【2024年最新｜業界研究ガイド】メーカー業界の仕組みや動向とは？
●メーカー業界の仕事は［上流過程］［中流過程］［下流過程］の3つの主要な段階に分けることができ、それぞれが異なる役割を果たしている。
●メーカー業界は［市場希望が大きい］［自分の携わる製品が形になる］［安定した会社経営である］［福利厚生が充実している企業が多い］ため、就活生に人気のある業界の1つである。
メーカー業界に属する企業は私たちの日常生活に欠かせない食品や自動車、化粧品など、様々な素材や製品を製造し販売していることもあり、就職を希望する就活生が多いです。
しかし多くの応募が集まる業界だからこそ、メーカー業界の仕組み・仕事内容・業界動向などをしっかり理解できていないと選考を通過することは難しいでしょう。
そこで本記事では、メーカー業界の基本的な仕組みから主な職種、業界の動向、さらにはどのような人がメーカー業界に向いているのかまで、幅広く解説します。
メーカー業界での就職を希望している就活生は、本記事を参考に、メーカー業界の業界理解を深めていきましょう。
メーカー業界とは？
メーカー業界とは［製品の企画・設計から生産・販売までを一貫しておこなう企業の総称］です。
メーカーは作っている製品の分野ごとに［食品メーカー］［化粧品メーカー］［自動車メーカー］［建築・住宅メーカー］［医薬品メーカー］などに分けることができます。
また、メーカ―と一口に言っても、素材の加工から組立までを全部自社でおこなう［総合メーカー］や加工や組立などの工程の一部のみを担当する［素材メーカー］［製品加工メーカー］、生産・製造過程のどこを担うのかは企業によって異なります。
総務省が定めた「日本標準産業分類」では、メーカー・製造業を下図のような24の種類に分類できます。
参照元：総務省／日本標準産業分類（平成25年10月改定）（平成26年4月1日施行）－分類項目名
メーカー業界の仕組み
繰り返しになりますがメーカー業界は、製品の企画・開発から製造、販売までの一連のプロセスを通じて成り立っています。
この一連のプロセスは［上流過程］［中流過程］［下流過程］の3つの主要な段階に分かれており、それぞれが異なる役割を果たしています。
各過程がどのように連携し、効率的に製品を市場に送り出すかを知ることで、メーカー業界の全貌が見えてきます。
ここではそれぞれの過程ごとの役割を解説していきます。
上流過程
メーカー業界の上流過程では、製品が市場でどのように受け入れられるかマーケットリサーチを通し消費者のニーズを把握した上で製品の企画・設計をおこないます。
具体的な製品の設計・開発では、エンジニアやデザイナー、マーケティング担当者が密に連携し、技術的な仕様や製品の機能、デザインなど考え、アイデアを具体化します。
その他にも、製品の試作・テストといった重要な役割を果たします。試作品を作成し、性能や安全性を確認することで、市場投入前に問題点を洗い出す工程です。
さらに、製品のコストや生産性を考慮し、量産体制の構築に向けた準備もおこなっています。
このように、上流過程は製品の成功を左右する重要なステップであり、緻密な計画と多角的な視点が求められるのです。
中流過程
メーカー業界の中流過程は、製品の生産と品質管理を担っており、原材料や部品が組み立てられ、具体的な形を持ち始める段階です。
生産ラインでは、効率的な生産プロセスを維持しながら、不良品の発生を最小限に抑えることが求められます。これは、製品の品質と信頼性を確保するために非常に重要です。
また中流過程では、生産管理担当者が在庫管理や生産スケジュールの調整をおこない、需要に応じた適切な量の製品をタイムリーに供給します。
さらに製造現場では、コスト削減と製品の競争力向上に向け、最新の技術や設備を駆使して生産効率を向上させる取り組みなどもおこなわれています。
このように中流過程は、メーカー業界の中で最も多くの人手と資源を必要とする段階であり、ここでの効率と品質が製品の成功に直結するため、各工程の細部にまで注意を払った綿密な計画と実行が求められます。
下流過程
メーカー業界の下流過程は、製品が消費者の手元に届くまでの最終段階の役割を担っています。
具体的には製品完成後に消費者に届けるまでの倉庫での保管・輸送手段の選定・配送スケジュールの調整、製品を販売するチャネルの選定などをおこないます。
その他、顧客満足度を高めるため、保証サービスやカスタマーサポートなどの製品が消費者に届いた後のアフターサービスまでおこなう企業もあるようです。
このように下流過程では、製品の価値を最大限に引き出し、消費者との信頼関係を築くための重要な役割を果たしています。
メーカー業界の主な職種
上記でお伝えした通りメーカー業界には［上流過程］［中流過程］［下流過程］の3つの主要な段階があり、それぞれにさまざまな職種が存在します。
ここでは［営業］［生産管理］［研究開発・商品企画］［製造］の4つの職種を紹介します。
営業
営業職は、顧客との信頼関係を築き、ニーズを的確に把握した上で自社製品やサービスを顧客に提案する販売活動をおこなっています。
また売上の拡大や新規顧客の獲得に向け、市場動向や競合他社の情報を収集・分析し、自社製品の強みを最大限に活かした戦略立案などもおこないます。
加えて、メーカーの営業職は、他部門との調整や連携も欠かせません。生産部門やマーケティング部門とのコミュニケーションを密に取りながら、製品の開発や販売に関する情報を共有することで、組織全体の効率性を高めることができます。
なぜなら顧客からの声や要望を収集し、製品開発に活かすことで、より市場に適した製品を提供することが可能になるからです。
このプロセスはメーカー業界の営業職の醍醐味と言えるでしょう。
生産管理
メーカー業界の生産管理は、生産計画の立案から始まり、材料の調達や製造過程の監視、そして最終製品の出荷までの一連のプロセスを担当しています。
生産管理の目的は、製品を適切なタイミングで、適切な量だけ生産し、顧客の要求に応えることができる効率的な生産体制を構築することです。
そのためにスケジュール管理やコスト管理、品質管理だけでなく、需要予測や在庫管理、設備のメンテナンスなどもおこなっています。
また、近年では、デジタル技術の進化により、生産管理の効率化が進んでいます。IoTやAIを活用したスマートファクトリーの導入により、リアルタイムでの生産状況の把握や異常検知が可能となり、さらなる生産性の向上が期待されています。
つまり生産管理者は、これらの新しい技術を積極的に取り入れ、現場の改善を図ることが求められているのです。
研究開発・商品企画
メーカー業界における研究開発・商品企画は、新製品のアイデアを生み出し、それを具体化する役割を担っています。
研究開発部門では、最新の技術や市場のニーズを調査し、革新的な製品を開発します。一方、商品企画部門は、消費者の嗜好やトレンドを分析し、製品のコンセプトやデザインを具体化します。
この2つの部門が連携することで、競争力のある製品が生まれるのです。
研究開発・商品企画は、メーカー業界の成功に欠かせない職種であり、市場の変化に対応する柔軟性が求められます。
製造
メーカー業界における製造は、設計図や仕様書にもとづいて、原材料を加工し、組み立てるなどして、実際に製品を完成させる職種です。
製造部門は、高度な技術と精密な作業が求められるため、専門知識やスキルが必要です。
また製造の過程では、製品の品質を確保するために、各工程で厳密な検査がおこなわれ、不良品が出ないようにするための対策が講じられます。
加えて、製造ラインの効率化やコスト削減も求められており、最新の機械や技術が導入されることが多いため、これらの新しい技術を積極的に取り入れ、現場の改善を図ることが求められます。
メーカー業界が人気の理由
メーカー業界は、私たちの日常生活に欠かせないさまざまな素材や製品を製造し販売していることもあり、就職を希望する就活生が多いです。
しかし上記以外にもメーカー業界が人気の理由があります。以下では、メーカー業界の魅力を4つ紹介します。
市場規模が大きい
メーカー業界の魅力の1つ目は、市場規模の大きさにあります。繰り返しになりますがメーカー業界は、私たちの日常生活に欠かせない食品や自動車、化粧品など、様々な素材や製品を製造し販売しています。
メーカー業界に属する企業の中には、日本だけでなく海外にも販売チャネルを持つ企業も少なくないため、業界全体の売上は非常に大きいです。
また日本の現状として少子高齢化が問題となっている中、各企業は日本国内の市場よりも世界に目を向けて事業を展開しています。海外で様々な国籍やバックグラウンドを持つ人々と関わることで国際的な人脈の構築や、新たなビジネスチャンスを掴むことが期待できます。
さらにメーカー業界では、製品の企画から製造、販売までの各プロセスにおいて、専門的な知識とスキルを活かす場が豊富に存在します。
そのため自分の能力を最大限に発揮し、大きな仕事に挑戦することができるでしょう。
自分の携わる製品が形になる
メーカー業界の魅力の2つ目は、自分の携わる製品が実際に形になるという点です。
メーカー業界では、企画から製造、販売までの一連のプロセスに関与しているため、自分のアイデアや努力が具体的な製品として世に出る喜びを感じることができます。
特に商品企画や研究開発の職種では、自分が考案した製品が市場に出回り、多くの人々の生活を豊かにする瞬間に立ち会うことができるでしょう。
このように自分の仕事が具体的な成果として見えることは、他の業界では味わえない特別なやりがいと言えるでしょう。
安定した会社経営
メーカー業界の魅力の3つ目は、会社経営が安定している企業が多い点です。もちろん業種・企業によって異なるとは思いますが、特に素材を製造する上流工程メーカーは、安定性に優れているでしょう。
なぜならメーカー業界の利益になるものはあくまで素材や部品であるため、景気や消費者からの評判などによって売れ行きが左右されづらいためです。
また安定した経営基盤を持つ企業は、景気変動や市場の変化にも柔軟に対応できるため、リスク管理がしやすくなります。さらに安心して働ける環境が整っている企業では、社員の定着率が高まるだけではなく、優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。
これにより、企業全体の生産性や競争力も向上するため、持続可能な成長が期待できます。
福利厚生が充実した企業が多い
メーカー業界の魅力の4つ目は、福利厚生が充実している企業が多い点です。
上記同様、業種・企業によって異なるとは思いますが、健康保険や厚生年金、住宅手当や交通費の支給など、基本的な福利厚生はもちろんのこと、企業によっては育児休暇や介護休暇、リフレッシュ休暇など、ライフステージに合わせたサポートが充実している企業が多いです。
その他、研修制度やキャリアアップ支援も充実しており、従業員の成長をサポートする体制が整っている企業も多くあります。
そのため個々のスキルアップが図れ、結果として企業全体の成長も期待できるでしょう。
またこれらの福利厚生の充実は従業員のモチベーション向上にも寄与し、働きやすい職場環境を作り出す要因となっています。
メーカー業界の動向
メーカー業界は、技術革新や市場の変化に迅速に対応しなければならないため、常に進化を求められており、近年では、グローバル展開やデジタルシフトの動向に合わせた戦略に対応しています。
以下ではそんなメーカー業界の動向を紹介します。
グローバル展開
メーカー業界は、新たな成長機会を求めて、海外市場に進出し、現地のニーズに合わせた製品やサービスを提供しています。
グローバル展開をおこなうと、以下のようなメリットがあります。
- 売上の多様化・リスク分散が可能
- 異なる文化や市場の経験を積むことによって企業の競争力が向上
- 現地での生産や販売拠点の設立によりコスト削減や陣俗な市場対応が可能
しかし現地の法規制や文化の違い、言語の壁などのデメリットもあります。
これらの課題を克服するためには、現地の専門家やパートナーとの協力が欠かせません。さらに、現地スタッフの育成や適切なマーケティング戦略の策定も重要です。
つまりメーカー業界が海外で成功するためには、綿密な市場調査と戦略的な計画が必要です。市場のニーズを正確に把握し、適切な製品やサービスを提供することで、競争優位を確立できます。また、現地の消費者との信頼関係を築くことも欠かせません。
総じて、グローバル展開はメーカー業界にとって大きなチャンスであることから、これからも、多くの企業が新たな市場での成長を目指し、挑戦を続けていくことが考えられます。
デジタルシフトへの取り組み
現代のメーカー業界は生産プロセスの効率化や品質向上に向け、デジタルシフトに取り組んでいます。
特にIoTやAI技術の導入は、リアルタイムでのデータ収集と分析を可能にし、迅速な意思決定が可能になります。
その他にもオンラインプラットフォームを通じて顧客のニーズを迅速に把握し、製品開発やサービス提供に反映させることができるため、顧客とのコミュニケーションの質を高めることもできるでしょう。
このようにデジタルシフトは顧客満足度の向上とブランド価値の向上が期待できるのです。
メーカー業界に向いている人
メーカー業界は、製品の開発から製造、販売までの一連のプロセスをおこなうため、業務の内容は多岐にわたり、チームでおこなう仕事も少なくありません
生産・製造の過程など危険な現場で作業をする時は、小さなミスが重大なミスに繋がることもあります。
そのため、仕事仲間と適切にコミュニケーションをとりながら、お互いにミスをカバーし合う姿勢が必要不可欠です。またモノづくりに興味のあることも大事な素養と言えるでしょう。
その他、製品が消費者の手に渡るまでの過程を見守ることに喜びを感じる人や、安定した職場環境を求める人もメーカー業界に適しています。
加えて技術的な知識やクリエイティブな発想力が求められる場面もあるため、問題解決能力といった素養も欠かせません。
また国内の人口減少に伴い新たな市場の開拓が求められているため、新たなことにチャレンジできる行動力がある・柔軟な対応ができるといった素養がある人もメーカー業界に向いていると言えるでしょう。
つまり以下のような素養のある人はメーカー業界に向いていると言えます。
- チームで働くことが苦ではない人
- コミュニケーション力が高い人
- モノづくりに興味がある人
- 安定した職場環境を求める人
- 新たなことにチャレンジ出来る人
- 問題解決能力がある人
- 行動力・柔軟な対応力がある人
メーカー業界に含まれる業種とは？
メーカー業界は、多岐にわたる製品を製造・販売する企業が集まった総称で、それぞれが独自の技術と専門知識を活かし、消費者のニーズに応えています。
以下ではその中でも就活生に人気のある主要なメーカーを5つ紹介します。
食品メーカー
食品メーカーは、お菓子・飲料・冷凍食品・調味料といった食品の原材料の調達から製造、品質管理、流通、販売をしています。
人の口に入るものを製造しているということもあり、食品メーカーでは品質と安全性に対する厳しい基準を設けており、消費者が安心して商品を手に取ることができるよう努めています。
また、市場のトレンドや消費者の嗜好を反映させた製品を提供できるよう新商品の開発にも力を入れています。
さらに食品メーカーは持続可能な原材料の使用やエネルギー効率の高い生産方法を採用するなどして、環境への配慮も欠かせません。
これにより企業の社会的責任を果たしながら、持続可能な社会の実現に貢献しているのです。
業界内ランキングも記載していますので、志望企業が決まっていない人は参考にしてみてください。
化粧品メーカー
化粧品メーカーは、スキンケア・メイクアップ・ヘアケア・フレグランスといった美容と健康に関する製品を開発・製造・販売をしています。
これらの製品は、消費者の日常生活に密接に関わり、特に女性を中心に高い需要があります。最近では男性の美意識が高まっていることから、メンズコスメの需要も増えているようです。
そんな化粧品メーカーは、研究開発に多大な投資をおこない、新しい抗酸化成分や保湿技術の開発など、革新的な成分や技術を取り入れることで競争力を維持しています。また人体に使う製品であることから製品の安全性や環境への配慮も重要な要素です。
さらに、化粧品メーカーはマーケティング戦略にも力を入れており、SNSやインフルエンサーを活用したプロモーション活動は、ブランドの認知度向上に大いに貢献しています。
自動車メーカー
日本の自動車メーカーは、世界中で広く知られる産業の1つです。
自動車メーカーは、自動車やバイク、バス・トラックなどの設計から製造、販売までを一貫しておこなっており、多くの技術革新と高い品質が求められます。
エンジンやトランスミッションなどの主要部品の製造から、最新の電動化技術や自動運転システムの開発まで、幅広い技術分野をカバーしています。
また現在、自動車メーカーは［100年に1度の大変革時代］と言われていることから、各企業は、競争力を高めるために研究開発に多大な投資をおこない、温室効果ガスによる気候変動や、少子高齢化社会に対応する取り組みにも取り組んでいます。
「自動車業界の今後は？」「動向は？」「売上ランキングは？」などと疑問を持っている就活生は本記事を参考に業界理解を深めましょう。
建築・住宅・インテリアメーカー
住宅は生活の三大要素の1つであり、生きていくうえで欠かせないものです。建築・住宅・インテリアメーカーは、私たちの［住環境］を形作る重要な役割を担っています。
これらのメーカーは、建築資材の製造から住宅の設計・建築、さらにはインテリア製品の提供まで、多岐にわたるサービスを展開しています。
近年では環境に配慮したエコ住宅やスマートホームの普及が進んでおり、これに対応するための新しい技術や製品が次々と開発されています。
また日本は地震や豪雨といった自然災害が頻繁に発生する国であるため、免震構造などの高度な住宅性能に対するニーズは年々高まっています。
「住宅業界の今後は？」「動向は？」「売上ランキングは？」などと疑問を持っている就活生は、本記事を参考に住宅業界の業界理解を深めましょう。
医薬品メーカー
医薬品メーカーは、病気の予防や治療、健康の維持に貢献する医薬品の研究・開発・製造・販売をおこないます。
人の命と直結する製品を製造していることから、製品の安全性と有効性の確保は欠かせないため、臨床試験や各種の検査は厳しい規制と品質管理下で実施されています。
研究開発部門では新薬の発見や既存薬の改良などを手がけていたり、販売部門では医療機関や薬局との関係を築き、製品の普及を図ったりと、こうした一連のプロセスにより、医薬品メーカーは人々の健康と生活の質の向上に寄与しています。
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［ものづくり大国］と称されることもある日本において、メーカー業界は重要な基幹産業の1つです。
近年は若者の製造業離れが進んでいることもあり人材確保や人材育成が課題となっている業種もありますが、大手企業・有名企業には引き続き多くの応募が集まっています。
そのため選考を通過するためにはしっかりと［その企業でなくてはならない理由］を見つけ、自分の言葉で説明できるようにするなどして、選考対策をおこないましょう。
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