今回は、株式会社Innovation IFA Consultingの馬場勝寛社長にお話を伺いました。同社は日本ではまだ少ないIFAによる資産コンサルティング会社で、国内金融機関にかかわるすべての人々にIFAという選択肢を増やすため活動されている会社です。
企業を知ろうーInnovation IFA Consultingってどんな会社?ー
Innovation IFA Consultingの4P
Innovation IFA Consultingは、IFAによる資産コンサルティング会社です。
Innovation IFA Consultingについて、会社の魅力を4つのP(理念・職業・人事・組織)でまとめてみました。
実際にどんなことをやっているの?
IFAとはIndependent Financial Advisorの略称で、日本語で独立ファイナンシャルアドバイザーと呼びます。欧米では約30万人のIFAが存在しますが、日本では約3千人とまだ一般的ではない職業です。
Innovation IFA ConsultingではIFAによる資産運用、保険業、顧客相談などの業務を行っています。通常の証券会社や保険会社と異なり、顧客に合わせ業務委託先の証券会社・保険・金融商品の紹介・提案します。
大手金融機関にありがちなノルマや会社都合による提案がなく、取引企業を超えて顧客にあった会社、商品を提供しています。
またサッカー選手への資産運用ノウハウも蓄積しており、プロサッカー選手に寄り添って現役からセカンドキャリアへと進む中での資産管理サポート等のサービスを行っています。
次の項目からは、株式会社Innovation IFA Consultingの馬場勝寛社長にインタビューとの対談の内容をお伝えします。
社長になるまでの経緯や悩んでいる学生へのアドバイスをもらいました!
【インタビュー】今までの経緯
―はじめまして。本日は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。
これからインタビュー始めていきたいので、ぜひよろしくお願いします!
馬場社長:はじめまして!こちらこそよろしくお願いします。
―会社設立までの経緯をお聞きしたいです。
馬場社長:もともとは、野村證券という会社で5年間営業をしていました。
野村證券自体はすごく良い会社で自分も好きでした。営業成績の毎日全国ランキングで上位にいることをモチベーションに日々働いていました。
そんな中3年目の終わりから4年目の終わりにかけて、野村證券の制度で北京に留学させてもらったことがありました。仕事としてではなく完全にフリーな留学で、現地の人たちとずっとサッカーをする日々でした。
中国の人とか欧米の人と一緒にいることが多かったのですが、その中で中国のとても合理的なビジネス観、日本の非合理的なビジネスの欠点をとらえることができました。
どのような差かというと、例えば成果評価するとき、「同じ結果を出すのであれば短い時間で結果を出してくれる人の方が成果としては高い」と判断するのが中国です。
日本の企業だと、だらだらとした仕事していても「時間をかけてしっかりと頑張って成果を出してくれたね」と評価されます。日本のそんな姿にそれはちょっと違うなと思いました。
このように、北京で過ごした1年間で営業の仕事から離れてできた、たくさんの時間でいろいろ考えるようになりました。働いていく中で物足りなさやもっと自由に働きたい想いが沸き起こってきたんです。
日本に帰ってきて、入社5年目になった僕はまた支店に営業として配属されました。その時に求められた会社からの立ち位置は「育てる側」でした。
僕からするとまだ学びたいと思う気持ちが強かったんです。自分の持っている知識や営業力、お客様への対応能力はまだまだ劣っているのに「育てる側」になると、もう私に成長はないのではないかと考えたんです。
僕には絶対に敵わない、師匠のような存在が常に欲しかったんです。それが当時はいないまま、自分が教える立場にならないといけなくなったわけです。5年目の社員が支店のみんなを育てるという立ち位置に自分がいること自体に違和感を覚えました。
そんな中IFAという職業の存在を知り、この職であれば自分の持つ知識を生かしたうえで、自分のやりたいように働けると思ったんです。
そこで当時今の会社と同じような業種の会社で営業として、席をおかせてもらいました。
仕事自体はとても好きだったのですが、その会社に入って1年後にはやはり自分ならこうしたいという考えが再燃してきてしまいました。
結果的に、同じ職種の自分が思い描くような会社を作り、運営していきたいという想いで立ち上げに至りました。もう2年経ちます。
現在はIFA業界を日本に浸透させたいと思っています。
金融という概念でいうと、証券・銀行・保険が恐らく三大金融機関と認識されていると思います。私は10年以内に「第四の金融機関」という立ち位置でIFA業界が世間に認知され、その時のリーディングカンパニーが弊社であることを目指しています。
―今に至るまでに一番大変だったことは何でしょうか。
馬場社長:一番苦労したのは2019年の2月に会社を立ち上げたときです。
経営者として何をしたら良いかわかりませんでした。その中で営業として売上を上げないといけないし、経理も自分でやらなければいけない。今までやったことないことだらけだったので、本当に大変でした。
当時は誰かに聞いたりせず、自分で勉強していました。いろんな人からアドバイスを頂いたことも勿論ありましたが、基本的に知らなかった知識はネットや誰かに聞いたらすぐに分かることがほとんどでしたからね。
もちろん乗り越えていく中でいろんな人にお世話になりました。人との出会い、人とのつながりは今もとても大事にしています。人脈という言葉は好きではありませんが、当時助けていただいた要因はそういった部分なのではないかなと感じています。
―不安に思うことはなかったのでしょうか。
馬場社長:もちろん不安でした。
ただその不安に打ち勝つために「言い訳のきかない環境」を作りました。自分で会社作ってやることは誰のせいでもなくすべて自分のせいですからね。不安や頑張ろうという気持ちなどがいろいろと交錯していた感じです。
私は自分がやろうと思ったら、結構そっちに突っ走るタイプです。
意思が固まればそこにある一般的なリスクとか怖さを感じて引き下がるというよりは、あまり自分にとっては関係なかったのかなと思います。
ストイックに見えるかもしれないですけど、あんまり自分自身はストイックじゃないと思っています。結構だらけちゃったりしますからね。たぶん見せ方だと思いますよ。ダメだった時期はホントに何もしませんでしたから。
【インタビュー】理想の組織・人材ープライドを折ることができるかー
―ビジネススタンスはどのようなものでしょうか。
馬場社長:私は基本的に何かを与えないと返ってこないと思っています。もちろん与えたとしても返ってこないこともよくありますが、どちらにせよ与えなければ話になりません。
ギブアンドテイクという言葉がありますが、結構ありがちなのが先にテイクを求めてしまう、何かを求めちゃう人です。
何かをするにしても、求めるよりも先にその人が求めていることをこっちがしてあげる。それが結果的に自分に返ってきますし、ビジネスにも繋がるかなと思って、結構意識してやっています。ギブしまくる感じです。社内でも結構言っていますね。
―お考えの理想の組織ってどういったところになりますか。
馬場社長:雇われ感覚の社員を抱える組織ではなく、全員が経営者目線で、1人で戦えるスピリットとスキルを持ったような人を社内でどんどん作れる組織を目指しています。
全員がリーダーシップを取ることができ、個々が戦えるメンバーがいるチーム。サッカーで例えるならば、バルセロナではなくレアルマドリードのようなチームですね。
僕の理想はチームプレイは当然として、個々がスーパースターであり、個性のたっている最強の集団となることです。
マネジメントに関しては自分があまり口に出してとやかく言わないようにしています。時代と逆行しているかもしれませんが「見て学ぶ」という、ある意味職人的気質な教育スタイルです。
学ぼうという意欲をもって学べる人でないと、1人で戦える人材にそもそも育ちません。
私たちは、積極的に学ぼうという姿勢をもつ人にさらに知識や能力、技術を培って欲しいと思っています。
ー理想の組織を目指すにあたって、社員の持つべき心構えはどのようにあるべきであるとお考えでしょうか。
馬場社長:幼少期から学生時代の経験の中でつくられるその人のもともとのマインドも勿論大事だと思っています
しかし、社会に出てから色んな環境の中でマインドは変わっていきます。
僕自身も会社を立ち上げようと当時思っていたわけではないのに、今こういうことをやっています。そういった意味では元のマインドは関係ないのではないかと思います。
例えば、プライドの高い人はたくさんいると思います。今まで自分が学生時代培ったことからプライドを持ってやっている人ですね。
もちろん自分の軸となるような折ったらいけないプライドは持たないといけません。
実績や努力の時間といったこれまでがんばってきた経験、頑張れたという証は自分の芯をつくる大切なプライドです。しかし、折らないといけないプライドというものも存在します。
社会に入ってすぐの時というのは「俺が一番だ!」といったプライドを持った人たちがたくさん集まります。もちろんそんな甘い世界ではありませんから、みんなその後に1回プライドをへし折られるわけです。
僕も学生時代サッカーなどのスポーツ分野での自信がありました。
野村證券入った時も「自分は今まで成功してきているから、絶対大丈夫」だと思いあがっていたんですね。
そして実際仕事してみると全然できない自分に気づかされてプライドがへし折られました。
大事なのは折れた後に新たな人格を形成して成長できるかどうかです。プライドを折ることができない人は多分変われません。学生時代に培った経験のほとんどは、それだけでは社会人になってから通用するものではありません。
成功のために「この分野に関しては出来ない」ということを認められるか、ここが一番重要です。
【インタビュー】学生へのメッセージ
―最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。
馬場社長:就活というと、よく何社も選考を受ける人がいると思いますが、僕は極論1社で良いと思っています。
何社も受けると、多分その会社にあわせた、入社の希望理由なんかを書いたり言ったりしないといけないですよね。
面接官は本当にうちの会社に入ってほしいと思ってもらっている人材なのか、何社も受けているうちの1社なのかということはその文章や態度を見れば判別できると思っています。
まだどこに入っていいか分からない状態の学生のみなさんにとって、とても難しいものかもしれません。ですが自分が直感的にここに入りたいと思う会社、もしくは業界というものは必ずあると思います。
そういった自分が入りたいところを1社受け、落ちたら浪人してまた次の年に入ればいい。むしろそれぐらいしてでも入りたいと思える会社でなければ入社しない方がいいのではないかと考えています。「1社しか受けない。でも落ちたら浪人だ。それは嫌だ。」そうなったら受かるために全力を出し切るはずです。
自分の思う最高の会社に全力の思いを伝えることを一番に考えてみてください。
業界を知ろうー証券業界・IFAとは?ー
業界の構造と仕事内容
今回インタビューしたInnovation IFA ConsultingさんはIFAと呼ばれる金融業界の中の業態の1つを提供しています。今回は金融業界の大枠からIFAについて簡単に説明していきます。
そもそも金融とは、お金が余っているところから、足りないところに融通することを言います。代表的な金融業界の形態として、銀行、証券、保険といった業態があげられます。
特にIFAは証券業界と結びつきが強い業態です。
証券会社は、株式や債券などの金融商品に関する取引窓口として、その仲介を行う企業です。証券会社の機能を大きく分類すると、下記の4つに分類されます。
・株式売買の取次など売りたい人と買いたい人の注文を証券取引所に伝えるブローカー業務
・証券会社が自分のお金で一般の投資家と同じように株などの有価証券を売買するディーラー業務
・新規の株式や債券などの有価証券を買い取って販売するアンダーライティング業務
・発行元や引き受け会社から委託を受けて株などの有価証券を一般投資家に販売するセリング業務
IFAは資産運用のアドバイスを行う専門家です。日本では「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれており、証券会社や銀行と提携を結んで、金融商品の売買仲介を行う国の登録を受けた金融商品仲介業者のことを指します。
彼らは金融機関から独立した資産運用アドバイザーでありながら、証券会社のように金融商品の仲介も行えます。銀行や証券会社と異なり、管理システムの維持や人員確保のためのコストがかからず利益に縛られない金融商品の提案ができることが強みです。
業界の市場と動向
金融市場全体の規模は60兆円と言われており、その中で証券業界は約3.9兆円の市場規模があります。
銀行・証券、保険商品や消費者金融の一元化が進んでいる中で、証券業界はその主役に躍り出るポテンシャルを秘めています。
金融先進国と言われるアメリカでは、世界に先んじてIFAが普及しています。彼らの社会的地位は医師や弁護士に並ぶほど高く、人生に不可欠な「専門家」として活躍しているのです。
一方日本のIFA企業は900社ほどで、全体の人数では4000名と少ない状況です。しかし資産運用の必要性が改めて認識されるようになってきた現代において、特定の金融機関に偏らないIFAのサービスは徐々に必要性を高めています。
【参考サイト】
・en-courage 証券会社とは?仕事内容とビジネスモデルをわかりやすく解説
・キャリアブックス 【3分でわかる】証券業界の今後の動向や課題は?主要企業の比較やランキングも紹介
・IFAナビ IFA(資産アドバイザー)とは?分かりやすく図解します
さいごにーInnovation IFA Consultingのインタビューを通してー
馬場社長のおっしゃった「プライドを折ることができるかどうか」のお話はとても印象に残りました。どんな人でも今までの生活で自慢できることや努力した経験はあると思います。
しかしその実績だけに目が行き、それだけで何でもできると慢心してしまうのは本当によくないことだと実感しました。
よく就活をゴールだと例える人もいます。しかし就職した企業でどのように自分を作っていくのか、どのように組織や社会に関わっていくのか。そういった本質を心の片隅に住まわせる精神が大切なのではないかと思います。
改めて、馬場社長貴重なお時間をありがとうございました!