今回は、語学ビジネス業界のレアジョブについてや、中村岳社長とのインタビュー内容をお伝えします。同社の主力事業は英語関連事業で、サービスミッションの「日本人1,000万人を英語が話せるようにする。」を実現するために、日本とフィリピンに拠点をもち、「レアジョブ英会話」などオンライン英会話サービスなどを手掛ける会社です。
企業を知ろうーレアジョブってどんな会社?ー
レアジョブの4P
レアジョブについて、会社の魅力を4つのP(理念・職業・人事・組織)でまとめてみました。
実際にどんなことをやっているの?
レアジョブは、個人から法人まで幅広い顧客に、オンライン英会話教育サービスを提供している上場企業です。
「レアジョブ英会話」は同社が提供しているサービスの1つで、第二言語として英語を習得したフィリピン人講師6000名以上と5000以上の教材を揃えています。累計無料登録ユーザー数90万人以上、累計導入法人企業数3200社を超えています。
このサービスは、オンライン上で完結するので、自宅で手軽に毎日英会話レッスンを受講することができます。レッスンを開始したい時間の5分前まで講師を選んで予約が可能なので、予約もかなり取りやすいです。
毎日1レッスンのコースが一般的で、日常英会話コース、ビジネス英会話コース、中学・高校生コースが提供されています。
その他、ユーザーの使用頻度に応じて月8回まで利用できるお手軽なコースや、毎日2レッスン、または4レッスンまで受けられるコースも提供されています。
日常英会話からビジネス英会話まで多数のコースがあり、レッスンの内容や教師の質が高いことが最大の特徴です。使ったことや聞いたことがある方も、多いのではないでしょうか?
次の項目からは、レアジョブの中村社長とのインタビュー対談の内容をお伝えします。
社長になるまでの経緯や悩んでいる学生へのアドバイスをもらいました!
【インタビュー】中村社長の起業するに至った経緯や想い
ーはじめまして。本日は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。これからインタビュー始めていきたいので、ぜひよろしくお願いします!
中村社長:よろしくお願いいたします。
ー早速ですが、会社設立までの経緯や、起業するに至った想いをお伺いしてもよろしいでしょうか。
中村社長:もともと私自身は、世の中を変えていくようなイノベーションを生み出すサービスをつくっていきたいと、学生時代から考えていました。
その頃から一番の理想は、新しいサービス・モノをつくって、世の中の多くの人に使ってもらい、それによって世の中が変わっていくことでした。
大学院を出た後、NTTドコモに就職して研究所で働きながら、同級生と世の中に出せるサービスとして何かできないか考えていました。
試行錯誤の中でひとつ出てきたものがオンライン英会話です。
2007年頃、私自身「英語を話す機会があれば自分は英語をもっと話せるようになる」と感じていました。
と言いますのも、僕らの世代でスピーキングが弱い原因は、単純に中高大で英語を話す機会が足りなかったからです。
リスニングは、ラジオ・英会話でトレーニングできたとして、スピーキングは相手がいないとトレーニングができず、もの足りなさを感じていました。
当時の状況だと「英語を話す」という場が多くはなく、月額数万円を支払って英会話スクールに通っても、グループレッスンができる程度でした。
インターネットを使用するサービスもあまり見られませんでしたし、街に外国人がいっぱいいるなんてことも、まだまだ少ない状況でした。
そこで思いついたものが、Skypeを使って海外の人、特にフィリピン人とマッチングし、英語で会話するサービスです。
フィリピン人は発展途上国でしたから、1人ひとりの英語能力が高いにもかかわらず、物価にもギャップがあったので、フィリピン人を講師として雇えばコストを抑えられると考えました。
さらに、フィリピン人はホスピタリティも非常に高いため、日本人に教える先生として適切だったと感じています。
こうして、フィリピン人講師によるインターネットを使ったマンツーマンの英会話サービスの提供をはじめました。
自分自身がターゲットユーザーとなり、「自分が英語学習するなら、どうなっていると良いか?」と考えながら改良を続け、ユーザーを広げていきました。
ー世の中を変えたいという想いを学生時代からすでにお持ちで、卒業後、すぐに起業されなかったのはどうしてでしょうか?
中村社長:そうですね。確かに、卒業してすぐの起業は考えていなかったです。
「絶対に起業する!」という想いから入ったわけではなく、サービスをつくって世の中に広げていくための選択肢のひとつとして起業もアリだな、という程度でした。
試行錯誤の末、最終的に、あくまで世の中を変える手段として最短のルートが起業だと判断しました。
【インタビュー】起業後大変だったことや、現在の課題
ー実際に起業されて、これまで大変だったことや現在の課題はありますか?
中村社長:起業した頃でいえば、他に人がいなかったので自分で全部やっていたことです。
たとえば、プログラミングしてウェブサイトやサービスをつくっていくのも自分でしたし、ユーザー様からメールや電話がきたらそれも自分で対応していました。
マーケティングも広告も経理もすべて、自分で手を動かしながらやっていましたね。
だんだん会社が大きくなっていくと、人を採用することができるようになっていきます。
採用したら、自分がやってきた仕事を移行させていきます。
もちろん自分でやった方がうまくできるし、楽です。
でもそれを、他の人に任せていかなければならない。人に任せてそれでうまく回る仕組みをつくっていく必要があります。
そうすると、自分の手元からタスクが減っていきます。
そこでひとつの変化が生まれていくわけですね。
たとえばカスタマーサポートや経理をそういったところの専門の人に任せていくと、その分、自分の手から業務を離すことができます。
そうしてマネジメント的なところを中心に担っていきながら、マネージャーなどを採用し、育成できてきたら、次はさらに他のことを行っていけます。
その時に「この後何をやっていくのか?」と考え、新たな仕事を生み出していきます。
会社が上場した後のフェーズでは、もっと変化します。
事業自体を他の人に任せていくので、あまり細かいところに口出しせず、自分がやるべきことをどんどん変化させていっているというのが、経営者としての大きな変化ではないかなと思います。
ーお話を聞いていて「変化」という言葉がよく出てきたので、1つのキーワードなのかなと感じました。中村社長が普段から大切にされていることはありますか?
中村社長:はい。やはり「変化させていく」は、意識しながら取り組んでいます。
自分自身もそうですし、会社に対しても、現状に満足することなく、常に変化をさせていく必要があると考えています。
ー会社として成し遂げたいことなど、これからの方向性についてお考えがあれば伺いたいです。
中村社長:長期視点で言えば、グローバルに一定の影響力のある企業になることが一つの目指すべきポジションです。
短期的には、今期の売上高は54億を見込んでいますが、早期に100億円に、さらに次の桁の1,000億円を目指していきたいです。
また、さらなる事業拡大も目指したいですね。
当社グループでは「PROGOS」という英語スピーキングテストを中心としたアセスメント事業も行っているのですが、日本だけでなく、いずれは世界にもさらに展開していきたいです。
現在、社会人にはリーディングやリスニングメインがメインのTOEIC L&Rが英語力の基準として使われています。
この先は「PROGOS」が英語スピーキング力を測定する方法として一般的に普及し、世界中に広げていきたいですね。
その結果、レアジョブグループがグローバル社会に対して大きな影響力を持つ企業となり、アセスメント事業を通して人々の生活や生き方をより良くするのに貢献できると考えています。
【インタビュー】学生のみなさんへ
ー貴重なお話をありがとうございます。最後に学生へのアドバイスがありましたら、お聞きしたいです。
中村社長:多くの皆さんが今、就職活動をされているように、日本では新卒採用で入社するのが一般的です。
その部分において実は日本は特殊な国で、私は日本以外だと新卒採用をしている国はあんまり知らないです。
たとえばアメリカであれば、インターンをしてスキルをつけたりしながら、その後に次のステップとしてどこかの企業に採用される…といった流れです。
当然、スキルがある人の方が重宝されますし、スキルがない人を育てる分のコストを会社は取りたくないのが事実です。
では、日本はなぜ今まで新卒一括採用できていたかというと、基本的に会社をやめない前提があったからです。
終身雇用で働けることが基本の世の中だったので、最初の3年くらいは投資期間とみなしてコストがかかるけれども、長期的に見れば後から回収できればいいよね…というスタンスでした。
しかし、今はどんどん世の中が変わっていて、転職したり終始雇用が見直されたり、だんだんと他の国に近い状況に変わってきています。
そうなると、大学時代にしっかりと勉強して、特定のスキルとかを得ていかないと、その先の就職で困るかもしれません。
まずは、どういった専門スキルを自分が身につけていきたいのかを考え、その専門スキルを伸ばしていく。それを学生のうちから積み上げていくことで、さらに良いキャリアが築けると思います。
最近はオンライン完結型の教育事業や、インターンの機会もたくさんあるので、ぜひ何かに挑戦してみてください。
応援しています!
業界を知ろう 語学ビジネス業界とは?
改めて語学ビジネス業界の構造や動向についておさらいをしておきましょう。
業界の構造と仕事内容
語学ビジネス業界は、語学試験、留学斡旋、通訳・翻訳などの”周辺ビジネス”と”語学スクール”、”学習教材”に分かれています。
一般的に考えると、そのビジネスモデルは「語学力向上を目的とした顧客に語学サービスを提供する」かたちとなります。語学スクールなどでは幅広い世代が顧客層に含まれるので、語学ビジネスといってもサービス形態は多様です。
また、IT技術の発展や新型コロナウイルスの感染拡大により、多様なシーンでオンラインという手段も多く使われるようになってきました。実際に、学習教材では、既存のソフトウェア教材に追加する形でeラーニングが増え、オンライン英会話サービスも成長分野となっています。
業界の市場と動向
2020年の矢野経済研究所の調査「2020 語学ビジネス徹底調査レポート」によると、2019年度の日本国内における語学ビジネス総市場規模は、事業者売上高ベースで8,762億円です。分野は前述したように3つの分野に分かれていますが、”周辺ビジネス”が、3,534億円と約40%を占めており、”語学スクール”は3,501億円、”学習教材”が1,727億円です。
語学ビジネス市場は、グローバル化の進展やインバウンド(訪日外国人客)の増加、教育改革によって市場は拡大堅調でしたが、新型コロナウイルス感染拡大により休校を余儀なくされた外国語教室の市場規模は前年を下回る形になりました。
今後の市場は、前年度(2019年度)比9.4%減の7,940億円と予測されています。2019年度と同じように新型コロナウイルスによって、外国語教室や留学斡旋市場、通訳・翻訳ビジネス市場などへの影響が引き続きあることから、減少傾向で推移されています。
こうした事実がある一方で、オンライン語学学習市場については語学ビジネス市場全体と全く違うトレンドとなっております。コロナ禍で人々が外出できなくなったことから、個人ユーザーのオンライン英会話への入会が急増。これらのことから、2020年度のオンライン語学学習市場規模は、前年度比28.1%増の205億円と予測されています。
編集後記ーレアジョブのインタビューを通してー
中村社長は起業から上場企業に上り詰めるまで、様々な変化と向き合って来られました。
学生の頃から夢を持ち、自問自答を重ねながら変化に対応してきたのです。
中村社長のおっしゃる通り、社会は日々変わっています。
どこへ出るのがいいのか、何ををしたいのか分からず就活に悩んでいる私たちは、まず変化を意識しなければならないのではないかと感じました。
専門的なスキルを持つことが求められていく今後の社会において、何を習得していくべきなのか。
どのように進めていくべきなのか。
この記事を読んだ方も、まずは自分や周りの環境、社会の「変化」を意識することから初めてみてはいかがでしょうか。