●スポーツメーカーの志望動機は、「スポーツが好きだから」だけでなく、スポーツを通して、『チームで何かに取り組んだ経験』や『課題解決のために主体的にとった行動』などをアピールすることが重要
東京オリンピックやランニングブームなどの影響で好景気が続くスポーツメーカー業界。さらに今年はパリオリンピックがおこなわれ、さらなる盛り上がりが期待されます。
一概にスポーツメーカーと言っても、それに関わる職種は多く存在します。今後スポーツメーカー業界がどう変化していくのか、そしてどのような人物が求められていくのかをしっかりと理解し、内定レベルの志望動機を作っていきましょう。
スポーツメーカー業界とは?
スポーツメーカー業界とは、主にスポーツ用品の企画やデザイン、販売をおこなう業界のことを指します。
アディダスやアシックスのような、製造から販売までおこなっている企業もあれば、ゼビオ、アルペンのように販売のみをおこなう企業も存在します。
スポーツメーカー業界の動向
矢野経済研究所によると、2023年にはスポーツメーカー国内市場はコロナ禍以前の市場規模を超え、前年比4.9%増の1兆7347億3000万円になる予測です。
成長の要因として行動制限緩和による、競技環境のさらなる回復、インバウンド(訪日外国人客)の需要などが挙げられます。
さらに、スポーツメーカー各社がユーザーのニーズ変化に対応したサービスを提供していくために取り組んでいるのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)やサステイナビリティです。
NHKが公開している記事では、さらに詳しい取り組みの内容を知ることができます。
参照元:
矢野経済研究所❘スポーツ用品市場に関する調査を実施(2023年)
NHK❘ターゲットは“アスリート”だけじゃない スポーツ用品メーカーが目指すのは
スポーツメーカー業界の業種
スポーツメーカー業界には、3つの業態を持つ企業が存在します。
それぞれの役割について理解しましょう。
❏製造業
アシックス、ミズノ、ナイキなどに代表される、自社でスポーツ用品を製造している企業が製造業に該当し、有力ブランドを持つ企業の中には、卸売り、小売業も一貫しておこなっている企業も存在します。
「商品のデザイン・企画をしたい」、「製造から販売まで幅広くスポーツ用品に関わりたい」人に向いていると言えるでしょう。
❏小売業
アルペン、ゼビオ、スポーツオーソリティといった街中にあるスポーツショップのことを指します。小売業が担うのはメーカーで製造された商品を仕入れ、お客様に売る仕事です。
お客様と密接に関わり、商品を売っていく業態であるため、「接客業が好き」、「お客様の購買をサポートしたい」という人に向いているでしょう。
❏卸売業
メーカーが作った商品を買い取って小売店に売り出す業種です。
現在は卸売業のみをおこなっている企業は少なく、卸売と小売、製造と卸売などの2つの業態を担っている企業がほとんどになります。
スポーツメーカー業界の主な職種
❏企画職
その時代のトレンドや市場動向をもとに新たな商品のアイデアを生み、形にしていく仕事です。
商品の誕生から実際にユーザーが使用する場面までのストーリーを描きながら、コンセプトや形状を決定していきます。
❏デザイナー
企画で組み立てられた商品のコンセプトやストーリーをもとに、シューズやアパレルなどの新商品のデザインをおこなう仕事です。
商品開発におけるデザイナーの裁量は、所属するその企業の組織体制やデザイナーの熟練度、取り扱う商品によって異なります。
❏営業職
メーカーの営業社員として、大型スポーツ店や個人経営のスポーツ店に対して自社製品の営業を行います。場合によっては営業先の来客増加のため、イベントを企画運営することもあります。
❏マーケティング職
担当競技のトレンドなどを分析しながらプロモーションの仕方や生産量、価格帯などを決定する仕事です。
新商品のアイデアから販売促進まで担当するため、営業や研究開発など様々な職種の人たちと関わることになります。
❏研究開発職
スポーツ工学やスポーツ科学を軸として、基幹技術や素材などの研究開発を進める仕事です。研究内容は広範にわたり、中長期的な視点を持って仕事を進めていく必要があります。
スポーツメーカー業界が求める人物像とは?
スポーツメーカー業界を志望する学生の中には「学生時代からスポーツをやっていた」「スポーツ観戦が好き」という人も多いと思います。
しかし、採用担当者は「スポーツが好きだから」という理由だけでは採用しません。では、どのような人物が企業から求められているのでしょうか。
①スポーツから得た知識・経験を仕事に生かすことのできる人物
「スポーツが好きだから」だけでなく、好きなスポーツから何を学んだかという点が大切です。チームで何かに取り組んだ経験や、スポーツでの課題解決のために主体的にとった行動など、仕事において活かせる能力を持っている人物が企業から求められます。
②グローバルに活躍することのできる人物
アシックスのホームページを見ると、海外での売り上げが全体の82%を占めていることがわかります。国内需要は少子高齢化・人口減少とともに減ることも予想されており、他の企業も同様に海外への進出を狙っています。そのため、企業は、グローバルに活躍できる人物を求めているでしょう。
参照元:株式会社アシックス❘地域別売上高
③専門的な知識を持つ人物(デザイン・研究開発部門)
製品のデザインや研究開発の分野においては、専門的な知識を持っている人物が求められます。大学・大学院で学んだことをアピールすることが大切です。
スポーツメーカー業界内定に必要な3つの「なぜ」
本記事でも述べているようにスポーツメーカー業界には様々な業種、職種が存在するため、自らの志望企業や志望職種に対してより説得力のある志望動機を伝える必要があります。
これから紹介する3つのポイントを意識しながら志望動機を書いてみましょう。
①なぜスポーツメーカー業界なのか
「スポーツメーカー業界に求められる人物像」でも述べたように、スポーツが好きという理由だけでは志望動機にはなりません。
自分がスポーツメーカーでの仕事を通じて何をしたいのか、どんなことを実現したいのかなど、企業側の視点に立った志望動機を伝えることが大切です。
②なぜその企業なのか
同じスポーツメーカー業界の中でも社風や事業の方向性、得意としている製品領域などは多種多様です。
例えば、アシックスは「運動力学」や「人間工学」にもとづいた製品開発や、直営店での3次元足形計測器による適切なシューズ選びなどの、あらゆるお客様に一貫したサポートをおこなっていることが強みとしてあげられます。
このように会社には、それぞれ独自の強みがあります。
志望動機を書く際は、上記のように企業ごとの特徴や強みを把握した上で作成するようにしてください。さらに詳しく企業の情報を知りたい場合には、企業説明会やOBOG訪問を活用すると、実際に企業で働く人から生の情報を得ることできます。
また自身の体験などを交えながら自らの価値観ややりたいことと企業の特徴がマッチしていることを端的に伝えていきましょう。
参照元:アシックス|アシックスの強み
③なぜ自分が向いているのか
志望動機においては、単に志望理由を伝えるだけでなく「なぜ自分が向いているのか」についてもアピールする必要があります。
スポーツメーカー業界には多種多様な職種が存在するため、各職種に対する業務理解を深め、そこから必要な強みやスキルを推測してアピールしましょう。
志望動機の書き方
情報収集や自己分析をもとに、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機を一言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の書き方、考え方を詳しく知りたい人は下記をご覧ください。
スポーツメーカー業界の志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文から、クオリティと書き方を学び、自身の書類に活かしてください。
アシックスの志望動機の例文
「スポーツに触れる人口を増やすことで、人々の生活を豊かにしたい」という思いを貴社で実現したく志望する。きっかけは、私もスポーツの持つ力を享受してきたからだ。○○を10年間続けてきた中で、沢山の仲間との出会い・スポーツだからこそ得られる感情を経験し、成長する機会となった。この経験から、今後はスポーツの多様な魅力を世界中に届けたいと考えている。その中で貴社にこだわる理由は、スポーツをアパレル・健康といった事業に活かすことで、スポーツに触れる人口を増やすことが可能であるからだ。選手だけでなく、幅広い層に寄り添うことが出来ると考える。そのため貴社では、ブランドマネジメントに携わりたい。私が常に意識している「人の思考を分析し理解する点」や、大学時代に様々な企画を行った経験を活かせると考える。消費者の思考分析や、御社のブランドを伝えるイベントを実施することで、スポーツに触れる人口の拡大を目指す。
→ 先ほどの章で述べた、3つの「なぜ」について明確に書かれており、他者と差別化された良い志望動機だと言えるでしょう。
さらに、自分の掲げる目標をどのようにして達成するかの具体的な内容まで書かれており、スポーツメーカー業界への高い志望度を感じ取ることができます。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(アシックス23卒)
ミズノの志望動機の例文
私は、運動をする全ての人の役に立ちたいです。運動を行う人には、競技能力を向上させたい、健康になりたい、痩せたいなど様々な目的・目標が存在すると考えます。
それを実現するためには、その人に合ったスポーツ用品が必要不可欠です。そこで,貴社の高い技術力によって生産される多種多様なスポーツ用品を多くの人に使用していただき、運動をする人に貢献したいです。また、私は運動を行っていない人にもその楽しさ、メリットを伝え、より多くの人が気軽に運動をしていただけるようにしたいです。
私は貴社の説明会で、営業企画課、ライフスタイルチャネル営業部に興味を持ちました。 営業企画課では、店頭演出やカタログ、雑誌記事のタイアップなどの仕事ができると伺いました。自身で工夫し、商品をアピールできる営業企画課にやりがいを感じます。
また、ライフスタイルチャネル営業部では日常生活向けの商品を扱うと伺いました。スポーツ店以外にも「ミズノ」の商品を展開し日常生活で使用していただくことで、そこから運動意欲に繋がる可能性があると考えているからです。このように、私は運動を行っている人はもちろん、それ以外の幅広い世代の人たちに運動の魅力を伝えたいです。
→全ての人の役に立ちたい、運動をする人に貢献したいなど、やや抽象的な表現が目立ちます。
「どのように」人の役に立ちたいのか、「なぜ」貢献したいのかなど、HowやWhyを意識するとより具体的で差別化された志望動機になると思います。
参照元: unistyle/選考通過者本選考ES(ミズノ19卒)
アルペン(Alpen)の志望動機の例文
私は多くの人にスポーツの楽しさを発信し、スポーツで地域を盛り上げたいという想いがあります。貴社ならば、スポーツ用品販売だけでなく、リゾート事業などを行うことで様々な観点から、スポーツに打ち込む人からこれからスポーツを楽しむ人まで多岐に支えることができると考え、志望に至りました。貴社に入社した際には、お客様の好みを的確に分析した商品を提供し、スポーツで楽しむ人で溢れかえる街にしたいです。
→スポーツメーカー小売業への志望動機も同様で、3つの「なぜ」に答えながら志望動機を書く必要があります。
この志望動機は文字数が短いながらも、簡潔に必要なことが書かれており、読む人にとって内容が伝わりやすいものとなっています。
しかし、最後の「スポーツで楽しむ人で溢れかえる街」という部分は抽象的な表現なので、どういった街なのか伝わりづらいです。その前の文章を活用してお客様にどうやって最適な商品を届けるかについて言及できれば、より良い文章になるでしょう。
参照元: unistyle/選考通過者本選考ES(アルペン22卒)
本記事を参考にして、書き方のコツを掴み、自分が得意な志望動機のパターンをみつけ、効率的に志望動機を書いてみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。この記事をもとにスポーツメーカー業界の将来や求められる人物像をしっかりと理解し、ロジカルで具体的な志望動機を作成して志望企業の内定を勝ち取りましょう。
志望動機の基礎から応用まで網羅的にノウハウを知りたい人は下記をご覧ください。
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- 「スポーツメーカーへの目指すならではの志望動機とはどういう内容?」
- 「スポーツメーカーの選考で評価される志望動機を書くにはどうしたらいい…?」
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