです。
働いていく中でどんなことを成し遂げたいかを伝えることができると、意欲を示すことができるでしょう。
エピソード
次に、なぜ「成し遂げたい」と思ったのか、背景やエピソードを書きましょう。
きっかけとなった過去の経験や自分の行動を具体的に書くことで、志望動機の裏付けとなり、説得力をつけることができます。
しっかりとした目標や強い思いがあったとしても、志望動機と自分の経験が結びついていないと信憑性や説得力に欠けてしまいます。
学んだこと
エピソードを書いたら、その経験から学んだことを書きましょう。
人事担当者は「その経験から何を学んだのか」を知りたがっているため、自分のエピソードをただ伝えるだけではいけません。
学んだことを具体的にアピールし、人事担当者に入社後の活躍をイメージしてもらえるよう自分の思いを伝えることが大切です。
思いを伝えようとつい長くなってしまいがちですが、ここでも簡潔に丁寧に書くことを意識しましょう。
入社後
入社後にどのように活躍したいか、企業にどう貢献できるかを書きます。簡単に言うと『自分を採用するメリット』です。
事業や仕事内容、企業の目指す姿などを盛り込んで書くことができると、人事担当者にイメージしてもらいやすくなります。
最後に改めて志望している旨を伝え、締めくくります。
SEのの志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文および考察から、書き方を学び自身のESや面接に活かしてみましょう。
以下では文系、理系、それぞれからSEを目指す場合の例文を、それぞれ働き方別に紹介します。
文系からSEを目指す場合の例文
自社開発
貴社ではSEとして、学ぶことが好きな性格を糧に、日々進歩するIT技術を学び続け、塾講師の経験を活かした顧客目線で潜在的要望を汲み取り、調整力を活かしてプロジェクトを円滑に進める。
⇒自分の経験を踏まえてなぜSE、業界を志望しているのか具体的に書かれているため説得力がある回答です。
「何にやりがいを感じるか」、「学ぶことが好きな性格」という点からも、人柄や入社後の姿をイメージしやすい内容であると言えるでしょう。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(日立製作所24卒)
受託開発
1つ目は、フルスタックなサービスを提案できる点だ。各種サービスを統合的に自社で提供できるため、顧客の負担を軽減し、要望に対して柔軟に対応できる。2つ目は、Tier1プロバイダとしてグローバル展開している点だ。データセンターなどのICT基盤を用いて190以上の国/地域にサービスを提供しており、海外進出する企業に対しても手厚くサポートできる。
豊富なノウハウとグローバル展開力のある貴社ならば、変革に対して不安を抱く顧客を支えることができる。そして私の「課題解決力」を発揮することで、顧客の困難な課題に対して変革を起こし、豊かな未来を共創できると確信している。
⇒「理由が〇点ある」と書いてあることで、その後の流れが分かりやすい書き方になっています。
企業の特徴や自分の「課題解決力」という強みについても交えて回答できているため、説得力があり印象に残りやすい志望動機になっていると言えるでしょう。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(NTTコミュニケーションズ23卒)
客先常駐
⇒企業の強みや技術について指摘できており、特徴を把握できているという印象を与えられているでしょう。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(富士ソフト24卒)
理系からSEを目指す場合の例文
自社開発
⇒旭化成グループのシステムを支えてきたという企業特徴を把握できている回答です。
また、なぜ業務効率化をしたいのか、企業に興味を持ったのか、が具体的に書かれているため信憑性のある回答になっています。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(AJS23卒)
受託開発
貴社では、地方拠点でも大都市圏のお客様のシステム開発、保守の業務をリモートで実現することによってネット証券や大手通信会社のシステム開発など大規模な開発プロジェクトに携わっていけるのが魅力の一つです。また、ワークライフバランスにも力を入れており、好きな場所で自分らしく働き続けることができ、SIerとして最先端の知識や技術を学ぶことで自分自身も成長できると考えています。貴社で、システム開発を通してお客様の期待に応え、さらに新たな価値を創造し、企業や社会に貢献していきたいと思い志望いたしました。
⇒拠点問わずクライアントを支援する体制が整っているという特徴を踏まえて、自分が叶えたい働き方が企業とマッチしていることを具体的に書くことができており、信憑性があります。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(SCSKニアショアシステムズ24卒)
客先常駐
1つ目は、多様なお客様のビジネスや社会の発展に寄与できることです。業務などのIT化・DX化へ取り組む企業が増えており、ITはどの産業においても必要不可欠なものになっています。SEは、幅広い業界をシステム開発の面から支えられる点に魅力を感じました。2つ目は、技術を身に付け自身の成長を実感しながら、企業成長に寄与できることです。進化のスピードが速いIT業界で最新の技術スキルを身に付け、お客様と関わる中でコミュニケーションスキル等を培うことで、市場価値の高い人材であり続けたいです。
スキルを身に付けながら社会や企業成長に寄与できることは、やりがいも大きいと感じました。
⇒理由を具体的に書くことができています。「1つ目」「2つ目」と分けることで理由の分類分けができ、自分と人事担当者の双方にとって簡潔に分かりやすい内容にまとめることができます。
SEとして働く上で必要なスキルや自分の成長についても触れられているため説得力のある回答になっていると言えるでしょう。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(システナ24卒)
SEの志望動機のNG例
以下ではSEの志望動機NG例を紹介します。どこがNGなのかについても解説しているので、チェックしてみてください。
私は、1人でもきちんと時間管理ができるので、パソコンを用いた仕事に向いています。自分の得意分野で、人のためになるような仕事ができるように精進したいと考えています。
⇒この志望動機では、SEとしての知識が足りていないことがわかります。
確かにプログラミングはPCを使いますが、ワープロやエクセルといった知識は、エンジニアの仕事とあまり関係ないですし、SEとして必要なシステムを設計するという点に全く触れられていません。
志望動機を作成する際には、その仕事内容をきちんと理解することが大事です。
志望する職種や企業についてきちんと研究せずに志望動機を作成すると、的はずれな内容になってしまうため注意しましょう。
まとめ
本記事では、SEを志望している新卒向けに、仕事内容や志望動機の書き方、例文について紹介してきました。
SEは理系、文系関わらず新卒からでも目指すことができます。長時間労働で大変というイメージもありますが、クライアントの要望を叶えるためにシステム設計し実現させていく、やりがいのある仕事と言えます。
志望動機を書く際は、本記事で紹介したポイントを念頭に置き、伝えたい内容の要点を抑えて簡潔に書くことを意識しましょう。
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