●製薬業界の志望動機では、業界・企業研究を行った上で「なぜ製薬業界なのか」「なぜその企業なのか」を具体的に伝える。
●製薬業界の求める人物像は「責任感がある」「信頼できる」「規範に順応できる」「何事にも丁寧に取り組める」「粘り強く取り組める」「英語力がある」を満たす人。
少子高齢化が進む日本において、今後さらに存在感が増していくと予測される製薬業界。人の命や健康に関わる専門性の高い業界のため、より具体的で明確な志望動機を作成する必要があります。
本記事で製薬業界に関する知識と志望動機作成のノウハウを身につけ、内定に向けた準備を進めていきましょう。
製薬業界とは?
製薬業界では、医薬品を開発・製造し販売する一連の工程を行っています。また、医薬品を製造するだけでなく、製薬の改良や新薬などの研究開発も担当業務です。
新薬の開発は長期スパンでおこなわれており、1つの薬を開発するのに9~17年はかかると言われています。
長い時間や労力をかけても有効性や安全性を確かめる実験で成果が出なければ、途中で開発が中止されるケースもあるため、製薬業界の仕事は忍耐力は必要と言えるでしょう。
製薬会社と医療機器メーカーの違いは?
ここでは製薬会社と医療機器メーカーの違いについて「営業職」の業務内容から説明していきます。
製薬会社の営業スタイルは医師から患者さんのニーズや課題を聞き出し、そこに対して効能や副作用といった情報をもとに自社医薬品を提案するというものです。
これに対して医療機器メーカーの営業スタイルは、自社製品の機能はもちろん、その使い方等についても実際の現場に出向いて説明を行います。
以上を踏まえると、医薬品営業の方がより患者さんにダイレクトに関わる仕事と言えるでしょう。
選考を通過するために、志望動機の書き方と例文を参考に、人事の目に留まるESを書きましょう。
医薬品の種類
製薬会社について理解するうえで、医薬品の種類は適切に把握しておく必要があります。
まずはどんな医薬品があるのか、簡単に確認しておきましょう。
医療用医薬品
医師による処方や指示によって使用されることを目的として供給される薬のことを、医療用医薬品と呼びます。
処方せんの場合は医師が患者1人1人に合わせて処方せんを発行し、薬剤師が調剤します。
効果の高いものが多い反面、副作用にも注意する必要がありますが、医師や薬剤師の指示を守って使用すれば基本的に問題はありません。
一般用医薬品
薬局やドラッグストアで消費者が直接購入できる薬のことを、一般用医薬品と呼びます。
消費者個人の判断で購入・使用できるため、より一層高い有効性と安全性が求められます。
また、副作用や飲み合わせによるリスクの程度に応じて第1類医薬品から第3類医薬品まで分類されており、それぞれに応じて販売ルールや情報提供の必要性が決められています。
新薬とジェネリック医薬品
新薬(先発医薬品)は、長い研究開発期間を経て国の承認を受け、発売される医療用医薬品です。
これに設けられる再審査期間と特許権存続期間が満了すると、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が製造・販売可能になります。
ジェネリック医薬品は元の新薬と同じ有効成分で作られますが、新しい技術で味や飲みやすさが改良されるものもあります。
製薬会社の主な職種
MR職
MR(medical representative)とは医薬情報担当者と呼ばれる、いわゆる営業職のことを指します。
製薬業界の営業職は、医薬品ではなく、医薬品の情報を扱うのが特徴です。医療従事者に対して医薬品の情報を提供し、自社医薬品の普及を目指します。
当然、医薬品に関する高い専門性が求められますが、どの製薬会社も充実した研修体制を整えているため、文系出身のMRも多く存在しています。
MSL
MSL(Medical Science Liaison)は医療従事者に対して治療法に関する情報提供を行う仕事です。先程紹介したMRとの違いは、自社医薬品の販売促進をするかどうかです。
MSLでは自社医薬品の販売促進はせず、客観的な立場から医師へ情報提供を行っています。
研究職
研究職の主な仕事は新薬の開発です。様々な方法で薬の候補となる化合物を作り、その有効性や安全性を調べています。臨床試験などは行いません。
理系学生からの人気が高く、高い専門性が求められる職種のため、採用試験は狭き門となることがほとんどです。
臨床開発職
いわゆる「治験」を行うのが臨床開発職になります。動物や細胞などを使って臨床試験(治験)を行い、その効果や毒性をモニタリング・研究します。
また、治験のみに限らず、実際の薬の承認申請まで行うため、医薬品開発の最終ステージを担う役割といえます。
生産技術職(エンジニアリング職)
承認された薬を効率的に生産するための量産体制を構築するのが生産技術職です。
具体的には工場における新規設備の設計や導入、点検等を行います。生産ラインの構築や改善を通じて、生産効率の上昇、コスト削減、品質向上などに努めます。
製薬業界で評価される志望動機を作る3つのステップ
ここでは製薬業界の志望動機を書く際に意識してほしいポイントを3つ紹介します。
これから志望動機を作成するという人は、以下のポイントを参考に作成してみてください。
(1)志望動機に必要な要素を把握する
志望動機を作成する際は「なぜ製薬業界か」「なぜその企業なのか」をしっかりと深掘りしましょう。
“なぜ製薬業界なのか”については、数ある業界の中でもなぜ製薬業界を選んだのかについてしっかりとした理由を準備しておく必要があります。
「副作用のない薬を作りたい」「病気で苦しんでいる人を救える薬を作りたい」のような製薬業界ならではの理由を入れると良いでしょう。
“なぜその企業なのか”については、志望企業の強みや事業形態などの特徴を調べて、競合他社と差別化しながら伝えることが大切です。
例えば、大塚ホールディングスであれば、大塚製薬や大塚製薬工場、大鵬薬品工業を主要事業会社とする持株会社で、グループ各社で密に連携しながら事業を推進しています。
その中でも大塚製薬はビタミン入り炭酸飲料「オロナミンCドリンク」やスポーツドリンク「ポカリスエット」、栄養食品「カロリーメイト」「SOYJOY」などの企画・開発・発売で、製薬会社の域を越えた事業を展開しています。
このように企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望動機を作成してください。
(2)製薬業界の求める人物像を把握する
製薬業界の仕事は、人の命に密接な仕事であるため、責任感や信頼感があり、規範に順応できる人に向いている仕事です。
薬を作るには、膨大なデータを積み上げ、作用機序や品質性・安全性を確かめていく必要があります。
ミスが許されない作業であるため、何事に対しても丁寧に取り組める人、時間がかかるものでも粘り強く取り組める人が向いているでしょう。
また、製薬業界はグローバル化が進んできている業界の1つであるため、英語力も求められると言えるでしょう。
特に外資系企業に入社した際は、外国人の医師と話す機会も多いため、語学力は必須です。
(3)志望動機のフレームワークを知る
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の考え方、書き方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
製薬業界の志望動機例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文から、クオリティと書き方を学び、自身の書類に活かしてください。
武田薬品工業(MR)の志望動機の例文
祖母は認知症であり、症状が悪化していく祖母を助けることが出来ず悔しかった経験から、病気に苦しむ多くの人の健康に貢献したいと考えた。
そして、世界屈指の研究開発力を武器に、希少疾患、オンコロジーなどアンメットメディカルニーズに注力しているだけでなく、グローバル展開にも挑戦している姿勢から、私の夢を実現できると確信している。
2点目は、タケダイズムである。説明会を通じて「患者第一」の理念が浸透していると感じた。OB訪問の際に、「必要であれば他社製品を勧めることもあり、それも誇りである」と伺った。
この経験から、貴社の「人」は大変魅力である。以上より、貴社には私の夢を実現できる環境が整っているだけではなく、今後も必要とされ続けるMRを目指す上でも最適な環境であると確信している。
→製薬業界の中でもその企業を選んだ理由について具体的に書けており、熱意の伝わる志望動機となっています。
引用元:unistyle/内定者本選考ES(武田薬品工業(MR)24卒)
アステラス製薬(研究職)の志望動機の例文
そのため、効率的な治験計画を立案することで、新薬をいち早く上市したいと考え、臨床開発職を志望する。
特に、若手からグローバル開発に携われる貴社で、国籍や立場の異なる社内外の方々と密に連携し、治験を円滑に行うことで、世界中の患者様に革新的な医薬品を届けたい。
その際にアルバイトや部活動、短期留学を通して、多様な人々とコミュニケーションをとり、信頼関係を構築してきた経験が生かせると考えている。
チームで効率的に業務を進めることで一日でも早く候補化合物を新薬という価値に変え、病で苦しむ患者様を救いたい。
→アステラス製薬で何を成し遂げたいのか具体的に書けており、志望度の高さが伝わる志望動機と言えます。また、あなたの強みもしっかりとアピールできていてGoodです。
引用元:unistyle/内定者本選考ES(アステラス製薬(臨床開発職)23卒)
第一三共(開発職)の志望動機の例文
私は○○を患う○○の日常的な症状発現を目にしたこと、病院実習で○○と同じ境遇の患者様に出会ったことから、治療薬のない疾患に苦しむ患者様を身近に感じている。
そこで、成果が患者様の今後の治療を左右する開発職として、上記の想いを実現したい。また想いの実現には、多様な開発業務を経験し、俯瞰的な視点を得ることが必要だと考える。
そのため、研究職との密な連携により、サイエンスベースの医薬品開発ができ、若手から幅広い開発業務を経験できる貴社であれば、想いの実現に向けて最大限挑戦できると確信している。
→成し遂げたい夢を持ったきっかけについて具体的に書けており、説得力のある志望動機と言えるでしょう。
引用元:unistyle/内定者本選考ES(第一三共(開発職)23卒)
エーザイ(MR)の志望動機の例文
中でもMR職を志望する理由は、祖母が認知症を患った際、祖母だけでなく母が悲しんでいる姿を見ることが出来なかった。その時に私がMRとなりすぐにいい薬の情報提供をすることでより迅速に患者様の元へ薬が届き、母のような悲しむ人が少なくなる世界を創りたいと考えた。
だからこそ、患者様・ご家族と医師をつなぐ架け橋に私がなりたいと思い、MR職を志望した。そして貴社を志望する理由は、hhc理念を徹底して体現する姿に最も魅力を感じたからだ。
インターンシップの際にhhcが全てということを何度も耳にし、実際に複数の社員の方に質問をしましたが、全員の方が「やっぱりhhcのためかな」と口を揃えてお話しされている姿を見て、ここまで一人一人が理念を理解し、実践している企業は貴社だけだと感じた。
また、医薬品による治療にとどまらず、包括的なヘルスケアを提供し、在宅を中心として生活者が安心して暮らせる「まちづくり」に携わることができる点に魅力を感じ、志望する。
→とても綺麗な構成で書けています。成し遂げたい夢や、その夢を持つようになったきっかけ、なぜその企業を選んだのか等、具体的に書けており、熱意を感じる且つ読みやすい志望動機と言えるでしょう。
引用元:unistyle/内定者本選考ES(エーザイ(MR)24卒)
上記例文の他にも就活支援サイトunistyleでは選考通過者のESを7万件以上掲載しています。
下記画像からサイトに移動できるので、ぜひES作成の参考にしてください。
まとめ
本記事では製薬業界の特徴や仕事内容、どのような人材が求められるのか、製薬業界で評価される志望動機の書き方について紹介してきました。
製薬業界は業界自体も特殊なうえ、職種ごとの特徴も大きく異なります。
そのため、志望動機を作成する前に業界・企業研究を行い、志望企業についてしっかりと理解しておく必要があります。
志望企業への理解を深めた上で、なぜ志望するに至ったのかを自分の言葉で伝えられるようにしておきましょう。
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- 「製薬業界を目指すならではの志望動機とはどういう内容?」
- 「製薬業界で評価される志望動機を書くにはどうしたらいい…?」
- 「書類選考を突破して内定獲得したい!」
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