●主な職種として「営業部」「損害サポート部」「コーポレート部」がある
●損害保険会社の営業では、保険商品への専門知識、コミュニケーション力、マネジメント力を身に着けることができる
損害保険は、予期せぬ事故によって生じた損害をカバーするためのものです。
代表的なものとして、自動車保険や火災保険があります。損害保険があることによって、生活における様々なリスクを減らすことができ、私たちは安心して毎日を送ることができます。
本記事では損害保険業界で評価される志望動機の書き方を例文とともに紹介しますので、是非参考にしてみてください。
損害保険業界とは?
志望動機を書き始める前に、簡単に損害保険業界について理解を深めましょう。
損害保険業界とは、保険業法にもとづいて自然災害や事故などにより生じた損害を補填することを目的とした保険商品の企画、開発、販売をおこなう業界のことです。
ここでは、さらに理解するために、生命保険との違い、業務内容、得られるスキルについて詳しく解説していきます。
生命保険との違い
損害保険は「モノ、財産」にかかわるリスクに対する保険である一方、生命保険は「ヒト」に関わるリスクに対する保険です。
また、損害保険は事故や災害によって被った損害分のみを保証する「実損てん補」の保険であるのに対して、生命保険は死亡などの際に事前に決められていた金額を給付する「定額給付」の保険になります。
さらに、保険の販売方法についても違いがあります。損害保険は、代理店を通した商品の販売割合が多いのに対して、生命保険は直接個人に対して営業をおこない契約を取ってくる割合が多いです。
以下の図が簡単に違いについてまとめたものです。
保険業界だけの違いだけでなく、大きな金融業界として見たときになぜ損害保険業界なのかについては、しっかりと考えるようにしましょう。
損害保険 | 生命保険 | |
---|---|---|
保険の対象 | モノ、財産 | ヒト |
補償の仕方 | 実損てん補 | 定額給付 |
販売方法 | 代理店を通した販売が多い | 直接個人への営業が多い |
損害保険業界の業務
損害保険業界での主な職種は、営業部・損害サポート部・コーポレート部の3つです。
営業部
営業部はさらに「リテール営業(一般営業)」と「法人営業」に分けられ、リテール営業では、保険代理店を通して個人や中小企業に保険商品を提供していきます。対して、企業に直接損害保険販売のために営業をするのが法人営業です。
損害サポート部
損害サポート部では、事故が起こってしまったときに、弁護士や損害鑑定人と連携をとり、保険料の決定及び支払いをおこないます。
コーポレート部
コーポレート部では新しい保険商品の開発や営業の支援などをおこなっています。
また、金融分野の専門的な知識を持つアクチュアリーの資格を取得すると、保険料率や支払保険金額の算定といった、保険業界の根幹にかかわる重要な業務に携わることが可能です。
「損害保険業界についてさらに理解を深めたい!」と思った人は以下の記事も参考にしてみてください。
営業職で得られるスキル
損害保険業界の営業を通して身につくスキルとして3つ紹介します。
①保険の専門知識
代理店や法人への営業を通して、保険商品に関する専門的な知識を得ることができます。顧客のニーズを満たすための提案力にもつながるので、保険の営業をおこなう上で非常に重要なスキルです。
②顧客の悩みやニーズを引き出すコミュニケーション能力
法人、代理店営業ともに取引先とコミュニケーションをとる中で、相手が何を求めているのかを適切に把握し、そのニーズを満たす商品を提案する能力を養うことができます。
③マネジメント力
リテール営業(一般営業)では、代理店を通して顧客に商品の提供をします。経験を積んでくると一定の地域の管轄を任されることもあり、そこで各代理店をまとめて、それぞれの課題を解決していくことで、高いマネジメント力を身に着けることができます。
将来のキャリアプラン例
損害保険業界に就職した後どのようなキャリアパスを歩むことになるのか気になる人のために、いくつかの例を紹介します。
■マネージャー、店長への昇進・昇格
損害保険業界での経験を積んで、マネージャー、店長へと昇進していくキャリアパスがあります。業務内容は徐々にマネジメントの領域に移り、任された店舗、部署をいかにうまく舵取りするかが重要です。
損害保険の知識を深めることで、商品開発の部門に異動するケースも存在します。
■コンサルティング会社への転職
コンサルティングと保険は無形商材を提供する点においては共通点があります。そのため、損害保険会社での営業を担当して培ったコミュニケーション能力を活かそうとコンサルティング会社に転職する例があります。
コンサルティング会社に転職することで保険商品だけでなく、総合的な手法を使って顧客を支えることができるようになるため活躍の幅を広げることができるでしょう。
■保険代理店への独立
保険代理店として独立し、保険商品販売の仲介をおこないます。
保険代理店として仕事をするには損保一般試験などの保険募集人資格を取得する必要があります。
志望動機を作るために用意すべき「なぜ」
損保業界に限らず志望動機には一貫性と論理性が求められます。
志望動機を考えるときに必要となる2つの「なぜ」を言語化した上で作成しましょう。
「なぜ」損害保険業界を志望するのか
生命保険ではなく、また大きな金融業界の中でなぜ損害保険業界を志望するのかを説明する必要があります。
その理由を答えるためには、まず、細かい業界分析によって損害保険会社が担っている社会的な役割を知っておく必要があります。
さらに、自分の「就活の軸」を作り、将来どのように働きたいのか、最終的なゴールは何かについて考えましょう。
これら2つを合わせることで、自分がなぜ損害保険業界に行きたいのかについて論理的な文章を書くことができます。
面接では特に、生命保険との違いをよく問われます。
先ほど説明したような営業スタイルの違いや保険商品の性質などを踏まえて、自分がなぜ損害保険のほうが良いのかについて書くようにしましょう。
生命保険業界についても詳しく理解したい人はこちらを参考にしてみてください。
「なぜ」その企業を志望するのか
「なぜその企業が良いのか」の理由を見つける方法はズバリ[比較]すること。
企業理念、注力商材、取り組みなど競合と比べた時に秀でている箇所が必ずあります。他社よりも秀でた点、特異性がその損害保険会社を選ぶ理由になります。
下図には損害保険大手3社の比較について簡単に書かれていますので、どの企業が良いか考えてみてください。
また、インターンやOB・OG訪問を通して社風の面からも理由を作れるとより真剣度が伝わります。
東京海上日動
●損害保険業界での圧倒的なシェアを誇る
●積極的な海外のM&A・業務提携を推進
●誠実さが根強い社風
三井住友海上
●法人系の損害保険に強み
●2022年度の正味収入保険料シェア1位
●個性と結束感を併せ持つ社風
損害保険ジャパン
●保険事業にとどまらない事業展開
●介護・ヘルスケア事業などを拡大
●失敗を恐れず挑戦する社風
志望動機の書き方
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機を一言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の書き方、考え方を詳しく知りたい人は下記をご覧ください。
◎そのきっかけや経験はなんなのか
◎将来どうしたいのか
◎入社後どんなことに自分は貢献していけるか
実際に書き始める時は、この4点が明確になっている状態で書き始めましょう。
損害保険業界の志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文から書き方を学び、自身のESや面接に活かしてください。
東京海上日動の志望動機の例文
個人的な意見だが資産運用分野は専門性を高めるために、常に学習意欲を持つことが重要だと感じている。御社は、積極的に海外の保険会社を買収し海外基盤を持っており、国内外の資産運用の知見と金融情勢への感度という点で学びが多い企業である。
また資産運用において優秀な社員が多数在籍していると拝見し、その中で学び、競い合い、向上していくことも可能である。この環境であれば、最適な投資判断ができる人材になれると確信している。
→東京海上日動をなぜ志望するのか、さらになぜその中でも資産運用分野なのかについて自分の考えと企業の強みについて合わせて書かれています。
そして、将来なりたい自分の姿についても書かれているため、文章から志望度の高さをうかがうことができます。
参照元: unistyle/ 選考通過者本選考ES(東京海上日動火災保険24卒)
三井住友海上の志望動機の例文
そのため、顧客一人ひとりに寄り添うことで、多くの企業や人を支えることができる損害保険業界を志望しています。中でも「お客様第一」を掲げ、誠実に向き合うことを大切にしている貴社の姿勢は、私の人と接する姿勢に通ずる部分があると感じました。
目の前のお仕事やお客様に対して真摯に向き合い、社内外で信頼関係を構築することによって、この目標を実現していきたいと考えます。
→将来なりたい像について簡潔に書けています。また、業界や企業を志望している理由についてもしっかりかけていて熱意の伝える志望動機となっています。
参照元:unistyle/ 選考通過者本選考ES(三井住友海上火災保険24卒)
私は高校時代の部長経験で、個人の悩みに寄り添い解決することにやりがいを感じ日々挑戦してきました。しかし挑戦ができたのは日々の生活を支えてくれる方々がいたからであり、家族の励ましがあったからです。
そのため今後は支えてくれた人々の、挑戦に携わるという形で還元できる損害保険業界を志望するとともに、国内トップ企業である貴社だからこそ規模の大きさに囚われない挑戦を支えられると思いました。その中で信頼され、一緒に働きたいと思われる人になることで支えられる人の母数を増やし、貢献度の高い人間になりたいと考えています。
→ なぜ損保業界を志望するのかについて、そう考えるようになった自分のストーリーとともに簡潔に書かれています。
参照元: unistyle/ 選考通過者本選考ES(三井住友海上火災保険24卒)
損保ジャパン日本興亜の志望動機の例文
所属しているテニスサークルで、新歓係として新入生の気持ちに寄り添った経験から、相手のニーズに応えようと努力することにやりがいを感じました。
そのため、現状に満足しない挑戦的な姿勢で、お客様に真摯に向き合うことによって、多くの企業や人を支えることができる貴社に魅力を感じました。
→200文字という文字数の中で、将来の目標やその目標を持ったきっかけ、企業を選んだ理由がしっかりと書かれていて、志望度が伝わる志望動機と言えるでしょう。
参照元:unistyle/ 選考通過者本選考ES(損害保険ジャパン24卒)
その中でも貴社の志望理由は2点ある。1点目はアジアを中心に充実した海外拠点だ。貴社は「世界で伍していくグループの実現」を掲げ、海外展開に注力されている。
2点目は教え合い・学び合いの取り組みだ。社員の方から学び、専門性を身につけ成長し、お客さまにより充実したソリューションを提供できると考えている。
→なぜ損保業界を志望するのか、そしてなぜ損害保険ジャパンが良いのかについて200字の制限の中でわかりやすくまとめられています。
参照元:参照元:unistyle/ 選考通過者本選考ES(損害保険ジャパン24卒)
まとめ
良い志望動機を書くには、業界の理解と自己分析の両方が不可欠です。
損害保険業界は、もしもの時に顧客に寄り添いサポートすることができる点と金融商品の保険を取り扱うという点が特徴的な業界です。
生命保険との違いも比較しながら、なぜ損害保険業界に行きたいのかを明確に述べましょう。
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