●業界研究の目的は[志望業界を絞るため][志望業界について知るため][説得力のある志望動機・自己PRを書くため][視野を広げるため]の4つ。
●業界研究をおこなう際には[時間をかけすぎない][いつでも活用できるようにする][目的を見失わない]の3つに注意する。
「業界研究は大事ってよく聞くけど、何でやらないといけないの?」「本当に大事?」と思っている就活生はいませんか?
業界研究は就活において必要不可欠であり、必ずやるべき作業です。
本記事では業界研究とは何なのか、目的、やり方、オススメの本について紹介しています。
まだ業界研究をしていない人は業界研究の目的を知った上で、正しいやり方で進めていきましょう。
業界研究とは?
業界研究とは、様々な業界に関する情報を集め、業界ごとの特徴を理解することです。
具体的には、業界のビジネスモデルから将来性・成長性を理解し、自分がどのような業界・職種・企業で働きたいかを考えるための作業です。
我々の生活している社会には数多くの業界が存在しています。そのため、就職活動を始めるにあたって、まずは世の中に存在している業界を知り、就活の『方向性』をある程度絞っていかなくてはなりません。
業界研究を始める時期は人それぞれですが、4年制大学の場合、3年生の4月ごろから自己分析と合わせて業界研究を始める人が多いようです。
以下は、経団連に加盟している企業の一般的な就活スケジュールです。
効率的に業界研究を進めていくためにも、まずは業界研究の目的について学んでいきましょう。
業界研究の目的
業界研究の目的は以下の4つが挙げられます。
ただなんとなくで業界研究をやってもあまり意味はありません。業界研究の目的をしっかりと意識しながらおこなうようにしましょう。
・志望業界について知るため
・説得力のある志望動機、自己PRを書くため
・視野を広げるため
それぞれについて詳しく解説していきます。
志望業界を絞るため
志望業界を決める際は、業界研究で得た業界の業務内容や将来性などの情報をもとに、自分に合っているか、自分がやりたかったことができるかを判断していきます。
何の情報もなければ志望業界を決めるのは不可能です。自分が本当に働きたい業界を見つける・明確化させるためにも業界研究は必須となります。
志望業界について知るため
上述しましたが、志望業界を決める際にはその業界の情報が必要となります。
業務内容や将来性・成長性は、業界ごとに大きく異なります。そのため、業界研究を十分におこなわずに志望業界を絞って就活してしまうと、入社してから「思ってた仕事と違った…」「もっと将来性のある会社だと思ってた…」と自分の選択を後悔してしまうかもしれません。
ミスマッチによる早期離職を防ぐためにも、事前にその業界についてしっかりと把握しておきましょう。
説得力のある志望動機、自己PRを書くため
志望動機では自分がその業界や企業で成し遂げたいことを伝えます。そのためには業界の業務内容や企業の立ち位置を把握できていないと、説得力のある志望動機を作ることができません。
中途半端なアピールをしてしまうと、「本当にこの仕事がしたいの?」と不信感を持たれてしまう可能性もあります。また自己PRでは、自分の強みを業務のどんなところで活かすことができるのかを伝えます。
そのため業務内容が正しく理解できていないと「その強みは自社では活かせないな…」「他の業界の方が合うのではないか…」など、企業側に十分なアピールができなくなってしまうかもしれません。
そうならないためにも、業界研究を通して志望業界についてしっかりと把握しておくことが必要です。
視野を広げるため
業界研究をすることで視野を広げることができます。
「自分はこの業界にしか興味がない!」と思っていても、業界研究を通して業界について深く知っていくうちに、「業界は違うけど、業務内容が似てる!」「この業界じゃなくても、自分のやりたかったことができるんだ!」など新たな発見があるかもしれません。
初めから自分の選択肢を狭めてしまうのは非常にもったいないため、様々な業界について広い視野で学び、自分に一番合う業界を選んでいきましょう。
業界研究のポイント
ここでは、業界研究をおこなう上で意識してほしいポイントを2つ紹介します。
業界研究は業界のいろいろな情報を収集する作業になるため、十分な集中力やモチベーションが必要になります。なんとなくで進めるのではなく、上述した『業界研究の目的』や、以下のポイントを意識して進めるようにしましょう。
まずは業界全体を「広く浅く」理解するようにする
記事の後半[業界研究をおこなう際の注意点]でも紹介しますが、就職活動ではやることが数多くあるため、業界研究だけに時間をかけすぎるのは避けた方が良いでしょう。
また、業界研究では、1つの業界だけではなく、複数の業界について業界研究をおこない、比較検討することが望ましいです。
そのため、業界研究を始める際には、業界の細かな部分まで知り尽くそうとするのではなく、[広く浅く]理解することを意識しておこなうようにしましょう。
より深掘りした業界研究は、複数の業界について業界研究をおこない、自分の興味がある業界を見つけることができた後におこなうことをオススメします。
下記では実際に業界研究で調べた方が良い項目を紹介しています。何を調べたらいいのか分からず悩んでいる人は、是非参考にしてみてください。
「自分の言葉」で説明できるようにする
興味のある業界研究が一通り終わったら、それをそのまま終わるのではなく、『自分の言葉』で説明できるようにすることが非常に重要です。
どんなに時間をかけ、熱心に業界研究をおこなったとしても、それを面接などの場面で説明できなければ、熱心さや理解度の高さを十分にアピールすることができません。
自分の言葉で説明できるようにすることで、業界研究について得た情報や業界の仕組みをより深く理解することに繋がります。
また、自分の言葉で説明できるようにする際には、業界に関する情報だけではなく、「それに対してどのような考えを持ったのか」まで説明できるようにするようにしましょう。
業界研究のやり方
業界研究をする際は以下の流れに沿って行いましょう。
それぞれについて簡単に説明していきます。
1. 自分が興味のある業界・企業をピックアップする
まずは、以下の5つのカテゴリーから興味のある分野を探します。
抽象的で良く分からないという場合は、[情報通信 企業]というように調べて、トップに出てきた企業の公式サイトなどを見てみるのもいいでしょう。実際の業務内容などが分かりやすく説明されているため、自分の興味のある分野・業界なのか判断する際に役立ちます。
2. 情報を集めてまとめる
興味のある業界を見つけたら、いよいよ業界に関する情報を集めていきます。以下は業界研究の際に調べた方が良い項目のリスト(※)です。是非参考にしてみてください。
※エクセルで業界研究ノートを作成する場合、項目リストをそのままコピー・ペーストしていただくことで、フォーマットとしてご利用いただけます。
業界名・業種 | ・メーカー ・商社 ・流通、小売業 ・金融 ・サービス、インフラ ・ソフトウェア、通信 ・広告、出版、マスコミ ・官公庁、公社、団体※業種は「銀行、食品」など |
業界内のトップ企業 | ・企業名は正式名称で記載 ・業界の業績ランキングが掲載されているサイトから探すと効率◎ ・最低トップ3まで、余裕があればトップ10まで |
ビジネスモデル | ・「○○業界 ビジネスモデル」など調べて記載 |
市場規模 | ・「市場規模マップ」「業界動向サーチ」などで市場規模を把握・業界全体の売上げはいくらか、平均年収はいくらか、なども把握 ・より正確な情報は「○○業界 市場規模」と検索し、国や自治体が公表している情報を参照する |
平均年齢 | ・平均年齢と、それによるメリット、デメリットを記載 例)平均年齢が高いと安定はしているが、若手が活躍しにくい |
業務内容 | ・業務の内容や部門(トップ企業の公式HPで探す)→「誰に」「どんな商品を」「どのように売っているか」という3点を抑える |
業界の現状 | ・業界の売上推移などから現状を把握・売上高の増減などについては理由・原因まで理解すること ・「業界動向サーチ」などの動向がまとめられている記事を活用するのも◎ |
業界の課題 | ・業界が抱えている課題、他業界より劣っている点などを把握・課題に対する各社の対策をまとめると◎ |
業界の将来性 | ・市場規模や課題などから業界の将来性を把握 |
業界のトレンド | ・業界内でトレンドとなっている項目を記載 |
魅力 | ・主観的に魅力と感じた部分を記載 ・他業界よりも魅力的に見える点など |
関連する業界 | ・ビジネスモデルなどから関連する業界をメモ→同じく業界研究をして比較してみるのが良い |
自由欄 | ・気づいたことを自由に書く |
情報を集めたら、それらを手書きのノートやエクセルなどに綺麗にまとめた『業界研究ノート』を作ってみましょう。
この[業界研究ノート]は、インターンシップの選考、本選考のES、面接など様々な場面で使用する場合があります。後から見直しても意味が分かるように、丁寧にまとめることが大切です。
また、前述した通り、全体像を把握する段階では、業界について[広く浅く]理解することを意識しましょう。
3. 関連する業界など他の業界を調べる
業界研究では、様々な業界について研究し、比較することが非常に重要です。
1つの業界研究が終わったら、その業界と関連性の高い業界や、他の興味のある業界について調べてみましょう。業界同士の特徴や違いを比較しやすくするため、調べる項目を統一するのがオススメです。
1つでも多くの業界について理解を深めることができれば、[○○業界を志望する理由][○○業界ではなければならない理由]を明確にできるため、志望動機などが書きやすくなります。
時間に余裕があり、少しでも興味のある業界がある場合は、色々な業界の業界研究をしておくようにしましょう。
4. 志望する業界を決める→深掘り
複数の業界について業界研究をおこない、比較検討した後は、自分の志望する業界を1~3個ほどに絞り、さらなる深掘りをおこないましょう。
例えば、その業界に所属している企業はどんな企業か、その企業の企業理念や強みは何か、などより細かい情報を調べます。これが、業界研究の次のステップである『企業研究』にあたります。
少しでも気になる企業がある場合は、以下の項目をチェックしてみましょう。
・企業を選んだ理由
・間近3年の売上、利益の推移
・主力商品、サービス(3つ)
・メインの顧客(個人or企業/国内or海外/年齢層など)
・業界内における企業の強み
・代表的な企業の広告・CMのコピーなど
・企業に関する最新のニュース、動向
この場合も、なるべく同じ項目で企業の情報を集めるようにしましょう。複数の企業を同じ項目で比較することで、企業ごとの強みや特徴を見つけやすくなり、志望企業を絞ることができます。
より詳しい企業研究のやり方について知りたい方は以下の記事を御覧ください。
企業研究は、志望動機を書く際や入社後のミスマッチを防ぐための重要な作業です。
業界研究をする際に活用すべきもの
ここでは業界研究をおこなう際に活用すべきものを紹介していきます。
業界研究には終わりがないため、気づいたら時間をかけすぎてたということも多々あります。
以下で紹介するものをうまく活用し、効率良く業界研究を進めましょう。
業界研究の本
業界研究で本を活用したいと思っている人に向けて、オススメの本を5冊紹介します。
・就職四季報
・日経業界地図
・図解入門 業界研究
・業界大研究
本にもそれぞれ特徴があります。なんとなくで決めるのではなく、今の就活の進捗状況にあったものを選ぶようにしましょう。
以下の記事でそれぞれの本の特徴や、どんな人にオススメなのかについて紹介しているので本を使って業界研究を効率よく進めたいという就活生は、是非参考にしてみてください。
自分に合った本をチョイスすることで効果的な業界研究を行うことができます。
業界トップ企業の公式サイト
より具体的・リアルな情報を知りたいという方は、業界において売上やシェアがトップの企業の公式サイトを見てみましょう。業界の全体像だけではなく、その企業がトップである理由などを把握することができます。
この場合、1社だけではなく、売上のトップ3など関連する企業のサイトもチェックするのが良いでしょう。業界のトレンドや企業ごとの共通点・違いなどを理解することにも繋がります。
業界研究セミナー、合同会社説明会
業界研究セミナーではその業界で働いている社会人から直接話を聞くことができます。実際に働いている人からの話であるため、よりリアルな情報を得ることができるでしょう。
合同会社説明会は数多くの企業がブースを出店しているため、業界や企業に関する情報を一度にたくさんの情報を効率よく得ることができるというメリットがあります。
業界のリアルな話が聞きたい、幅広く業界研究がしたいと思っている人にオススメです。
就職情報サイト
就職情報サイトは、企業の採用情報や業界の動向など、様々な情報が記載されています。
そのためまだ業界研究をしたことがないという人はまず就職情報サイトを活用してみると良いでしょう。
また就職情報サイト内では、業界研究セミナーなどのイベントの情報が紹介されている場合もあるため、セミナーに興味があるという人も参考にしてみてください。
OG・OB訪問
WEBや書籍の情報だけでは十分な情報が集められない場合は、OG・OB訪問をしてみるのも有効な手段です。
OG・OB訪問では実際に働いている人からお話を聞けるため、インターネットには載っていないより『リアルな情報』を得られる可能性があります。
特に、業界に関するマイナスな情報(例えば残業が多いなど)は、企業のHPなどに載っていない場合が多いため、OG・OB訪問で聞いてみるのが良いでしょう。
以下の記事では、OG・OB訪問のやり方を詳しく解説しています。是非参考にしてみてください。
業界研究をおこなう際の3つの注意点
以下では、業界研究をおこなうにあたって、注意しなければならない点を3つ紹介します。
業界研究をスムーズに効率的に進めることができれば、[就職活動の良いスタート]を切ることができます。そのためにも、以下の注意点を意識しながら、業界研究を進めるようにしましょう。
業界研究だけに時間をかけすぎない
本記事では業界研究の目的や必要性を紹介してきましたが、業界研究が完璧=内定ということにはなりません。そのため、業界研究自体に時間をかけすぎるのは避けた方が良いでしょう。
志望業界を決める段階での業界研究では、業界のビジネスモデルや業務内容、成長性・将来性などをイメージできれば十分です。
ただ、選考が進むにつれ、業界に対するより深い理解や専門的な知識が求められる場合もあります。
そのため、最初から完璧な業界研究をおこなおうとするのではなく、業界研究を通して志望業界を絞った後は、作成した[業界研究ノート]にその都度情報を付け足していく形が良いでしょう。
業界研究ノートをいつでも活用できるようにしておく
業界研究をどれだけ完璧におこなったとしても、それらを実際に活用しなければ意味がありません。そのため、業界研究ノートは、就活中いつでも見返せるようにしておくことが大切です。
ノートの場合は持ち運び安い小さめのノートを使う、エクセルの場合はオフラインでも見れるようにダウンロードしておくなど様々な工夫をおこなうようにしましょう。
また、読み返したときにすぐに理解ができるように、言葉足らずな部分がないかを確認しておくことや、手書きの場合は文字を丁寧に書くことも必要です。
業界研究をおこなう際には[これから何度も活用する]ということを念頭に置いたうえで進めていきましょう。
業界研究の目的を見失わない
[業界研究の目的]でも紹介した通り、業界研究をする目的は、[志望業界を絞るため][志望業界について知るため]という目的の他に、[説得力のある志望動機・自己PRを書くため][視野を広げるため]という目的もあります。
しかし、中には、業界研究を進めていく中で本来の目的を見失い[ひたすら情報収集をおこない、クオリティーの高い業界研究ノートを作って満足している人]もいるのではないでしょうか。
業界・企業に対して数多くの情報や知識があったとしても、それだけで内定に繋がるわけではありません。
業界研究を進めていく際には、[視野が広がっているか][説得力のある志望動機・自己PRを書くのに役立ちそうか]という観点も忘れないようにしましょう。
目的を意識して作業することで、無駄が省かれより効率的な業界研究が可能になります。
興味のある業界がない場合は?
興味のある業界がない人・見つからない人は、『自己分析』から始めてみましょう。
業界研究は[ものをつくる][ものを売る][サービスや情報を提供する][社会基盤を整備する][資金を動かす]の5つのカテゴリーの中で、興味のある・惹かれる業界を見つけることから始まります。
しかし、自己分析が十分ではない場合、「どのカテゴリーにも興味が持てない…」となってしまう恐れがあるのです。
そのため、志望業界・興味のある分野が見つかっていない人、もしくは自己分析をまだやっていない人は、業界研究の前に『自己分析』から始めてみることを強くオススメします。
自己分析は、過去の自分の経験を整理して、価値観や長所・短所、得意不得意を再認識する機会となります。自分の得意不得意な分野を明確化させることで、「どのような業界であれば活躍できそうかな?」という視点からも業界探しが可能となるでしょう。
また、過去の経験とその時の自分の気持ちを振り返ることで、以前まで意識していなかった[自分の好きなこと][自分の興味があること]に気づくきっかけにもなるかもしれません。
このように、自己分析にはたくさんのメリットがあります。志望業界が見つかっていない人は、自己分析から始めてみるようにしましょう。
以下の記事では、自己分析のやり方について詳しく紹介しています。是非参考にしてみてください。
それぞれの特徴を理解して自分に最適なものを選びましょう。
まとめ
本記事では、業界研究の目的や、ポイント、具体的な手順や注意点を詳しく紹介してきました。
ただ、業界研究の方法や手順は人それぞれであり、絶対的な正解があるわけではありません。業界研究を進めていく中で自分に合ったやり方を見つけることができれば、よりスムーズな業界研究が可能となるでしょう。
しかし、[まずは業界全体を広く浅く理解する]というポイントや、[目的を見失わない]という注意点は常に意識することが大切です。
志望業界が絞られていない人や、自分の興味のある分野が見つからない人は、本記事の内容を参考にし、目的を意識したうえで、業界研究を効率的に進めていきましょう。
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