●生命保険業界には、顧客のもしもの時を支えることのできる側面と、顧客から受け取った膨大な保険料を資産運用する投資家の二つの側面があることが特徴であり、入社後の働き方も意識して志望動機を書くと良い。
●生命保険業界に求められる人物像は、顧客のニーズを引き出す「傾聴力」を持ち、「使命感を持って」顧客と関わることができ、新しい保険商品を「企画し、提案する力」のある人である。
生命保険業界は、「保険=安定している、規模が大きい」といったイメージが強く、多くの就活生が志望をしている業界の1つです。
そのため、生命保険業界の選考を通過していくためには、志望動機に記載する内容など選考書類対策は欠かせません。
そこで本記事では、このように選考の厳しい保険業界を勝ち抜くために、志望動機で抑えておくべきポイントや評価される志望動機の書き方について紹介しています。
さらに、日本生命など実際に選考を通過した志望動機例文も5つ紹介しているので参考にしてみてください。
生命保険業界とは?
生命保険業界とは、人の生存や死亡に関して保険金を支払う「第1分野の保険」(年金保険や死亡保険など)と疫病・傷害分野に関して保険金を支払う「第3分野の保険」(医療保険や介護保険など)を扱っている業界のことです。
利益構造は、顧客から集めた膨大な保険料を運用して得られる「利差益」、予想された事業費と実際の事業費の差で生まれる「費差益」、そして予定死亡率によって導いた、予想される保険料支払い額と実際の支払い額との差で生まれる「死差益」の3つによって成り立っています。
ここでは、生命保険業界の業務、損害保険との違い、得られるスキルについて説明していきます。
生命保険業界の動向、詳しい業界研究については以下の記事も参考にしてみてください。
生命保険業界の業務
ここでは生命保険会社の様々な仕事の中から、主な3つの業務についてピックアップして説明していきます。
■営業部門
営業部は主に個人営業部門、法人営業部門、代理店営業部門に分けられます。
いずれの部門でも、保険商品の営業業務をおこなっていますが、営業先が異なるので、保険の内容や営業のやり方に違いがあります。
■アンダーライティング部門
保険加入から支払いまでの流れをサポートするための部門です。特に、生命保険会社には、保険加入時の契約に基づき、お客様に適切な額を支払う義務があります。
この保険の出口となる支払い業務を担っているのがこの部門です。
■資産運用部門
保険加入者から受け取った保険料は膨大な額になり、その一部を有価証券や不動産などで運用する部署です。
運用で増やしたお金は将来の保険金や配当金の財源になります。
損害保険との違い
生命保険は、「ヒト」に関わるリスクに対する保険であり、損害保険は、「モノ、財産」に関わるリスクに対する保険です。
万が一の際の保険金の支払い額については、損害保険は損害の度合いによって変わりますが、生命保険は保険加入時に決めた定額であるという違いもあります。
また、生命保険の販売は営業職員を通しておこなうのが主ですが、損害保険は代理店を通しての販売が大きな割合を占めています。
図にまとめると以下の通りです。
損害保険 | 生命保険 | |
---|---|---|
対象 | モノ、財産 | ヒト |
補償の違い | 実損てん補 | 定額給付 |
販売方法 | 代理店を通した販売が多い | 直接個人への営業が多い |
業務を通して得られるスキル
■ヒアリング力
保険の新規加入者獲得のために、営業では相手に寄り添って話し、顧客との間に信頼関係を築くことが重要です。保険とは将来のもしもの時に備えるための商品であり、顧客にも慎重な決断が求められます。
このことからも、営業の職に就いた場合には相手の話を聞き、悩みやニーズを正確に引き出すことでヒアリング力を身に着けることができるでしょう。
■提案力
相手のニーズを知った後は、自社の持つ商品を活用して顧客の課題解決のために行動・提案していきます。
そこでは、自社の保険商品に対する知識だけでなく、金融業界全体の知識も用いて提案をおこなっていくことが求められるので、生命保険業界ではそのような専門的な知識を身に着けられ、さらに顧客ごとに合った商品を選んで提案する力を得られます。
将来のキャリアプラン
■コーポレート業務にかかわり、ゼネラリストを目指す
営業から、バックオフィスに異動するというプランです。
バックオフィスとは、経理や人事などの直接顧客とやり取りすることが少ない業務の総称です。
営業とバックオフィス業務2つのスキルを身に着けて、ゼネラリストとしてキャリアの選択肢を広げることができます。
生命保険各社では、ジョブローテーション制度が導入されていて、早いうちから様々な業務への理解を深めることができます。将来のキャリアを考えるきっかけにすることができるでしょう。
■マネージャーなどの管理職を目指す
管理職になると、組織の業績向上のための行動が求められます。
部署、拠点のリーダーとしての責任は増しますが、関わる人を成功へとリードしていくことはその分自分自身の成長にも繋がるでしょう。
第一生命では、新卒採用のコースが3つ用意されており、機関経営職になると営業オフィス経営のプロフェッショナルを目指して、キャリアを積むことができます。
参照元:
第一生命|3つの職種について
生命保険業界で評価される志望動機を書くための3ステップ
ここでは生命保険業界の志望動機を書く際に意識してほしいポイントを3つ紹介します。
これから志望動機を作成するという人は、以下のポイントを参考に作成してみてください。
(1)志望動機に必要な要素を把握する
志望動機を作成する際は「なぜ生命保険業界か」「なぜその企業なのか」をしっかりと深掘りしましょう。
「損害保険のような『モノ』ではなく、生命保険の特徴である『ヒト』に対して寄り添った提案がしたい」のように、生命保険業界ならではの理由を述べるようにしましょう。
下に業界大手企業の簡単な分析をまとめているので、志望動機を考える際に参考にしてください。
●売上・総資産・お客様数が業界No.1
●大樹生命、ニッセイ・ウェルス生命などのグループ経営の推進
●米国・欧州ならびにアジア・太平洋地域への積極的な海外進出
第一生命
●唯一の上場企業
●国内3ブランドを束ねるグループ総合力
●欧州や北米、アジアへの積極的な海外進出
明治安田生命
●日本最古の生命保険
●団体保険の契約数トップ
住友生命
●「vitality」などの高い商品開発力
●若年層への販売力
(2)生命保険業界の求める人物像を把握する
生命保険は『ヒト』の将来のリスクに備えた保険商品です。そのため、どれだけお客様に寄り添った提案ができるかが重要になってきます。
また、お客様の正確な健康状態や希望を把握した上で、保険の契約を結ばなければならないため、コミュニケーション能力や傾聴力も重視されます。
さらに、国内市場の縮小に伴い、業界で生き残るためにも新しい保険商品を提案しなければなりません。そのため、主体的に新しい保険商品を考え出し実行に移せる行動力も必要とされます。
まとめたものが以下のとおりです。
・コミュニケーション能力や傾聴力を持つ人
・使命感が強く、お客様のために提案・行動ができる人
・新しい保険商品を企画し、形にする力を持つ人
(3)志望動機のフレームワークを知る
情報収集や自己分析をもとに、伝えることが決まれば、あとは書くだけです。必ずしもオリジナルの構成にする必要はありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
文章力に課題がある人は第三者にチェックしてもらうことで、「て・に・を・は」、接続語、「です・ます」調など細部まで整えましょう。
(1)志望動機を一言で
(2)具体的に言うと
(3)理由(過去の経験と業界・その会社の関連性)
(4)入社後にどうなりたいか
志望動機の考え方、書き方を詳しく知りたい人は下記をご覧ください。
生命保険業界の志望動機の例文
実際に選考を通過したESの志望動機の例文および考察から、書き方を学び自身のESや面接に活かしてください。
第一生命の志望動機の例文
私はアルバイト先の飲食店で組織の成長に貢献した経験に大きなやりがいと楽しさを感じた。そこで自身の介在価値で人々や企業の成長を支えることができる金融業界に興味を持った。中でも、自身の人間力を活かし、お客様と長く携わる生命保険業界は、私の志を最も達成できる分野だと考え志望している。
特に、貴社は株式会社化しており、お客様のニーズに対し幅広い提案ができる点に加え、常に顧客本位の姿勢で仕事をされている方が多い点に魅力を感じた。入社後は、強みである適応力を活かして顧客と信頼関係を構築し、社内外から頼られる社員へと成長したい。
→全ての要素について簡潔にまとめられた良い志望動機です。
しかし、「なぜ第一生命を志望するか」という点について、「株式会社化しているから、お客様のニーズに幅広い提案ができる」と書くことは短絡的であるので、ここをわかりやすい説明に変えると良いでしょう。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(第一生命24卒)
日本生命の志望動機の例文
私は、アルバイトや友人関係を通して、人のために行動することにやりがいを感じることに気づいた。そこで、生命保険会社の営業は、お客様と密にお付き合いをし、将来を後押しできると感じた。
また、貴社は社員の成長や目標を後押ししており、お客様の将来を後押しするためには、社員が成長、挑戦できる環境が必須であると考える。私の「相手の課題に向き合い、主体的に行動できる」という強みを活かし、お客様の悩みや不安を把握し、後押しできるサービス提供をしていきたいと考える。
→なぜ生命保険を志望するのかについてはっきりと書かれています。
しかし、この企業でなくてはいけない理由についてはあまり触れられていないので、そこに関して内容を深めることができればより内容が充実するでしょう。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(日本生命(日本生命保険相互会社)23卒)
明治安田生命の例文
中でも貴社は、アフターフォローに注力しており、長期的な目線でお客様を支えることができるため、私の軸を最も達成できる環境が整っていると確信している。
入社後は、強みである適応力を活かして顧客と信頼関係を構築し、社内外から頼られる社員へと成長したい。
→文字数が少ないながらも全ての要素について書かれており、該当企業の良さについても論理的に述べられています。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(明治安田生命(明治安田生命保険相互会社)24卒)
かんぽ生命の例文
その中でも貴社の魅力は、お客様と頻繁にコンタクトを取れる郵便局にて保険商品を扱えることである。これにより、特に複雑な保険商品について理解が難しい高齢者にも、丁寧なサポートが可能になり、安心して商品を購入してもらえると考える。また、貴社の保険商品は職業による保険料の違いがなく一定のため、他社ではカバーすることができない人に対しても、アプローチができる点に魅力を感じる。このように、困難な状況にある人であっても入りやすい保険を提供することでより多くの人に安心を届けることができるという業務内容にやりがいや社会的意義を感じた。
貴社で働くうえでは、私の強みである事前準備力を活かして、競合他社の商品やサービスについて情報収集を行い、お客様のニーズを的確に捉えた保険商品の開発の仕事に携わりたい。
→生命保険業界をなぜ志望するのかについて述べた後に、該当企業の良さについて触れています。この企業に行きたいという意思が伝わってくる志望動機です。
参照元:unistyle/内定者本選考ES(かんぽ生命保険24卒)
住友生命の例文
私は多くの人の人生に深く関わり、確固たる信頼のもとで安心を提供できる存在になりたいと考え、生命保険業界を志望している。
その中で貴社は圧倒的な商品開発力を備え、他社より女性が長く働きやすい制度、職務の幅が広いため業界人として自己成長できる環境が充実している。そのため、貴社でこそ私の目標を実現できると考えるため志望する。
→文字数が少ないながらも全ての要素についてはっきりと述べられている志望動機です。
参照元:unistyle/選考通過者本選考ES(住友生命24卒)
まとめ
良い志望動機を書くには、業界の理解と自己分析の両方が不可欠です。
生命保険業界では、顧客の人生に寄り添ったプラン設計や、保険商品提案に携わることができます。
なぜ生命保険業界に行きたいのか損害保険との区別をはっきりし、自身の経験を踏まえた志望動機を書くようにしましょう。
志望動機の基礎から応用まで網羅的にノウハウを知りたい人は下記をご覧ください。
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- 「自分の志望動機が評価されるか不安…」
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