金融業界は給与が高く安定しているというイメージがあるため、就活生から根強い人気があります。ライバルが多いからこそ、志望動機の質を上げなければ面接に進むことはできません。
業界の特徴や業務内容を把握した上で、志望動機の例文を参考に書き方のコツを掴みましょう。
金融業界の特徴
金融業界は、金融ビッグバンによる競争過多や、資金調達の方法・取引の多様化などによって大変革を遂げてきました。
最近ではIT化が急速に進み、フィンテックへの対応、大手機関を中心としたブロックチェーンの研究などが現在進行形で行われています。
今後も事業モデルを変えるような変革が起こる可能性が十分にある業界です。
■数字で見る金融業界の現状
金融業界についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を御覧ください。
関連記事:
【業界研究】金融業界の動向3選!仕事内容や志望動機・自己PRのポイントも紹介
金融業界の業種
様々な業種の中でどの業種を選ぶべきか、 特徴と差別化ポイントを勉強しておきましょう。
金融業界の業種(1):都市銀行(メガバンク)
都市銀行の特徴は、展開エリアが広い点と取引企業の規模感です。海外事業、新規ビジネスへの投資など幅広い仕事に関わるケースもあります。
また、近年各社で推進された機能再編によって関連性の高いグループ企業の商品も扱えるようになったため、幅広い知識を身に着けることができます。
ただし、社内での競争が激しい上、IT化や日銀のマイナス金利政策による業績悪化に伴い、人員削減の動きがあることも忘れてはいけません。
金融業界の業種(2):地方銀行
地方銀行の業務内容は基本的には都市銀行と変わりません。最大の特徴は地域に密着している点でしょう。
地元企業や住民のニーズに合わせた細かいサービスを提供することで、他の金融機関との差別化を図っています。
都市銀行と同様にマイナス金利の影響が出ているため、業界内で経営統合を行う動きや、人材仲介、M&A仲介など新規ビジネスに乗り出す動きもみられます。
金融業界の業種(3):生命保険
死亡や病気など、不測の事態に備える生命保険商品を企画し、お客さまに販売する仕事です。
個人の飛び込み営業のイメージがあるかもしれませんが、商品開発やアフターフォローまでトータルで人に向き合うことができます。
企業の団体保険を扱う法人営業や管理部門や支払業務、資産運用などの職種もあります。現状、業界内に競合がひしめいており、市場が縮小傾向にあるため、海外展開の動向も目が離せません。
金融業界の業種(4):損害保険
「事故」「災害」「盗難」などのさまざまなトラブルやリスクに対して日頃から備えておくことを目的として作られた商品を扱っています。地震、台風など災害時には突発的に忙しくなります。
その中でも大部分のシェアを占めるのが自動車保険で、契約者が亡くなるケースもあるため、気持ちの強さが求められます。
法律の改正や技術の進歩によって商品も随時アップデートされるため勉強し続ける覚悟が必要です。
金融業界の業種(5): 証券会社
証券会社の業務内容は、投資家と株式会社の仲介として「引き受け」、「売り出し業務」、「募集・売り出しの取り扱い業務」が主軸です。
その他にもトレーディングや新規営業、資金調達、M&AやIPOのお手伝いと職種は多岐に渡ります。
顧客次第ですが、一度に取引する金額が大きい分、プレッシャーの大きな仕事と言えます。
自動取引が導入され、銀行と同じく人員削減が始まっているため、キャリアビジョンを明確にしておきましょう。
金融業界の業種(6):クレジットカード会社
ネットショッピングの広がりによってさらに存在感が増している業種。
VISAやMaster Cardなどの国際ブランドからライセンスを取得し、消費者に対してクレジットカードを発行するイシュアー業務と、カードが使える加盟店の開拓や管理を行うアクワイアラー業務が主軸を担っています。
他の業種に比べセキュリティーリスクにさらされやすく、審査や管理が厳しいのが特徴です。
各業界別の動向や例文を見たい方は下記をご覧ください。
関連記事:
・銀行業界
銀行業界の志望動機の書き方・例文
・生命保険業界
生命保険業界の志望動機の書き方・例文
・損害保険業界
損害保険業界の志望動機の書き方・例文
・証券業界
証券業界の志望動機の書き方・例文
・クレジット業界
クレジットカード業界の志望動機の書き方・例文
金融業界の職種
勉強をし続けなければ出世しない環境にあり、人員削減の可能性もあるため、キャリア形成のイメージをある程度もって入社する必要があります。
金融業界の職種(1):営業職
配属先として最も多い職種です。個人営業は代理店を通して営業するケース、自分のコネクションを使って営業するケース、飛び込みで家や会社に訪問するケースなどがあります。
法人営業は企業に対して金融商品を提案したり、資金の借り入れを勧めたりし、相手企業の経営に深く関わるケースも多いです。
どちらも成績がいいと給与が上がりやすく、外資系となると数年で年収数千万円に到達する人もいます。
金融業界の職種(2):専門職
1年目から配属されることは稀ですが、資産運用や資金計画を立てるファイナンシャルプランナーや、顧客から預かった資金を運用して利益を上げるファンドマネージャー、経済の動向を調査し今後の展望を予測するエコノミストなどがあります。
各社がフィンテックに力を入れている今、ITリテラシーの高い人物も重宝されるでしょう。
金融業界で評価される志望動機を作る3つのステップ
ここでは金融業界の志望動機を書く際に意識してほしいポイントを3つ紹介します。これから志望動機を作成するという人は、ぜひ参考にして作成してみてください。
(1)志望動機に必要な要素を把握する
志望動機を作成する際は「なぜ金融業界か」「なぜその業種か」「なぜその企業か」この3点の深掘りが必要不可欠です。
“なぜ金融業界なのか”については、数ある業界のなかでもなぜ金融業界を選んだのかについてしっかりとした理由を準備しておく必要があります。
例えば、「お客様一人一人を金融という切り口からサポートしたい」「金銭面で困っている人の手助けをしたい」というように、金融業界ならではの理由を交えると効果的かもしれません。
“なぜその業種なのか”については、金融業界の中でもなぜその業種を選んだのかを伝えます。
例えば生命保険業界であれば「命に関わる仕事であり、遺族の将来を守るという人々に寄り添った仕事がしたいため」など、業種ごとの社会的価値を伝えましょう。
“なぜその企業なのか”については、数ある企業の中でもなぜその企業で働きたいのかを伝えます。
その際は、志望企業の商品ターゲット、規模、新規事業、取引相手など、企業の特徴を調べ上げましょう。
特徴を把握したら、競合他社と比較します。そうすることでその企業ならではの強みが見えてくるはずです。
(2)金融業界の求める人物像を把握する
金融業界の選考を受ける際、効果的なアピールをするためには、求められている素養やスキルを把握することが大切です。
そのため、上記で説明した3つの要素の整理ができた方は、”金融業界の求める人物像”を理解しましょう。
金融業界では主に顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力、自ら物事に取り組める主体性、そして高度な情報感度を有する勤勉性が必要とされます。
まずはコミュニケーション能力です。金融業界では顧客とお金のやり取りを行うため、顧客からの信頼を得なければなりません。
顧客との信頼関係を得るには預かったお金で利益を出すだけではなく、顕在的なニーズと潜在的なニーズの両方を満たす必要があります。
これらのニーズを引き出し結果を残すことで信頼関係を構築できるようなコミュニケーション能力が求められています。
次に主体性に関してです。金融業界は直接的あるいは間接的にお金を扱う業界であるため必ずトラブルが生じます。未払いや過払い、損得などといったトラブルです。
時間との闘いであるため、こうしトラブルの原因をいち早く発見し自ら解決しようとする主体性も求められます。
最後に勤勉性に関してです。法律や経済情勢は刻一刻と変化するため、世の中の変化に置いて行かれないように常に学ぶ姿勢を持つ勤勉性は金融業界で働くには大切な要素であると言えます。
金融業界内でも業種や企業によっては求められる人物像は異なるので、各業界の詳しい人物像や自己PRの書き方が気になる方は以下の記事も参考にしてみてください。
(3)志望動機のフレームワークを知る
情報収集や自己分析を基に、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機をひと言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の考え方、書き方を詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
関連記事:
・志望動機の書き方~選考通過率をUPさせる方法~
・志望動機の正しい考え方やコツ~「志望動機がない…」と悩んでいる人必見~
金融業界の志望動機に向かないアピール内容
ここまでは金融業界で評価される志望動機の作り方を紹介してきました。続いては、金融業界の志望動機にはオススメできないアピール内容を紹介します。
自分がアピールしようとしている内容は問題ないか確認してみてください。
金融業界に向かない志望動機の例(1):経済発展に貢献したい
「経済発展に貢献したい」「経済を動かしたい」これは金融業界を志望している就活生がよく志望動機で使う言葉です。
この言葉自体がNGというわけではありませんが、これだけだと志望動機としては薄くなってしまいます。
理由としては経済活動の発展に関与しているのは金融業界だけではなく、どの業界でも言えるアピール内容となるためです。
どの業界でも通用する志望動機でアピールしてしまうと「この学生は志望動機を使いまわしてるのではないか…?志望度は低そうだな」と判断されてしまうリスクがあります。
上述したように「経済発展したい」という言葉自体が悪いわけではないため、志望動機でこの言葉を用いる場合は、具体的にどのような業務を行って経済を回したいと思っているのか、その業務を行う際に自分の強みや適正で活かせるものがあるかを交えてアピールするようにしましょう。
金融業界に向かない志望動機の例(2):数字に強い
金融業界の仕事はお金を扱う業種であるため、数字に強いことがアピールになると思っている就活生もいると思います。
たしかに弱いよりは強い方が良いですが、数字に強いというだけでは企業の採用担当を惹きつけるアピールにはなりません。
効果的なアピールをするためには「数字に強い」だけではなく、金融業界で使える資格の取得や財務諸表の分析や作成ができるといったような実務で使えるスキルが身についていることを証明しましょう。
金融業界に向かない志望動機の例(3):待遇が良い
給与や福利厚生など、待遇の良さから金融業界を志望している就活生もいると思います。もちろん給与や福利厚生は企業を選ぶ際の大切な指標です。
しかし待遇面を志望動機としてアピールするのはオススメしません。
理由としては、志望動機で待遇面も伝えてしまうと「自社の仕事自体には興味ないのかな…?」「仮に入社したとしても、もっと待遇の良い企業が見つかればすぐに転職してしまうのではないか」など、志望度が低い印象を与えてしまうためです。
企業は志望動機を通して就活生の志望度や熱意を見ているため、志望動機を作成する際は、その志望動機で熱意が伝わるかどうかといった観点を意識するようにしましょう。
金融業界の志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文から、クオリティと書き方を学び、自身の書類に活かしてください。
都市銀行の志望動機の例文
なかでも、貴行はグループ会社や海外ネットワークと連携を取ることで、お客様に与える付加価値が他行に比べ大きく、お客様の期待を超えるオンリーワンの提案ができると考え志望致します。
入行後は、多くの業務フィールドでの経験を活かし、お客様の課題を解決できるように貴行の一員として取り組んで参ります。
→銀行の理由、個社の理由の順番で記載しているオーソドックスな書き方。そのあとに上記のように「やりたいこと」や「経験」をできるだけ具体的に入れましょう。
地方銀行の志望動機の例文
そこで、〇〇県のリーディングバンクであり、幅広い顧客基盤を持ち、地方経済の発展に大いに貢献できる貴行に興味を持ちました。
中でも貴行は、他行に比べ、人と熱心に向き合う風土があると行員の方と接する中で感じ、一緒に働きたいと強く思いました。
入行後は、家庭教師の経験から学んだ「信頼関係を築く中で、相手の様々なニーズをくみ取り、解決に導く力」を活かし、お客様から信頼され、お客様にとって身近な存在になり、多様なニーズが存在する〇〇県の発展に影響を与えられる銀行員になりたいと考えています。
→銀行の理由、地方銀行の理由、個社の理由が明確に書かれています。自らの体験がその理由とマッチしているように書くと説得力が増します。
生命保険会社の志望動機の例文
サークル活動やアルバイトで一人一人と真摯に向き合い、個々の“想い”に応えて組織を支えることにやりがいを感じたからだ。
中でも貴社は株式会社化、持株会社体制への移行、海外進出など、お客様のために変わり続けるという変革意識が一番強く、どの時代でも常にお客様に最適な提案ができると考えた。
また、セミナーや座談会を通じてチームワーク重視の社風にも魅力を感じ、貴社であれば私の強みである「挑戦心」と「チームワーク」が最大限に発揮できると考え、第一志望とする。
→業界、業種、個社の順で絞り切ったことで、論点がずれない構成になっている。さらに事業のこともよく調べられているので、一度会ってみたいと思わせる内容になっています。
損害保険会社の志望動機の例文
そこで、損害保険を通してリスクヘッジに投資することで、企業の成長そのものを支援することができると考えている。
御社社員には、誠実さを第一とし、熱意を持って仕事に取り組む方が多いと感じた。
私も、自社・顧客ともに信頼される存在となり、企業の抱える様々な課題を発見・解決して社会全体の発展に貢献したい。
→「リスク」などの言葉を使うことで、守りの仕事も頭にある人だと感じてもらえます。
上記例文は文章が独立しすぎているので、箇条書きにならないように接続詞などを入れて作りましょう。
証券会社の志望動機の例文
私は、高校、大学と硬式野球を続け、チームの目標に貢献できる選手になれるよう常に努力してきました。
自ら設定した目標のために努力する中で、自分の成長と組織への貢献にやりがいを感じてきました。
そして、貴社には若手の内から実力に応じて現場で仕事を任され、活躍できる環境があると伺っています。
業界最大手の企業としてのプライドを持ち、常に向上心を持つ貴社の一員として、現場でお客様の期待に応え、自分自身を成長させることで、貴社に貢献していきたいです。
→大変な仕事でもこなしてくれそうだと感じさせます。目標を追いかけてきた点と、「若手でも活躍できる場所がある」ことが響いた点がリンクしています。
ただし、業界、会社についての内容が薄いため、例文よりは志望ポイントを厚めに書きましょう。
クレジットカード会社の志望動機の例文
1点目、インターンシップに参加させて頂いた際、社員の方が学生に親身になって下さり和やかなお人柄に惹かれました。
また、誇りを持って働く社員の方のお姿を見て、自分自身も一緒に働かせて頂きたいと強く思いました。
2点目、仕事を通して、豊かな暮らしを提供する事でお客様に感動と喜びを届けたいという思いがあり、クレジットカード業界でなら実現可能であると考えています。
その中でも特に、カード・信販・ソリューションという3つの事業を行う事でお客様に幅の広いサービスのご提案ができる御社でなら、お客様に寄り添う事ができやりがいを感じながら働く事ができると感じています。
御社で働くことのできた際にはカードビジネス推進部にて、付帯サービスなどの新たな付加価値を創造し、お客様に寄り添いより豊かな暮らしの実現に努めたいと思っています。
→この会社である理由を2つの角度から見ている点が意欲を感じるポイント。「お客様に寄り添いたい」と思うようになった経験に触れられるとレベルが上がります。
まとめ
本記事では金融業界の仕組みや職種、志望動機を書く際のポイントを紹介してきました。
金融業界の選考を突破するためには、金融業界の仕組みや役割など、業界知識を身に着けておくことは必須となります。
そのため、選考を受ける前は必ず業界研究を行うようにしましょう。
本記事では、金融業界の選考を実際に通過した例文も紹介していますので、これから志望動機を作成するという人は、ぜひ参考にしてみてください。
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