今回は大学生の松村が、ノアインドアステージ株式会社の大西雅之社長にお話を伺いました。同社はテニス事業を手掛けている会社で、洗練された「ノアイズム」のもとに顧客へテニスによる健康と感動を届ける情熱的な企業です。
企業を知ろうーノアインドアステージってどんな会社?ー
ノアインドアステージの4P
ノアインドアステージは、テニスに関するスポーツ事業会社です。
ノアインドアステージについて、会社の魅力を4つのP(理念・職業・人事・組織)でまとめてみました。
ノアインドアステージの4P
ノアインドアステージではテニスクラブ及びテニススクールの企画・運営、テニスインストラクターの養成・派遣、テニスイベント企画運営、テニス用品販売といったテニス関連事業を行っています。
「お客様感動」「現場主義」「チームワーク」「利他の心」「チャレンジ精神」「学ぶ姿勢」「360度笑顔」の7つのキーワードからなる「ノアイズム」を掲げ、日々お客様と自身の志事に真剣に向き合っています。
現在ノアインドアステージは国内、海外あわせて29校のスクールを展開し、3万5000人以上の生徒が所属しています。職種としては、「コーチ職」と「フロント職」の2種類があります。
平成28年度の総務省の調査によると、年1回以上テニスを実施する「テニス人口」は343万人です。ノアインドアステージのスクールがある北海道、東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府、兵庫県は、都道府県別テニス人口ランキング上位10位にランクインしています。2011年の調査結果と比較すると、以上の都道府県ではテニス人口は増加傾向にあるため、テニス事業の拡大が期待できると言えるでしょう。
次の項目からは、ノアインドアステージの大西雅之社長にインタビューの内容をお伝えします。社長になるまでの経緯や悩んでいる学生へのアドバイスをもらいました!
【インタビュー】社長になるまでの経緯
ーはじめまして。本日は貴重なお時間を頂き誠にありがとうございます。
これからインタビューを始めていきます。よろしくお願いします!
大西社長:はじめまして!こちらこそよろしくお願いします。
ーまず社長になられるまでの経緯をお聞きしたいです。
大西社長:僕の家は元々製造業として火をつけるマッチを製造する会社を営んでいました。長男だった僕は、小さい時から跡継ぎとして育てられ、自分でも素直に「跡継ぎになろう」と考えていました。
高校生の頃、父が工場跡地を利用したテニスクラブを始めました。今のテニスビジネスのきっかけです。元々テニスの事業というのは土地活用の一環で、当時父も「駐車場にするぐらいなら、テニスコートにしよう。固定資産税が払えるぐらいになればいいかな。」くらいでビジネスとしてまったく考えていませんでした。
親から勉強するよう言われながら高校生活を過ごし、嫌いだった勉強を頑張って進学校に入学しました。当時は落ちこぼれでしたし、大学に進んでも勉強は嫌いなままだったんです。
大学2年生と3年生の間には1年休学して、アメリカ留学にいきました。見知らぬ土地ではだれにも頼ることができません。もともと劣等感の強かった自分にとって、この留学は自信をつけることができた1年でした。
僕がテニスに出会ったのは大学に入ってからです。中学高校と卓球部だったのですが、父親がテニスビジネスを始めたときに「テニス部に入れ」と言われて始めました。今思えば親の敷いたレールにのって生きてきたと思います。
社長になろうと決意したのは、当時の劣等感が影響しています。中学生の頃卓球で姫路のチャンピオンになりましたが、高校では全然通用しなかったんですね。勉強でもスポーツでも自信をなくし、劣等感を抱き続けていました。
頭の良い人に何とか勝ちたい。自分の得意な行動力や親の事業を活かせないか。そんな考えのもと、東京で成功しているインドアテニス場を探して、根掘り葉掘り全部教えてもらいました。そもそもテニスはビジネスとして成り立ちません。教えてもらったことをそっくりまねして、「自分の土地ではなく他人の土地を借りて出来るビジネスモデル」を作りました。テニスビジネスの成功はそこから始まったんです。
ー経営者として一番大変だったことは何でしょうか。
大西社長:社員との関係性です。経営者としてはじめに目標としたのは、まねたインドアテニス場の「大成功した見本」でした。
劣等感をすごく持っていた自分は「会社を大きくする」「経営者としてすごくなりたい」といったエゴがありました。そのため従業員のことを考える余裕が足りていなかったんです。
成功が続くにつれ、事業拡大していき、現場を任せっきりになることが多くなりました。結果、テニスのコーチたちとの関係性が次第に複雑になってしまったんです。
彼らは職人です。料理人を預かることは難しいと言いますが、経営者として料理が出来ない自分にとって、コーチ達に辞められたらとても困ります。当時の現場では人間関係が悪化し、影口や悪口が飛び交うようになり、退職する人も増え、入る人も増え…。そうなってから「このままでいいのか」と思うようになりました。
この状況を何とかするために、僕は従業員の満足度の高い企業に勉強しに行きました。あまりの違いと、凄さに感動で口が開いたままでした。そこから従業員との関係性を見直し始めました。
積極的に話を聞いたり、現場ともっと関係性を強めたり、研修に力を入れたりと社員に対して多くの時間を割くようになりました。徐々にこの考えが会社の幹部たちに伝播し、会社を好きな人間も出てきました。
そうして人間関係や会社自体も大きく変わっていき、従業員の満足度も格段に上昇させることができました。今では社内でカップルや夫婦もできるとても良い関係性をつくれています。
【インタビュー】若きテニスプレイヤーたちの未来を応援したい
―会社としての今後の夢や理想の姿はどのようなものでしょうか。
大西社長:「テニスの事なら何でも我々に任せてください」といえる会社になりたいです。
古くからこの会社に勤めてくれたベテラン社員さんが定年を迎えだして、現在重要なポストが空き始めています。このポストをきっちりと皆で回るようにしていかないといけません。
組織の上層部が詰まってしまうと組織として夢を追うことが難しくなってしまいます。若い世代もポストにつくことで夢の広がる将来を切り開いていってほしいです。
テニスの世界は錦織圭選手や大坂なおみ選手のような方々が業界を引き継いでいかなければいけません。夢をもつ若いジュニアたちにとって良い成長の場を提供する。そのための施設を将来的に作りたいと思っています。
錦織選手がフロリダのテニススクールに通われていたのはご存じですか。実はああいった小さいころから住み込みで練習に打ち込めるよう、大きなコートや施設を備えたスクールを千葉県の白子に「ノアテニスアカデミー千葉白子」をオープンしました。将来プロを目指して活躍するメイドインジャパン選手を生みだせたらいいなと思いますね。
【インタビュー】学生へのメッセージ
―最後に学生へのメッセージをお願いします。
大西社長:皆さんにはぜひ自分の強み・長所に合う仕事を見つけてほしいです。
自分の長所なんてわからない、そんなものない。そう言って悩む人も多いと思います。そんなときは友達に協力してもらいましょう。
友達のグループで集まって、それぞれの良いところについてメモを取り合ってみてください。他人から見た自分と自分が思っている自分が一致したり、全く違ったりすることがわかるはずです。自分では2つくらいしかないと思っていたのに、みんなに聞いたら20個も出てきた、なんてこともよくあります。
人は自分を認めていない人ほど長所を書くことができません。逆に言えば書けていない人ほど自分を肯定していないということです。友達から自分の良いところをたくさん聞いて自分に自信を持ってください。
そして良いところが見つかったら、それに合う会社を見つけてください。特に会社の風土が一番大切です。
例えば大企業に就職したとしても実際に社内で何を担当するかなんてほとんどわかりませんし、希望通りいくとは限りません。ですがどんな仕事でも一生懸命にやっていたらきっと何かが見えてきます。
重要なことは環境です。大企業でも環境や人間関係が恵まれなかったら悲惨ですし、中には大きなストレスを抱えて鬱になってしまう人もいます。そういった環境は自分のまわりだけでなく組織としての環境にも影響することが多いです。
だから社風や雰囲気をよく見定めたほうが良いと本当に思います。人を大事にしてくれる会社なのか、愛情をもって育ててくれる会社なのか、従業員満足度が高いのか…。しっかりと調べて後悔のない選択をしてください。
業界を知ろうースポーツクラブ業界とは?ー
業界の構造と仕事内容
スポーツクラブ業界ではスポーツを行う方の施設使用料やレッスンの受講料から利益を得ています。スポーツジムやフィットネスクラブ、体育館、スポーツコート、プール、スポーツスタジアムなどの運営やスポーツ教室での指導などが主な仕事です。
スポーツクラブには主にスポーツインストラクターとスポーツトレーナーの2つの職種があります。
スポーツインストラクターは、スポーツの技術指導をメインに行う専門職です。スポーツと健康のプロフェッショナルとして、スポーツジムでマシンの使い方を教えたり、スポーツ教室で会員に指導をしたりします。季節、場所、種類によってさまざまなスポーツ分野のインストラクターが活躍しています。
スポーツトレーナーは、技術指導のほかにも日々の体調管理やリハビリなど、より広範囲にサポートします。一般的にプロのスポーツチームや実業団と契約して指導を行う人が「スポーツトレーナー」と呼ばれます。
業界の市場と動向
経済産業省によると、2019年のフィットネスクラブ売上高は3,347億円で7年振りの減少となりました。会員数は前年と比べ0.1%減少し、利用者数も0.7%減少しています。つまり2019年は売上高、会員数、利用者数は揃ってマイナスに転じていたのです。
リーマンショックや東日本大震災、円高、デフレといった社会的に厳しい状況が続いたなか、スポーツクラブ業界の業績は堅調で安定した推移でした。特に高齢者の健康志向の考え方や義務教育でのダンスや武道の必修化が追い風となって、状況が一変してきていました。
しかしコロナ禍より大きく減少してしまっています。密を避ける為に利用が減ってしまったことが原因のようです。一方オンラインでの受講など社会の変化に合わせた事業が増えてきています。
【参考サイト】
最後にーノアインドアステージのインタビューを通してー
大西社長が社長になるまでに経験した「劣等感との闘い」や「人間関係の悩み」というのはとても印象的でした。私たち学生もこういった感情や悩みを持っている人は多いと思います。
後継ぎとしての責任と学力やスポーツ技術による格差に悩みながらも、自信をつけ大成していく社長の人生はとてもまぶしいと感じました。
私たちも自分に合った土俵を見つけ、自信を携えて一生懸命に向かっていけるようにしていきたいなと思いました。
改めて大西社長、貴重なお時間をありがとうございました。