●ホームセンター業界で求める人物像は「コミュニケーション能力がある」「整理整頓ができる几帳面さ」「臨機応変に対応できる応用力や気配りができる」「企画力がある」「体力がある」「情報収集力やトレンド力がある」「新しい視点で物事を考えることができる」を満たす人。
●ホームセンター業界の自己PRを作成する際は「強み⇒エピソード⇒結果・学んだこと・入社後どう活躍できるか」の順番で書くと良い。
●ホームセンター業界の志望動機では「なぜホームセンター業界なのか」「中でもなぜその企業なのか」を記載し、他の企業ではダメな理由をアピールしよう。
「DIY」等が流行ったことから、グッズを購入するためにホームセンターを利用しているという人も多いのではないかと思います。
ホームセンターに行く機会は多くても、実際の業務について知っているという人は少ないのではないでしょうか?
現在、ホームセンター業界では事業展開で新たな挑戦を行ったり、デジタル化で顧客接点を最大化させる取り組みが行われています。他にも、頑張り次第で管理職やバイヤー等、キャリアの幅も広い業界です。
本記事ではホームセンター業界の動向や仕組みだけでなく、「企業研究をする時に確認した方が良いことはある?」「どんなキャリアを歩める?」という人に向けて、業態の種類、仕組み、志望動機・自己PRの書き方などについてわかりやすく解説していきます。
またホームセンター業界の売上や利益、年収、従業員数、勤続年数をランキングで紹介しています。ホームセンター業界のビジネス規模や働きやすさ等がわかるので、志望企業が決まっていない人は参考にしてみてください。
ホームセンター業界の仕組み
まずホームセンターが扱っている商品は、日用品、車用品、食品、家具、ペット用品、園芸用品、木材など多岐に渡ります。このような商品を消費者のもとに届けるには「メーカー」「卸売業」「ホームセンター」の業態が絡んできます。
流れとしては、ホームセンターに並ぶ商品を取り扱う「メーカー」から「卸売業」に出荷されます。次に「ホームセンター」側が消費者ニーズを見極めながら「卸売業」から商品の買い付けを行います。
そして買い付けた商品を店舗レイアウトを考えながら陳列し、「消費者」に販売するという流れになります。
ホームセンター業界の動向
ここでは「ホームセンター業界の売上」「事業展開」「広がるデジタル化」の観点から動向を紹介していきます。それぞれ以下のトピックスについて紹介しているので、動向を把握しておきましょう。
・売上推移
・伸びている商材
■事業展開
・M&A
・海外展開
・新規事業の展開
■広がるデジタル化
まず動向を学ぶ前にホームセンター業界について数字で見てみましょう。
ホームセンター業界は「DIY」需要やコロナの影響もあり、それらに関する商品の売上が伸びています。そのため、伸び率や利益率が伸びたと考えられます。
参照元:業界動向サーチ(2021年-2022年)※2023年6月作成ホームセンター業界の売上
ここではホームセンター業界の売上について、売上推移と伸びている商品の2つに分けて紹介していきます。
■売上推移
経済産業省の「商業動態統計(2023年2月公表)」によると、2022年のホームセンターの販売額は、前年比1.4%減の3兆3,420億円でした。
2022年は新型コロナウイルスの行動制限が緩和された一方で、ロシアによるウクライナ進行や急激な為替の変動に伴い原材料費やエネルギー価格が高騰し物価が上昇しています。
このような物価上昇を受け、消費者の節約意識が高まり、買い控えも見られています。
■伸びている商材
ホームセンター業界では「DIY用品」「家庭・日用品」「園芸・エクステリア」が全売上の6割を占めています。
これらの売上が伸びた要因としては新型コロナウイルスによる在宅勤務や外出自粛等が挙げられます。
自宅で過ごす時間が多くなり、お家時間を快適且つ居心地の良いものにするため、自分でDIYしようと考える人が増えたためです。
2021年頃になると行動制限も緩和され、巣ごもり特需にも一服感が見られました。
しかし、お家時間でつくられた「新しい生活様式」がすぐに消えることはなく、2022年もDIY用品の売上は伸びています。
事業展開
ホームセンター市場は売上が頭打ちの中、店舗数が増えているため飽和状態になりつつあります。その状況から脱却すべく事業展開を行う企業が増えてきています。ここでは各企業が行っている事業展開について事例とともに紹介します。
■M&A
今後の売上のことも考え、同業界から異業界まで様々な企業をM&Aしながら事業拡大に向けた動きが取られています。
例えば2006年9月にカーマ、ダイキ、ホーマックの3社が経営統合し、DCMホールディングスが設立されました。他にもホームセンター業界で売上11位のア―クランドサカモトが同業で売上6位のLIXILビバを完全子会社化しました。
アークランドサカモトが買収をした狙いの1つには、他店舗との差別化がしやすいプライベートブランドを強化するためでもあります。各社が独自で開発して販売するプライベート商品は、日用雑貨から資材、園芸用品、ペット用品、作業着など多岐にわたっています。
また、記憶に新しい出来事と言えば2020年11月に「島忠」の買収を巡って、DCMホールディングスとニトリホールディングスが競争を繰り広げたことです。結果、ニトリホールディングスが買収することとなり、DCMホールディングスはM&Aを行うことはできませんでした。
上記で挙げたように、ホームセンター業界内の再編に向けた動きが高まってきていることを示していると言えるでしょう。
■海外展開
国内の買収や事業強化だけでなく、海外に事業を広げることで売上を伸ばそうと考えている企業もあります。
例えば2016年7月にコーナン商事は、ホームセンターのような業態が無かったベトナムへ進出し、2019年12月時点では、5店舗出店しています。
他にもコメリは、東南アジア進出を見据えた足がかりとして2017年にタイに進出し、2018年には店舗運営を始めました。今後もアジアを中心に海外展開をしながら、事業の拡大や売上向上に向けた動きを取る企業が増えてくるでしょう。
■新規事業の展開
様々な事業展開が各社で行われていますが、多様な商品を総合的に扱うだけでなく専門店や店舗内で新しい取り組みを展開する企業も出てきています。
コーナン商事は、ホームセンターとしては始めてのアウトドア専門店「キャンプデポ」を2020年9月にオープンしました。キャンプ初心者から中級者までをターゲットにし、キャンプ専用の商品を取り揃えています。2023年6月時点では、9店舗まで拡大しています。
他にも「ただ商品を売る」だけでなく、付加価値を加えようとおしゃれなカフェを店内に展開したり、電動工具や3Dプリンターを無料で貸し出すコーナーを設けたり、イベントを開催する企業も出てきています。今後も各社で新たな事業展開や取り組みが導入されていくでしょう。
広がるデジタル化
IT化が進む中、ホームセンター業界でも買い物をしやすくするためのデジタル商材を取り入れ始めています。例えば、キャッシュレス決済で購買をしやすくしたり、ECサイトや自社HPでの販売を行ったりしている企業もあります。
DCMグループでは、グループの共通会員サービス「マイボ」を皮切りに、2020年以降キャッシュレス決済を拡充してます。具体的には、電子マネーや交通系電子マネー等で買い物ができるように対応しています。
他にも、ECサイトで商品の取り置きをして店舗で受け取れるサービスや、アプリに登録した決済情報をそのまま利用し、店頭で会員証を見せるだけで決済が行えるサービスを提供している企業も出てきました。
ホームセンター業界では、買い物をしやすくするためのデジタル化が取られてきていることがわかります。
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ホームセンター業界のキャリアアップ・キャリアチェンジ
ホームセンター業界で働く場合、「どんなキャリアを描くことができるのだろうか?」と不安になる方もいるかと思います。
ここでは、ホームセンター業界でのキャリアアップの一例を紹介しますので、どのようなキャリアを目指せるのか確認してみましょう。
始めは新入社員として店舗に務めることがほとんどです。そのあと、店長まで経験を積んだら、販売員としてプロを目指すか本社勤務として人事やバイヤー、商品企画、店舗開発等の業務のどちらかを目指すことができます。
上図はあくまでで参考例になるので、希望する企業がどのようなキャリアの道を設けているのかを確認しておきましょう。
ホームセンター業界で求められる人物像
ホームセンター業界では、棚卸・検品・接客をおこなうため、コミュニケーション能力や整理整頓ができる几帳面さが求められます。
また、商品管理をしながらお客様の行動を見た上でレジ対応をする等、複数のことを同時に行うケースもでてきます。そのため、臨機応変に対応できる応用力や気配りができると良いでしょう。
また、店舗レイアウトをする際は、売り場を良く見せるための企画力、家具や園芸用品を移動させる体力も必要になってきます。
発注作業をする際は、今売れている商品のトレンドを把握した上で発注をしていく必要があり、情報収集力やトレンド力も必要になってきます。
他にもDIYやキャンプが流行するなど時代のニーズやライフスタイルによって、求められる商品が変化します。
そのため従来の考えにとらわれることなく、新しい視点で物事を考え、情報をキャッチアップしていけると更に良いでしょう。
ホームセンター業界で評価される自己PRの書き方
自己PRを書く際は基本的に「強み⇨エピソード⇨結果・学んだこと⇨入社後どう活躍できるか」の順番で書きます。
(1)結論
自己PRを書く際は最初に「私は○○することができます」といったように自分の長所を端的に述べます。
その際、ホームセンター業界や自身が希望する企業の求める人物像に合わせ「応用力がある」や「変化にも柔軟に対応できる」といった長所を選ぶようにしましょう。
このように最初に結論を述べ面接官に今から何の話をするのか伝えることで、聞き手側も話が入りやすくなります。
そのため、自己PRをする際は結論として、まず長所を伝えるようにしましょう。
以下で「柔軟な対応力」という長所を選んだ場合の例を紹介します。
(2)エピソード
長所を伝えたら、実際にその長所があることを証明できるエピソードを交えます。
理由としては、企業は、課題・目標やそれに対する行動を通してその人の人柄や価値観を判断しているためです。
(3)結果・学んだこと
エピソードの次は、自分がとった行動によってどのような結果になったか、この経験を通して何を学んだのかについても書きます。
また、結果を書く際は定量的に伝えることでよりイメージしやすい自己PRを作成することができるため「〇〇というアイディアを出し実践したところ、売上を40%上げることができた」など、数字を用いてアピールしてみましょう。
(4)入社後どう活躍できるか
企業は採用活動を通して、自社に貢献してくれる人材を求めています。つまり、面接官にこの学生は「自社で活躍する素養がある」と思わせることが大事です。
ホームセンター業界の志望動機の書き方
ホームセンター業界の志望動機を書く際は「なぜホームセンター業界なのか」「なぜその会社なのか」をしっかりと深堀りしておくことが必要です。
具体的には自分が将来何を成し遂げたいのか、例えば「日用品から園芸用品まで消費者ニーズに合わせて幅広い商品を取り揃え、日々の生活を特別なものにしてもらいたい」などといったホームセンター業界ならではの理由を述べるようにしましょう。
“なぜその会社なのか”については、他の企業ではなくその企業でなければいけない理由を伝えます。
例えばコメリであれば「社会の変化をとらえ進化を続け、イノベーションに挑戦する」という目標のもと、時代の変化にあわせて事業展開や幅広い商品展開を行っています。
企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望企業を決めるようにしましょう。小売業界の志望動機の例文を見てレベル感を掴みたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
ホームセンター業界ランキング
ここではホームセンター業界のランキングを「業績」と「社内環境」に分けて紹介します。
ホームセンター業界の業績ランキング
参照元:業界動向サーチ/参照元:業界動向サーチ/ホームセンター業界の売上高ランキング(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。ホールディングスはHDと省略しています。※2023年12月時点売上については1位がカインズ、2位がDCMホールディングス、3位がコーナン商事、経常利益は1位がニトリHD、2位がDCMホールディングス、3位がコメリです。
売上や利益、利益率をチェックした方が良い理由は、以下の2点です。
- 売上は企業の財務力を表している
- 利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示している
売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方が行っているビジネスの規模が大きいということです。
またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。
次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。
ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。
ホームセンター業界の社内環境ランキング
参照元:業界動向サーチ/ホームセンター業界の平均年収ランキング(2021-2022年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。また企業名にあるホールディングスを「HD」と省略しています。※2023年12月時点年収は1位がニトリHD、2位がワークマン、3位がバローHD、勤続年数は1位がケーヨー 、2位がカンセキ、3位がジュンテンドーとなります。
勤続年数が長いということは定着率が高いということになります。一概には言えませんが、定着率が高い会社は良い会社である可能性が高いです。
また従業員数が多い会社は多様な人と関わり合うことができるというメリットがあります。しかし多いと自分の意見が通りにくい場合もあるというデメリットもあるため、自分にとってどの環境が合っているのか考えてみましょう。
まとめ
本記事ではホームセンター業界について紹介してきました。
ホームセンター業界は、世の中の動きによって売上が変化しやすい業界であるため、最近ではコロナの影響を受け売上の増減が起きていました。
そのため業界内では売上を安定的に伸ばす取り組みとして、デジタル化や海外展開、新規事業の展開等、様々な事業展開が行われています。
ホームセンターの選考を受ける際は、十分に業界研究を行い、業界・志望企業について理解してから臨むようにしましょう。
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