●広告主と各媒体の仲介を行っている広告代理店は、総合広告代理店・専門広告代理店・ハウスエージェンシーの3つに分類される
●2021年にはじめて「インターネット広告費」が、新聞・雑誌・ラジオ・地上波テレビの「マスコミ四媒体広告費」を上回っており、今後はさらなる成長が予想されている
●広告業界の求める人物像は「異なる価値観、立場の人とも協力して成し遂げる力のある人」「柔軟な発想力や想像力のある人」「お客様の立場に立って考えられる人」
「広告業界ってどんな仕組み?」「広告業界の将来性ってどうなの?」
このような疑問を持っている就活生に向けて、本記事では広告業界の仕組み、動向、求める人物像、志望動機・自己PRの書き方について紹介しています。
また広告業界の売上や利益、年収、従業員数、勤続年数をランキングで紹介しているので、志望企業が決まっていない人は参考にしてみてください。
広告業界とは?
広告とは、商品やサービス・アイデアを多くの人に伝えるためのもので、私たちの日常生活において広告を目にしないことはないと思います。
そんな広告を取り扱う広告業界とは、商品やサービスの魅力を人々に発信する業界です。
従来、広告はテレビ・ラジオ・新聞・雑誌などの媒体に掲載されていましたが、近年ではインターネットの普及率を踏まえてWebを媒体とするケースも増えています。
広告業界の仕事には、広告を出したいと考えている広告主に対して提案することや、広告企画やイベントの制作・運営、広告を出す場所や時間帯などの「広告枠」の販売など様々なものがあります。
広告業界の2つの収益モデル
広告代理店の収益は、大きく「手数料収入」と「広告制作収入」の2つに分けられます。
手数料収入とは、広告枠(放送時間や掲載スペース)を購入したい広告主と、広告枠を売却したい媒体(メディア)とを仲介することによって得られます。
広告制作収入は、広告主のニーズに沿って広告の企画・制作を行うことにより、広告主から受け取る報酬のことです。
また、広告制作収入は『企画・制作の作業に対して報酬を受け取るケース』と、『広告によって発生した成果に対して報酬をもらうケース(成功報酬型広告)』に分類することができます。
広告業界の仕組み
広告業界は広告を出したい「広告主」、広告を作成する「制作会社」、広告を消費者に伝える「媒体」、広告主と媒体の架け橋となる「広告代理店」の4つから成り立っています。
今回は一般的に広告業界を指す「広告代理店」について紹介していきます。広告代理店は以下の3つに分類できます。
総合広告代理店
1つの媒体ではなくテレビ、新聞、雑誌といったあらゆる広告媒体を取り扱っています。
宣伝したい商品をどの媒体でどのように宣伝していくかプランを考え、そのプランに最適な広告の制作や販売促進などを行います。
広告が完成したら媒体から購入した広告枠に出稿します。
そんな総合広告会社の特徴は複数の媒体で同時に広告を打てることです。
・電通
・博報堂
・ADK
専門広告代理店
専門広告会社は例えばテレビCM、インターネット広告など企業によって異なりますが、特定の広告媒体に特化している広告会社です。
仕事内容としては、担当する専門媒体の広告枠を販売するための営業を行っています。
つまり総合広告会社では宣伝プランに適した媒体を購入しますが、専門広告代理店は媒体を売る側にいるということです。
また媒体を売るだけではなく、自社で取り扱える媒体の中からどの媒体が最適かを提案する仕事も担っています。
・サイバーエージェント
・オプト
・オリコム
他にも内定を獲得するために知っておくべき”過去の選考情報”なども紹介していくので、企業研究に自信が持てない人や選考に不安を抱えている人は、確認してみてください。
※サイバーエージェントは「インターネット広告」に強みを持っていますが、広告代理業以外の事業も多数展開しているので、実際には企業全体でみると専門広告代理店の枠には収まりません
ハウスエージェンシー
ハウスエージェンシーは特定の企業の広告を制作する広告代理店です。
ハウスエージェンシーの特徴としては特定の企業専属の広告会社であるため、総合広告代理店に依頼した際に発生する仲介手数料が削減できます。
しかし現在では特定の企業のみならず、その他の企業の依頼も受けているハウスエージェンシーも存在しています。
・JR東日本企画
・東急エージェンシー
・デルフィス
ここまでで広告業界の仕事内容については理解できたと思います。次はそんな広告業界の動向について学んでいきましょう。
広告業界の動向
ここでは広告業界の動向を3つ紹介していきます。
それぞれ以下のトピックスについて紹介しているので、過去から将来までの広告業界の動向を把握しておきましょう。
・2021年にマスコミ四媒体をインターネット広告が抜いた
・2022年は3兆円超え
■新たな技術革新
・Google Swirl
■海外事業展開の加速
まず動向を学ぶ前に広告業界について数字で見てみましょう。
✔ インターネット広告費の成長
スマートフォンやタブレット、PCの普及率が高まり、誰もが簡単にインターネットを利用できるようになりました。そのため、近年、インターネット広告費が高い成長率を維持しています。
以下は、2014年~2022年までの総広告費及び、マスコミ四媒体とインターネットの広告費の推移を表したグラフです。
大手広告代理店である電通が毎年発表している「日本の広告費」によると、2021年「インターネット広告費」が「マスコミ四媒体広告費」を初めて上回りました。
マスコミ四媒体とは、新聞・雑誌・ラジオ・地上波テレビの4つです。
2022年のインターネット広告費は3兆912億円(前年比114.3%)となり、2兆円を超えた2019年からわずか3年で約1兆円増加しました。
インターネット及びインターネット広告費は今後はさらなる成長が予想され、広告市場全体を後押しする媒体となるでしょう。
参照元:
・dentsu 2022年 日本の広告費|媒体別広告費
・dentsu 2019年 日本の広告費|媒体別広告費
・dentsu 2016年 日本の広告費|媒体別広告費
✔ 新たな技術革新
今はIT技術の革新が目覚ましく、様々な業界やサービスで最新技術が使われるようになりました。広告業界も例外ではなく、今後は「体感型」「没入型」の新たな形の広告に進化していくといわれています。
例えば、Googleは、モバイル向けウェブサイトに3Dモデルを表示するフォーマット「Swirl」をリリースしました。3D Swirl は、3D モデルを使った没入型ディスプレイ広告フォーマットで、ブランド認知度と購入意向に大きな影響を与えることが期待されています。
既に大手企業がこの広告を利用しており、化粧品ブランド「ゲラン」は、Google Swirlを導入後、利用者の購入意向※が 17.2% 増加したと報告しました。
こうしたIT技術やサービスの革新によって広告のスタイルが増え、消費者への影響力がさらに大きくなっていくと予想されます。
※購入意向とは、商品の購入の有無に関わらず、購入したい気持ちを意味します
参照元:
・Google|3D Swirl クリエイティブ
・Forbes|未来の広告は3D(英文)
✔ 海外事業展開の加速
少子高齢化に伴う人口減少が進む中、国内市場は頭打ちを迎えることが予想されています。そこで、各社は海外での開拓に力を入れています。
広告業界首位の電通は、米国、欧州、アジア、中東、アフリカなど世界145以上の国と地域に進出しています。電通の海外事業の売上高は国内を上回っており、海外売上高比率は6割を超えています。
業界2位の博報堂DYホールディングスでは、米国、欧州、中国、アジアの18の国と地域に、100を超えるオフィスと5000人を超える社員がいます。
中でも、博報堂DYホールディングスではアジアを中心とした対応体制強化に力を入れています。中国本土の北京、上海、広州、武漢、長沙だけでなく、台北や香港にも多数のオフィスを置いており、近年はM&Aを通じて、タイ、ベトナム、インドネシア、インドなどを中心に、デジタル・アクティベーション領域※のサービスを拡大しています。
※デジタル・アクティベーションとは、商品やサービスを実際に体験できるイベントを通して消費者のエンゲージメント(ブランドに対する消費者の関与)を高め、短期的には購入促進、中長期的にはブランドに対する好意度・信頼感を高めるマーケティング手法を意味します。
国内ではデジタル化によるインターネット広告の台頭が見られますが、各社はその先も見据え、海外での事業展開に力を入れています。今後は、成長が著しいアジア各国の需要を取り組むことを目的としたM&Aが行われると考えられます。
参照元:
・電通|2022年有価証券報告書
・博報堂|事業領域 グローバル
広告業界の志望動機の書き方
広告業界の志望動機を書く際は「なぜ広告業界なのか」「なぜその企業なのか」をしっかりと深堀りしておくことが必要です。
広告業界は「クリエイティブ」や「かっこいい」といったイメージから、多くの就活生が志望します。
そのため、“なぜ広告業界なのか”については、「自分のアイディアで人の心を動かすような仕事がしたいと考えた」など、広告業界を志望する具体的な理由を伝えてください。
業界の動向で述べたデジタル広告への流れを踏まえながら、携わりたい事業やキャリアプランを明確に伝えていきましょう。
“なぜその企業なのか”については、志望企業の強みや事業形態などの特徴を調べて、競合他社と差別化しながら伝えていきましょう。
特に広告業界は電通の売上高が圧倒的に高いため、競合他社を受ける際には「なぜ電通でなくウチなのか」など比較させる問いへの答えをしっかりと準備しておく必要があります。
広告業界の志望動機の例文を見てレベル感を掴みたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
毎年就活生から高い人気を誇っているため、選考通過のためにはライバルと差別化された志望動機を伝えることが大切です。
この記事をもとに内定レベルの知識とノウハウを確認し、しっかりとした準備と対策を行っていきましょう。
広告業界でうける自己PRの書き方
自己PRの書き方について学ぶ前に、まずは広告業界の求める人物像を把握しておきましょう。
企業に評価される自己PRをするためには、その業界ではどのような人が求められているのか知っておくことが重要です。
広告業界の求める人物像
広告代理店では社外のクライアントに限らず、社内においても営業職やデザイナー職、マーケティング職など様々な人と一緒に一つのプロジェクトに取り組むため、異なる価値観、立場の人とも協力して成し遂げることができなければなりません。
また、時代やトレンドに合わせて新しいものを生み出していくため、柔軟な発想力や創造性も求められます。さらにクライアントの課題を解決するためにもお客様視点に立ち、物事を考えることができるという素養も大切です。
広告業界の求める人物像について学んだら次は自己PRの書き方を学んでいきましょう。
自己PRの基本的な書き方
自己PRを書く際は基本的に「強み⇨エピソード⇨結果・学んだこと⇨入社後どう活躍できるか」の順番で書きます。
(1)結論
自己PRを書く際は最初に「私は○○することができます」といったように自分の長所を端的に述べます。
最初に結論を述べ面接官に今から何の話をするのか伝えることで、聞き手側も話が入りやすくなります。
そのため、自己PRをする際は結論として、まず長所を伝えるようにしましょう。
(2)エピソード
長所を伝えたら、実際にその長所があることを証明できるエピソードを交えます。
ここではできるだけ具体的なエピソードを伝えるために、その出来事の中で生じた課題・目標や、その課題・目標に対してどのような行動をとったのかについてまで書くようにしましょう。
また企業は、課題・目標やそれ対する行動を通してその人の人柄や価値観を判断しているため、なぜその課題・目標に取り組もうと思ったのか、なぜそのような行動をとったのかについて、しっかりと見つめ直しておいてください。
(3)結果・学んだこと
エピソードの次は、自分がとった行動によってどのような結果になったかについても書きましょう。
結果を書く際は、定量的に表すことを意識してください。
例えば「〇〇というアイディアを出し実践したところ、売上を40%上げることができた」など数字を用いてアピールした方が相手に伝わりやすいです。
また、この経験を通して何を学んだのかについても書きます。
面接官はその人の学びからも価値観や人柄を判断しています。
価値観や人柄はその学生を採用するかどうかの大きなポイントとなるため、自分がどういった人なのか、いかにその企業に必要な人材であるのかをアピールするようにしましょう。
(4)入社後どう活躍できるか
企業は採用活動を通して、自社に貢献してくれる人材を求めています。
つまり、面接官にこの学生は「自社で活躍する素養がある」と思わせるのが大事です。
そこで自己PRをする際は、最後に今伝えてきた長所をどのように志望企業の業務に活かしていくかまで伝えるようにしてください。
そのためには企業が求めている人材像を把握する必要があります。業界研究・企業研究を通してどのような強みをアピールするのか考えておきましょう。
より詳しい自己PRの書き方について知りたいという方は以下の記事を参考にしてください。
まだ自己PRを考えてない人も、すでに考えている人も自分の自己PRがこれで大丈夫か確認してみてください。
広告業界の売上げランキング
ここでは広告業界のランキングを紹介します。まずは「売上」「経常利益」「利益率」のランキングを紹介していきます。
また「年収」「従業員数」「勤続年数」のランキングも以下で紹介しています。
広告業界の業績ランキング
参照元:業界動向サーチ/当広告業界の売上高ランキング(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。※2023年7月19日時点売上については1位が電通グループ、2位が博報堂DY HD、3位がサイバーエージェント、経常利益は1位が東急、2位が博報堂DY HD、3位がサイバーエージェントです。
売上や利益、利益率をチェックした方が良い理由は、以下の2点です。
■利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しているから
売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方が行っているビジネスの規模が大きいということです。
またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。
次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。
ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。
広告業界の社内環境ランキング
参照元:業界動向サーチ/当広告業界の平均年収ランキング(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。※2023年7月19日時点年収は1位が電通グループ、2位が博報堂DY HD、3位が東急、勤続年数は1位がセーラー広告、2位が博報堂DY HD、3位が東急となります。
勤続年数が長いということは定着率が高いということになります。一概には言えませんが、定着率が高い会社は良い会社である可能性が高いです。
また従業員数が多い会社は多様な人と関わり合うことができるというメリットがあります。
しかし多いと自分の意見が通りにくい場合もあるというデメリットもあるため、自分にとってどの環境が合っているのか考えてみましょう。
まとめ
本記事では広告業界について紹介してきました。広告業界の仕組みや動向について理解できたと思います。
選考を突破するためにはその業界を理解することが必要不可欠です。そのため業界研究をしっかりと行い選考に備えましょう。
また本記事で紹介した広告業界の志望動機・自己PRを書く際のポイントもぜひ参考にしてみてください。
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