今回は大学生の松村が、ジャパンクリエイトグループの五十嵐会長にお話を伺いました。
同社は大阪府大阪市に本社を構える会社で、製造・物流業向け人材サービスをはじめ、幅広い事業を展開する多角経営型の会社です。
企業を知ろうージャパンクリエイトグループってどんな会社?ー
ジャパンクリエイトグループの4P
ジャパンクリエイトグループについて、会社の魅力を4つのP(理念・職業・人事・組織)でまとめてみました。(下記はグループ企業の一つである人材ビジネス企業株式会社ジャパンクリエイトの内容です。)
実際にどんなことをやっているの?
株式会社ジャパンクリエイトグループ傘下には人材サービス事業、食品流通事業、フランチャイズ事業、飲食事業、販売促進事業、ライフケア事業、地質調査事業など16の会社があります。
特に今回インタビューを行った五十嵐会長が創業した株式会社ジャパンクリエイトは、人材サービス事業を中心とするアウトソーシング会社です。人材サービスのアウトソーシングといっても、ジャパンクリエイトの手掛ける事業は多岐にわたります。
人材派遣サービスのほか、製造業界向けの「製造業務請負サービス(M.O.S)」と物流業向けの「物流業務請負サービス(L.O.S)」からなる業務請負サービス、海外人材サービス、翻訳・通訳サービス、フォークリフト教習センターの運営まで、国内外に広いネットワークを張って様々な要件に対応しているのです。
次の項目からは、ジャパンクリエイトグループの五十嵐会長との対談の内容をお伝えします。現在までの経緯や悩んでいる学生へのアドバイスをもらいました!
【インタビュー】苦しさから見出してきた道のり
ーはじめまして。本日は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。
これからインタビューを始めさせていただきますので、ぜひよろしくお願いします!
五十嵐会長:はじめまして!こちらこそよろしくお願いします。
ーはじめに現在に至るまでの経緯をお聞かせください。
五十嵐会長:私は大学中退後、いくつかの会社を経験し、27歳の時に人材ビジネス会社に入社。そこで14年間働くことになりました。成長企業で、かなりハードな仕事でした。
この14年間で経験したのは「世の中の理不尽さ」でした。
例えば、営業所に本社のオーナーから電話がかかってきたとき、「どちら様でしょうか?」と聞いた事務員を、「俺の声がわからないのか」といってクビにする経営者であったのです。今では考えられない世界ですよね。
オーナーの鶴の一声で事が決まってしまったり、社員をクビにせざるを得ない状況を作ってしまったりする会社があって良いのだろうか。そんな疑問を抱いていました。むしろ社員が安心して働ける企業を創りたい。そう考えるようになったんです。
その後、将来独立して理想の会社を創るという夢を部下たちと語らったことが、どこかから漏れて、社長として務めていた会社を解任されました。 人も物もお金もなにもない中で、製造業向けの人材サービス業を立ち上げました。
はじめは本当に苦しかったです。死に物狂いで働きました。設立から3年経過し、元の会社にいた部下たちが合流しました。彼らの力もあり、設立5年で売上100億円規模の会社に成長しました。
しかしもちろん今に至る道のりがずっと平坦な道であったわけではありません。リーマンショックが起こった時、再び私たちは危機に陥りました。
当時、製造業界が大きな打撃を受け、私たちのビジネスも危うい状況になりました。あちこちの地域で解約、契約解除、そして世論に派遣切りなどと言われ、業績においては売上が3分の1となり、1億円の赤字が半年続くほど追い詰められたんです。その後、やはり事業の柱は一つではダメで、多くの柱を作ることが会社を安定させると考え、事業の多角化に踏み切りました。
そして生鮮事業においては売り場だけで全国約1500店舗まで成長しグループでも1番の規模に成長しました。現在は35ほどの事業を16社で展開しています。
こういったポートフォリオ戦略によって、ひとつの事業が悪い時に、別の事業が支えるといった事業組織を構築したのです。リーマンショックを受けて作り上げたこの戦略によって、現在のコロナ禍においても会社を安定して経営することができています。
【インタビュー】社員が生き生きと仕事できる環境を!
ー社員を抱える立場となった今、人材についてはどのようにお考えでしょうか?
人が働きやすい環境整備は創業当時から重視してきました。
利益のため社員を道具のように扱うことは一切せず、社員が心地よく働き会社も潤うような環境を作り出すことが目標でした。私たちの会社では頻繁に社員のディスカッションを行っています。仕事の面だけでなく、人間関係や会社環境、つらかった時期についても丁寧に話を聞き、それぞれの社長が彼らの願いにこたえられるように動いています。
人間って本当にたくさんの色があります。一側面では語れないところまで知り、カバーできるかが大切です。
また人材を育てないとサービス業は新たな差別化をすることができません。そもそも私たちにはモノなど形のある商品ではなく、仕組みを売っていく会社です。サービスを提供する私たちには、差別化のために人材を育てる必要がありました。
私がずっと求めている人材は、自分が先頭に立ってやるという気概を持つ人です。生鮮事業を展開しているグループ会社において、事業を運営しているのは、80名強の委託事業主たちです。
始まりは直接雇用の社員に任せていましたが、委託事業という形で任せてからは、より一生懸命に取り組むようになりました。そのビジネスモデルで事業を拡大させていきました。そして委託事業主は現在も大きな収入を得ております。
このように自分で責任を持って作り上げていこうという経営者を育てていくことも重要なことかと思います。
【インタビュー】学生の皆さんに向けて
ー最後に学生に向けてメッセージをお願いします。
五十嵐会長:私自身、大学在学中遊び呆けておりました。そのため途中で辞めてしまいました。社会に出た瞬間が新たな人生の第一歩だと思います。
今までどんな人生を歩んできたかを一度捨てて、1からスタートだという考えで社会に、事業に飛び込んでいきましょう。
スタートラインは社会人1年目。そこから3年間はがむしゃらに働いて、土台を作っていくのです。普通のサラリーマンでも3年一生懸命に働けば、結果はついてきます。その後の人生を楽しむためにもいいスタート切っていってください。
業界を知ろうー人材サービス業界とは?ー
人材サービス業界では実際どのような仕事が行われているのでしょうか。
人材サービス業の構造と仕事内容
人材ビジネス業界は主に「人材派遣業」「人材紹介業」「再就職支援業」の3つに分けられることが多いです。そのほかにも人材コンサルティングや人材広告など多くの種類があります。
①人材紹介業
人材紹介業は、求職者と求人者(企業)との仲介を行い、双方のマッチングを成功させる役割を持っています。通常求人者が担う「採用」に関する部分を担うため負担は大きいものの、求職者と求人社のミスマッチを減らすことができます。
②人材派遣業
人材派遣業は、派遣会社に登録している求職者を企業に人材派遣する、というビジネスモデルを持っています。このモデルはとても利益を出しやすい構造になっているものの、競合とのサービスの差を作りにくくなっています。
株式会社矢野経済研究所の調査データによると、2019年度の人材ビジネス3業界野市場規模は事業者売上高ベースで前年度比4.5%増の7兆128億円で、特に2019年度の人材派遣業のみの市場規模は6兆6,800億円ととても大きい割合を持っています。
さらに一般社団法人日本人材派遣協会によると、2020年1~3月平均の派遣社員数は約143万人であり、派遣をまとめる人材業界の規模は拡大しつつあります。
③再就職支援業
再就職支援とは、不況や災害などで企業が人員削減を行った場合に、退職者の”再就職”を支援する人材会社の事業です。主に退職者に対してのカウンセリング、自己分析のサポート、求人紹介、面接や履歴書の添削まで退職者に寄り添ったサービスを手掛けています。
もともと雇用していた企業が人材会社と契約し、企業に代わって退職者の新しい就職先を見つけてくる、という構造になっており、特徴として他の転職支援サービスと異なり、お金を払うのが「人員削減を行う側の企業」であることが挙げられます。
一般的に、①や②で説明した人材派遣や人材紹介の事業を行っている会社が一緒にサービスを行っているケースが多くみられます。「再就職支援」のサービスはアメリカで生まれたということもあり、外資系企業に多く見られます。
ジャパンクリエイトグループの中心企業ジャパンクリエイトでは、特に②の人材派遣業を手掛けており、シフト制の人材派遣や海外人材の派遣も行っています。
人材サービス業の今後の動向
昨今の法改正や最低賃金の引き上げなどが影響し、人材派遣業者の人材紹介業への参入が増えてきています。
またコロナ禍の影響を受け、商業施設や、旅行・ホテルなどのサービス業は採用需要が低くなっている一方で、医療介護業界、IT業界ではハイレベルの人材への需要が拡大しています。
今後、経済活動の停滞や事業展開の遅れによって市場縮小の可能性も見込まれているものの、急速な業績の悪化による早期・希望退職を実施する企業の増加が予見されおり、そういった市場へのさらなる拡大が見込まれてます。
【参考サイト】
- unistyle 【業界研究】人材業界とは?概要やビジネスモデル、市場規模を解説
- 人材紹介マガジン 【最新版】人材業界の市場規模・業界地図とコロナ以後の動向
- 矢野経済研究所|2020年版 人材ビジネスの現状と展望 PART1 総合編
さいごにージャパンクリエイトグループのインタビューを通してー
ブラック企業という言葉が有名になってから社会は大きく動いてきました。五十嵐会長の語られた「理不尽にまみれた環境」は今ではあまり見られないものかもしれません。そんな中を歩んできた五十嵐会長が社員を守る企業を創ろうと考えた想いにとても感動しました。
この記事を読まれた学生の皆さんも「社内環境はいいのかどうか」に悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。自分たちに合った環境の会社を見つけ、その中でより過ごしやすいように環境を変えていくことの大切さを実感したインタビューでした。
改めて、五十嵐会長、貴重なお時間をありがとうございました!