●新聞社では、新聞紙への需要低下に伴い、デジタル版への移行が進んでいる
●新聞社の志望動機を書く際には、①希望職種と内容があっているか、②メディアに関する自論を述べすぎていないか、の2つに注意する
新聞社は昨今のデジタルシフトの影響で大きな変革を遂げていますが、その中でも変わらないことは新聞に対する情報の”信頼”です。そのため、新聞社の社員には高い能力と強い責任感が求められます。
志の高い志望者が多く文字を扱う業界だけに、内定を勝ち取るためには、徹底した志望動機の作り込みとES作成が必要となることは言うまでもありません。
本記事でES作成のための情報や志望動機の考え方・作り方を把握し志望動機作りに活用してください。
新聞社の基本情報
評価される志望動機を書くためには、まず業界研究などを通して、新聞社についてしっかりと理解しておくことが必要不可欠です。
そのため、ここでは新聞社の職種と動向を紹介します。
新聞社の職種
新聞社は、新聞の記事作成を担当する[記者部門]、作られた新聞の発行や販売場所・方法を決定する[ビジネス部門]、デジタル版のサーバーシステムやアプリ開発などを担当する[技術部門]の3つの部門に分けられます。
以下で詳しく紹介しますので興味のある職種や適性に合った職種はないかをチェックしてみましょう。
記者部門
取材記者
取材記者は、関係者に取材をし話を聞いたり、文献を調べるなどして、正確な情報を基に記事を執筆する仕事です。
新聞社の中では、「政治部」「経済部」「社会部」「スポーツ部」などとさらに細かく分けられており、幅広いジャンルのニュースを扱っています。
取材記者は、記事しなければならない出来事が起こった際、瞬時に現場に向かい、取材をしなければなりません。そのため、休みが不規則になったり残業を余儀なくされることもあります。
映像報道記者
映像報道記者は、事件・事故・災害などの現場や、スポーツ試合や記者会見に出向き、新聞の記事で使われる写真・動画を撮影する仕事です。
場合によっては、上空からの写真・動画を撮影するためにドローンを使うことや、自らヘリに乗り撮影することもあります。
映像報道記者は、起きた出来事を単に撮影すればいいわけではありません。例えば、災害であれば被災した地域の現状を的確に伝えられるような写真を、スポーツであれば現場の臨場感や迫力を感じられる写真、というようにそれぞれの記事に適した取り方や工夫が求められます。
整理記者
整理記者は、取材記者が作成した記事を読者に分かりやすく伝えるため、記事の大きさやレイアウトなどを決める仕事です。整理記者という職種の認知度はあまり高くありませんが、「記事を生かすも殺すも整理次第」といわれるほど非常に重要な役割を担っています。
記事の見出しを付けるのも整理記者の仕事の一つであり、ニュースの価値判断を的確に行う見識と幅広い知識が必要となります。
校閲
校閲記者は、取材記者が作成した記事の校閲をする仕事です。校閲では、記事の誤字脱字だけではなく、記事が正しい言葉・用語で書かれているか、内容の事実確認、整合性、差別や固定概念に基づく表現ではないかなど、細かな部分までチェックします。
事実と異なる情報や誤った言葉を使った記事を掲載することは、新聞の信頼度低下に繋がる恐れがあります。そのため、校閲には、語彙力だけではなく様々な事象に関する知識が必要です。
デジタル編集記者
デジタル編集記者はデジタル版の新聞の編集を担当する仕事です。
デジタル版であっても、紙の新聞と同様に正確性・信頼性の高いメディアとして、デジタル版に載せるべき記事の選別や、ユーザーの見やすさを考えたレイアウトを工夫することが求められます。
また、記事の内容によっては映像報道記者と連携を取り、記事と一緒に「映像」を載せることで、デジタル版ならではの情報を伝えることもあります。
ビジネス部門
販売エリアマネージャー
販売エリアマネージャーは、全国の新聞販売店との契約の締結を通して、一人でも多くの人に新聞を届け、売上げの向上を目指す仕事です。
具体的には、担当地域の新聞販売店と信頼関係を築きながら、最適な営業方法を共に考えるなど、新聞販売業に特化したコンサルティングを行います。
地域や時代によって、新聞配達や販売店を取り巻く環境は大きく異なるため、販売エリアマネージャーが現地に直接足を運び、様々な情報を交換しながら、効果的な戦略を考え実践することが大切です。
広告営業
広告営業は、新聞紙やデジタル版を掲載するサイトの広告枠を、クライアントに提案し契約を結ぶ仕事です。
新聞広告では、クライアントが指定した広告を掲載するだけではなく、広告営業がオリジナルの広告特集やイベント企画を考え、提案することもあります。
管理・財務
管理・財務は、多くの社員を管理・支援し、新たな人材の採用を行う人事、予算編成や資金の調達をになう財務など、事務職として新聞社を支える仕事です。
他にも、日々の収支を預かる経理部、企業法務を担当する法務部、事業に必要な機材を準備する購買部など様々な部署があります。
技術部門
IT技術者
IT技術職は、主にメディアシステムや社内業務のシステムの保守・運用・管理・更新を担当する仕事です。
新聞社では、紙媒体の需要低下に伴い、デジタル版への移行が加速化しています。そのため、アプリ開発や新たなシステムの構築・運用など、IT技術職の役割は今後さらに大きくなると予想されます。
総合ITエンジニア
総合ITエンジニアは、記者の取材・執筆、原稿の送稿、紙面編集から印刷工場へのデータの送信、発行部数や輸送の管など、新聞が出来上がり、読者に届くまでの各課程の業務を処理するシステム構築を行う仕事です。
また、紙面作成工程以外にも、営業部門や人事・経理部門など社内の各種業務を円滑に行うための管理システムやインフラの構築など、企業の生産体制を最適化していく業務も担当しています。
新聞社の動向
新聞発行部数が衰退傾向に
新聞社の推移をみると2007年から徐々に発行部数が減少傾向にあります。2022年の発行部数は3,084万部となり、前年からマイナス218万部と大きく減少しました。
また、従来の新聞社では、朝に発行される「朝刊」/夕方に発行される「夕刊」の2種類を発行していましたが、近年、朝・夕刊セットの発行部数が大幅に減少していることを踏まえて、朝日新聞・毎日新聞などの大手新聞社や地方新聞社は夕刊の発行を廃止しました。
理由としては、インターネットの普及によりデジタル化が進み、LINE NEWSやNews Picksなどのサイトで誰でも簡単にスマートフォンでニュースが読めるようになり、新聞紙への需要が低下したことが挙げられます。
新聞社の今後の課題としては、いかにして電子版を普及させ、会員数を伸ばしていけるかにかかっているといえます。
参照元:一般社団法人 日本新聞協会「新聞社の総売上高の推移」
新聞社の広告費が減少
新聞社の広告費を見てみると、2021年に増加したものの2022年には再び減少しました。
先程もお伝えしましたが、インターネットの普及によりデジタル化が進み、スマートフォンで誰もが簡単に情報を得ることができるようになったことで、インターネット広告にシェアを奪われたと言えるでしょう。
そこで、各新聞社は、従来の紙媒体から「デジタル版」への移行に力を入れて取り組んでいます。例えば、日本経済新聞社の有料会員数は87人、無料会員も合わせると約612万人と年々増加を続けています。
しかし、デジタル版の広告収入は紙媒体の広告収入より少ないという課題もあります。そのため、今後はデジタル版への移行だけではなく、有料版利用者の拡大などデジタル版での「収益確保」にも力を入れて取り組んでいくことが求められています。
以下の記事では、新聞社のビジネスモデルや動向についてより詳しく紹介しています。是非参考にしてください。
以下の記事では、新聞業界の動向について詳しく説明しています。是非参考にしてください。
参照元:日本経済新聞|「日経朝刊・電子版の購読数 244万」
新聞社が求める人物像
志望動機を作成する前に、新聞社が求める人物像をしっかりと理解しておきましょう。
求める人物像を把握しておくことで、業界・企業の色に合ったエピソードや強みを含めることができ、より効果的にアピールすることができます。
まず、新聞は、取材記者から映像報道記者、校閲、整理記者など様々な人と連携・協力することで、初めて完成します。また、取材をする際には、相手の心情を考え、それぞれの人に適した聞き方・話し方で取材する力が求められます。そのため、高いコミュニケーション能力や、臨機応変に対応する力が必要です。
また、記事部門に配属された場合、担当地域・分野で何かが起きた際には、すぐに現場に出向き、取材を行わなければならないため、フットワークの軽さも求められます。
そして、事件や事故によっては取材に長時間かかることもあるため、諦めずに最後まで取材を続け、記事にすることができる粘り強さも大切でしょう。
志望動機の基本的な書き方
新聞社の職種や動向を学んだところで、次に志望動機の基本的な書き方を解説します。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機を一言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
新聞社で志望動機に含めるべき要素3つ
志望動機の基本的な書き方を学んだところで、次に、新聞社の志望動機に含めるべき要素を3つ紹介します。
なぜその業界が良いのか、業界の中でもなぜその企業が良いのかを明確にし、ロジカルな志望動機を作成しましょう
「なぜ」新聞業界を志望するのか
数あるメディアの中でも、テレビやラジオではなく「なぜ新聞業界なのか」を説明する必要があります。
具体的には自分が将来何を成し遂げたいのか、例えば新聞業界であれば「貴社のデジタル事業部門で、新聞離れが深刻な若者に対し、新聞を読む・触れるきっかけ作りを行うこと事で貴社と読み手を一人でも多く繋げたい。」などといった新聞業界ならではの理由を述べるようにしましょう。
その際に、業界の仕事内容と絡めて伝えることができればより深い志望動機になるため、業界の職種や動向についても把握しておきましょう。
「なぜ」その新聞会社を志望するのか
新聞社と言っても企業によって強みや特徴は異なります。
例えば日本経済新聞社は、紙媒体への需要低下にいち早く対応し、デジタル版への移行に力を入れました。現在では、紙媒体による売上高の減少がデジタル版の売上を支えており、売上高は業界トップとなっています。
このように企業によって特徴は異なるため、しっかりと企業研究を行い、企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望企業を決めるようにしましょう。
社会にどのような影響を与えたいのか
新聞は、政治や経済などから、事件・事故・災害など、社会的意義の大きなトピックを扱うことが非常に多いです。また、新聞は信頼度の高いメディアであるため、切り取り方や伝え方一つで読者の受け取り方は大きく変わってしまいます。
このように、新聞は多くの人、そして社会に大きな影響を及ぼし得るものであるため、それを通して「将来的にどのような影響を与えたいのか」を述べるようにしましょう。
例えば、「記者として自ら取材した選手や選手を支える人たちの想いやエピソードを発信することで、スポーツに興味を持つ人や、誰かの頑張りに刺激を受けて「自分も頑張ろう」と思う人を増やしたい。」というように、具体的に述べるようにしましょう。
「具体的に述べられる=入社後のビジョンが明確」となるため、○○社で働きたいという意欲や熱意をアピールすることにも繋がります。
新聞社の志望動機例文
ここでは新聞社の志望動機例文を紹介します。志望動機のイメージがまだ掴めていないという就活生は以下の例文を参考にしてみてください。
読売新聞東京本社(記者職)の志望動機の例文
小学2年から中学3年まで野球をしており、当時から野球に関する情報は購読していた読売新聞で入手していた。単に試合結果を伝えるだけでなく、活躍している選手のデータや知られざるエピソードにフォーカスした記事が沢山掲載されており、「自分もこんな記事を書きたい」と思うようになった。
スポーツ報道の特長は、選手や選手を支える人たちの想いやエピソードまで伝えられる所だと考えているため、一人ひとりのストーリーを取材したい。
貴社の記者職を志望する理由は、説明会での「他社が取材体制を縮小する中で、取材体制を拡充し、なるべく通信社から情報をもらわないようにしている」という内容が印象に残ったためである。伝えたい情報を自社の力で伝える姿勢に共感した。
私には【取材や記事を通して、スポーツの魅力を発信し、沢山の人の人生に変化のきっかけを与えたい】という想いがあるため、伝えたい情報を自社の力で伝えることを大切にしている姿勢に共感した。
そのような貴社で、記者として自ら取材した選手や選手を支える人たちの想いやエピソードを発信することで、スポーツに興味を持つ人や、誰かの頑張りに刺激を受けて「自分も頑張ろう」と思う人を増やしたい。
→新聞社の中でも、その企業を選んだ理由が過去の経験を交えた上でしっかりと書かれていて、説得力のある志望動機と言えます。
→新聞社の中でも、その企業を選んだ理由が過去の経験を交えた上でしっかりと書かれていて、説得力のある志望動機と言えます。
さらに良い志望動機にするには、自分の強みを生かして将来志望企業にどう貢献するかまで書けると良いでしょう。
参照元:unistyle/ 選考通過者本選考ES(読売新聞東京本社24卒)
日本経済新聞社(ビジネス職)の志望動機の例文
貴社は日本経済新聞という媒体だけではなく、人材教育、デジタルビジネスなど幅広く事業を行い、ビジネスパーソンや企業を支えています。そのため包括的に価値を提供する貴社でこそ、私の目標は実現することができると考えます。
また、私は貴社の事業の中でもデジタルビジネス事業に取り組みたいです。デジタル化の中でビジネスパーソンを支える日経電子版の事業開発や運営、デジタルを活かした広告、マーケティングソリューションを通じ、ビジネスパーソンと企業を最も支援することができるためです。
ビジネスパーソンに成長に繋がる情報を届けること、企業の新たなビジネス創造を支援することによって日本経済を支えていきたいです。
→将来の夢や新聞業界を志望している理由について具体的に書けています。
志望企業の中でもどのような事業に携わりたいかまで書けており、志望度の高さが伝わる志望動機と言えるでしょう。
参照元:unistyle/ 選考通過者本選考ES(日本経済新聞社23卒)
朝日新聞社(ビジネス部門)の志望動機の例文
この状況下で144年もの歴史を守りつつ、変化し続けていく貴社の挑戦心に感銘を受け、それらをビジネスの面から支えたいと考えた。中でも貴社のデジタル事業部門で、新聞離れが深刻な若者に対し、新聞を読む・触れるきっかけ作りを行う事で貴社と読み手を一人でも多く繋げたい。
“朝デジ”の強みである多様なメディアやコミュニティーを組み合わせる事で、新聞の魅力である信頼性や判読性を伝えたい。
→メディアの在り方について自分なりの考えを交えた上でなぜ新聞業界を志望しているのかが書けており、熱意の伝わる志望動機になっているでしょう。
参照元:unistyle/ 選考通過者本選考ES(朝日新聞社24卒)
上記例文の他にも就活支援サイトunistyleでは選考通過者のESを7万件以上掲載しています。下記画像からサイトに移動できるので、是非ES作成の参考にしてください。
新聞社の志望動機のNG例
続いては新聞社の志望動機NG例文を紹介します。どの部分がNGなのかも解説していますので、チェックしてみてください。
NG①志望職種に合っていない
→エピソード自体に問題ありませんが、この内容だと、記者職の志望動機となってしまっています。志望動機を作成する際には、志望する職種の業務内容をしっかりと理解したうえで作成するようにしましょう。
NG②自論を述べすぎている
昨今のネットニュースでは、読み手が勘違いしているような過剰な見出しや、発言の一部のみを切り取った悪意のある見出しを発信するメディアが増えています。特に、ネットニュースは拡散されやすい傾向にあるため、一つの記事で世論が大きく傾くことも少なくありません。これでは、現代のメディアが本来の役割を果たせていないと考えております。
このような思いから、貴社の職員として、ネットニュースの信頼性・中立性の向上に貢献したいと考えるようになりました。貴社を志望した理由は、新聞社の中でも、貴社は正確かつ公平な内容を発信していると感じたからです。
入社後は記者部門の社員として、事実のみに基づいた正確な見出し・記事作りに携わりたいです。
→自分の考えをしっかりと述べることは決して悪いことではありませんが、ジャーナリズムに関する強い主張は避けるようにしましょう。今回の場合、自身の考えを述べすぎるあまり、「なぜその新聞社なのか」という部分が十分にアピールできていません。
志望動機では仕事の理解度や志望度をアピールすることに注力しましょう。
まとめ
本記事では新聞社の仕事内容・動向や志望動機の書き方について紹介してきました。
新聞社はインターネットの普及によって伸び悩んでいる業界ですが、それでも就活生から人気のある業界です。
熱意はもちろんですが、デジタルへのリテラシーや記者の素養を感じさせる志望動機でなければES選考を通過することはできません。
そのため、企業研究を行い、新聞社ごとの特徴を比較しながら、質の高い志望動機を作成しましょう。
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- 「新聞社の選考で評価される志望動機を書くにはどうしたらいい…?」
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