DTPオペレーターのDTPとは英語の”DeskTop Publishing (卓上出版)”の頭文字をつなげた単語で、パソコンに入力して印刷データを作成する人のことです。
DTPオペレーターは、印刷物を制作するための設計図を作る技術者ともいえ、印刷業においては重要な位置を占める仕事をこなしています。
一般には「専門的な技術職で難しそう」「特別なスキルが必要なのでは?」と思い込みがちで、また「印刷業界」と聞くと「残業が多い」という先入観を抱く人も多いようですが、決してそのようなことはありません。
初歩的なパソコンソフトの知識が必要なだけで、未経験者でも充分に就職が可能です。特に学生など若い世代の台頭が望まれている職種でもあります。
時代の流れに乗って、印刷業界の各企業は「時短」「福利厚生の充実」に努めており、魅力ある職場となっています。
さらに、経験を積むことにより、将来はWebデザイナーや空間演出アーティスト、総合出版プロデューサーなどの道も拓けるでしょう。
DTPオペレーターの2つのトピックス
最近のDTPオペレーターには、どのようなスキルが要求されているのかを知りたい就活生もいると思います。
ここでは、DTPオペレーターの実情と将来性について紹介します。
出版不況の影響は?
近年のネット媒体の爆発的普及による出版不況で書籍・雑誌などの旧来の出版事業は縮小を余儀なくされていますが、チラシ、カタログ、情報誌、専門誌、看板などの広告媒体は依然として高い集客力を有しており、少子化の影響で、どの企業も若い世代の人手不足が叫ばれているほどです。
したがって、出版不況の時代における求人について、就活生が心配する必要はないといえます。
これからのDTPオペレーター
DTPオペレーターは、ディレクターやデザイナーの指示により印刷データを完成させるのが基本的な仕事ですが、ただ指示通りに入力するパンチャーとは仕事の質が異なります。
これからのDTPオペレーターに求められるのは「創造性」です。クライアントの要望を汲んで、よりよい内容のものに仕上げる感性が求められているのです。
既成概念にとらわれない若い世代にとって、現場で活躍できる環境が充分に備わっているともいえるでしょう。
DTPオペレーターで得られるスキル
建築に例えると、建物を設計する部門に相当するのがDTPの部署です。
そこで働くDTPオペレーターが、仕事の経験を積み重ねて得られるスキルについて以下に挙げてみましょう。
印刷データの基本的レイアウトの作業スキル
DTPオペレーターが作成する印刷データが印刷事業の作業工程における最初のステップです。
印刷データが完成しなくては次のステップに進めないわけですから、作業管理上も重要で、それなりにスキルの高い人材が配置されています。
DTPオペレーターの仕事を数年経験すれば、印刷会社だけでなく広告代理店やデザイン事務所、セールスプロモーション企業などへの転職も充分に可能です。
画像加工・文字組版などの作業スキル
DTPオペレーターの部署に寄せられる案件は、印刷物が必要な企業なら全ての業種が対象となります。
そしてその案件自体も、最初から決まっている具体案に沿って作成する簡単なものから、画像加工や文字組版などが「おまかせ」となっている案件もあります。
そのような案件では、DTPオペレーターにもデザイナー並みのスキルが要求されることがあり、これに応えることができるスキルを持つスタッフが「一流のDTPオペレーター」としての評価を得ることができるのです。
コミュニケーション能力
DTPオペレーターは、指示された通りの作業をただ黙々とこなせばよいというものではありません。
大きな仕事では、最初の企画会議からDTPオペレーターも参加することも多く、指示を聞く受身の立場であっても「指示内容の理解力」「不明な箇所を確認するための適切な語彙」「相手に理解されやすい伝達力」などは必須であり、すなわち他のスタッフとの「コミュニケーション能力」が要求されます。
経験を積んだ信頼されるDTPオペレーターのほとんどは、このコミュニケーション能力に長けた人材なのです。
DTPオペレーターの仕事内容
DTPオペレーターは、印刷工程作業事業を多人数で仕上げるプロジェクトの一部署のスタッフです。
それでは、DTPオペレーターが実際にどのような仕事をしているのか、その作業内容の概要を以下に紹介しましょう。
打合せ
印刷物をどのような内容にするのか、主要なスタッフが集い、クライアントの要望を聞きながら、ラフ案を決めます。
決定後は社内スタッフのみで工程のスケジュールを決めていきます。
原案作成
スケジュールが決定すると、最初の工程は「原案作成」です。打合せで決まったラフ案をもとに最終原案を決めます。
原案はクライアントに送られ、この時点で修正が入ることもあります。
以上この工程までは、DTPオペレーターとしての実務責任者が参加することが大半です。
原稿データ作成
ここから、DTPオペレーターの作業工程がスタートします。
専用ソフトを用いてパソコン上で形を作っていきます。複雑な内容のものは複数のスタッフが分担して担当するこもあります。
デザインの修正・調整
完成したデザインデータは、社内の各部署の意見を集約した後、内容修正や色彩の校正修正・調整(色校)が行われます。
内容によっては、数度の修正を要する案件もあります。特に、ファッション系や芸能系、飲食系の色校正は、入念に行われます。
文字校正
文字や数字が少ない案件では、デザインと一緒に文字校正することもありますが、印刷物の場合、文字と数字の誤りは致命的ミスとなり、場合によっては莫大な金額の損害が発生することさえあります。
したがって、大手企業では文字校正と校閲の専門部署があり、そこで確認作業を行いますが、一般的には文字校正もDTPオペレーターが行っています。
最終修正・校了
クライアントも参加しての最終段階です。この段階の最終チェックで最後の修正作業が入ることもあります。
また、クライアントの都合で急遽内容の差替えが行われることも少なくありません。
最終確認が完了すれば校了となり、データは印刷所に送られます。
印刷・納品
大手の印刷会社では自社で印刷・輪転機を所要しており、DTPオペレーターの実務責任者も立ち会い、狙い通りの色が出ているか、最終調整を行うことがあります。
印刷物が刷り上がったらクライアント企業に現物を納品し、プロジェクトの終了となります。
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DTPオペレーターの志望動機の書き方とポイント
就活中の学生に、求人企業が求めるDTPオペレーターとしての資質は、決して学生が現在持っているスキルではなく「我慢強さ」「協調性」「性格の明るさ」などの性格面であり、DTPオペレーターとして最低数年間は修業するという心構えです。
そのような性格と心構えが、はっきりと相手に伝わるような志望動機にしたいものです。以下に、DTPオペレーターの志望動機の書き方と例文について解説します。
なぜその職種を選んだのか
自分がなぜDTPオペレーターを就職先として志望するに至ったのか、その理由を具体的かつ明確に述べましょう。
例えば「大学の授業で印刷実習があり、実際に自分が手掛けた原稿がきれいな印刷物になる工程に強く興味を持ったことがきっかけで」というような志望の理由が企業の担当者にはっきり伝わることが採用の第一歩となります。
DTPオペレーターとしてアピールすべき強み
ここでは、自分の性格がいかにDTPオペレーターに向いているか、という点についていくつか紹介します。
例えば「協調性がある」「責任感が強い」「探求心が強い」などが挙げられ、アピールすべき強みといえます。
これまでの学生時代の活動やアルバイトの経験から、それらの強みを培ってきたことをアピールできるといいでしょう。
なぜその企業を選んだのか
DTPオペレーターを必要としている求人企業は、「教材制作会社」「広告物制作会社」「印刷物全般制作会社」「デザイン会社」などいくつかの業種があります。
自分がなぜその企業を選択したのか。各企業の特徴を踏まえた上で、その企業を選んだ理由をはっきりと述べましょう。
実際に書く際は以下のフレームワークに沿って書いてみてください。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の書き方、考え方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
関連記事:
・志望動機の書き方~選考通過率をUPさせる方法~
・志望動機の正しい考え方やコツ~「志望動機がない…」と悩んでいる人必見~
DTPオペレーターの志望動機のNG例
以下ではDTPオペレーターの志望動機NG例を紹介します。どこがNGなのかについても解説しているので、チェックしてください。
就活では、人付き合いが苦手な性格なので、デスクでパソコンを操作する仕事がいいと思っていました。
就活・求人サイトなどを見て、DTPオペレーターなら自分に合っていると考え、志望することになりました。
DTPソフトは扱ったことはないのですが、御社の求人要領には「未経験可」となっていたので、入社後の研修で少しでも早く覚えてお役に立てればと思います。
どうぞよろしくお願いします。
→志望動機が「パソコンが好きだから」だけなので、採用側に伝わるインパクトがありません。
オフィスやデザインソフトは誰でも使えるので、これができるだけでは印象が弱いといえます。
さらに「人付き合いが苦手」というのも大きなマイナス要因です。DTPオペレーターの仕事は、単にデスク上でパソコンを操作するだけではないからです。
作業課程で頻繁に打ち合わせやミーティングがあり、スタッフとのコミュニケーションスキルがかなり重要視される仕事なのです。
各企業を研究した形跡もないし、入社後の夢も述べていない点もマイナスポイントで、これでは「入社してもすぐに辞めてしまうだろう」と思われてしまいます。
DTPオペレーターの志望動機の例文
以下に、DTPオペレーターの志望動機の例文を示します。
この例文をよく読み「なぜこの文章が良いのか」という点を、解説文を熟読して深く理解することが大切です。
大学では、DTPの基礎を学び、DTP検定も取得し、就活ではDTPオペレーターに絞り、多くの企業の事業内容を調査しました。
数ある企業の中で、日本で初めて大型オフセット印刷を手掛けられた御社だけに、独自の高度な技術があり、自分を研鑽するのに最適な職場環境だと直感しました。
さらに御社は、文化財の復元事業という社会貢献度の高い仕事を展開されている点にも大きな魅力を感じ、志望しました。
入社後は現場で経験を積み、将来は御社でデジタルサイネージや空間演出の分野で仕事することを夢見ています。
→DTPオペレーターを志望することになったきっかけが具体的に述べられている点に好感が持てます。
そして、就職を見据えて検定を取得している点もプラス材料で「DTPオペレーターとして頑張る」という意気込みが感じられます。
さらに、将来の夢も具体的に述べていることから「向上心があって長く働いてくれる人材」との評価を受けることができる文章となっています。
レベルの高い例文集を見たい方は下記をご覧ください。
まとめ
DTPオペレーターは、印刷物の作成に必要な専門職ですが、「Word、Excel」などのオフィス系や「Photoshop」「Illustrator」などのデザイン系ソフトがある程度できれば未経験でも就職可能な業種です。
また、印刷業界には多様な職種があり、将来はWebデザイナーやグラフィックデザイナー、出版プロデューサーなども目指せます。
DTPオペレーターの求人企業をよく研究した上で、企業が欲する人材と思われるような志望動機を書くようにしましょう。
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