●今後の自動車業界の未来を語る上で欠かせない[CASE]や[MaaS]といったトレンドワードは抑えておくと良い。
●自動車は完成までの期間が長く、売上に繋がるまで数年程度かかることからも、1つの事柄に対して情熱を持って粘り強くチャレンジできる人が向いていると言える。
●自動車業界の志望動機を作成する際は、[数ある業界の中で、なぜ自動車業界なのか?][なぜその企業を志望しているのか?]を自分の言葉で説明できるようにしておく必要がある。
自動車業界は、国内全製造業出荷額の約20%のシェアを誇っており、日本のモノづくりを支える業界の1つと言えるでしょう。
また日本の自動車業界は国内だけではなく、海外でも高く評価されており、注目度の高い業界です。
このような自動車業界は、[安定している][将来性がある]といったイメージがあることから、就職を目指す就活生も少なくないでしょう。
本記事では、自動車業界の特徴・業務内容・求められる人物像・志望動機の作り方・過去に選考通過をした志望動機の例文などを解説しています。
自動車業界の就職を目指す就活生は、本記事の内容を参考に評価される志望動機の書き方のコツを掴みましょう。
自動車業界とは?
自動車業界は、自動車やバイク、バスやトラックなどの完成車を扱う自動車メーカー、それらに使う部品や素材を扱うメーカー、そして完成車や自動車部品の販売会社などを指します。
また自動車の修理やメンテナンス、レンタカーやカーシェアなど自動車に関連したサービスを提供している企業なども含めて自動車業界と言うこともあります。
日本の自動車産業は、昭和の経済成長とともに拡大し、2018年まで右肩上がりの成長を続けており、日本の産業構造を支える製造業の代表格とも言えるでしょう。
そのような自動車業界ですが社会情勢の変化やテクノロジーの進化とともに変革を遂げてきた歴史もあり、今後もその流れは続きます。
自動車業界の詳しいビジネスモデルや動向に関しては以下の関連記事をご確認ください。
本記事では、自動車業界への就職を考えている就活生向けに、自動車業界の特徴やビジネスモデル、動向などをお伝えします。
自動車業界のトレンドワード
現在の自動車業界は、トヨタ自動車の豊田章男社長が「自動車メーカーからモビリティカンパニーへのモデルチェンジ」を宣言しているように[100年に1度の大変革時代]とも言われています。
最近では世界各国の自動車メーカーで「CASE」という言葉がトレンドとなっており、今後の自動車業界の未来を語るうえで欠かせない言葉と言えるでしょう。
本章では、志望動機を作る前段階として、自動車業界における上述のようなトレンドキーワードをご紹介します。
CASE
[CASE]とは[Conneted Autonomous Shared Electric]の略で、自動車業界における4つの革新的な技術やサービスの頭文字をつなげた造語です。
CASEが注目されるようになった背景には、地球温暖化・少子高齢化・高齢者ドライバーによる交通事故の増加といった問題があります。
以下にて4つそれぞれの意味を紹介します。
・Connected
Connectedは、[つながり]を意味し、車とドライバー、車とデバイス・サービス、自車と他車をネットワークで接続し、外部とさまざまなデータをやり取りすることを意味します。
車とインターネットを接続することで、位置情報の把握や配送の効率化、最適なルート提案、事故発生時の通報など様々なことを可能にします。
・Autonomous
Autonomousは[車の運転の自動化]のことです。
完全自動運転となる世界はもう少し先ですが、高速道路での自動運転やセンサーによる衝突回避など運転をサポートしてくれる機能はすでに誕生しています。
Shared & Servicesは[カーシェアリング]を意味します。
現在の日本において、都市部の公共交通サービスの充実や自動車所有にかかるコストなどの経済的な問題からマイカーを持つ人は多くありません。
そのため近年、Uberなどの相乗りサービスや、タイムズなどの車を借りることのできるサービス、その他にもサブスクリプションサービスによる自動車レンタルサービスが広く普及しています。
公益財団法人交通エコロジーモビリティ財団によれば、カーシェアの市場は、2010年に1万人強だった会員数が、2017年に初めて100万人を突破していることからも、車を[所有する]から[シェアする]という時代に突入していることがわかります。
・Electric
Electricは、ハイブリッドカーや電気自動車などの[非ガソリン車の利用推進]を意味します。
エコカーと言えばイメージしやすいと思いますが、地球温暖化防止のため世界中で排ガス規制が進んでおり、2040年にガソリン車の完全廃止を決めた国もあります。
その代替としてHV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)への注目が高まっているのです。
MaaS
[MaaS]とは[Mobility as a Service]の略で、[自動車や自転車、公共交通機関などの交通手段を利用し、最適化された移動ルートを提供する]サービスです。
インターネット上で予約や運賃の決済を簡単かつ効率的におこなうことが可能で、車を所有しなくても、必要なときに様々な交通手段を使い分けることで、よりスマートで持続可能な交通システムを実現することを目的としています。
決済の統合という点では、日本のSuicaも[MaaS]の1つと言えるでしょう。
自動車業界の主な職種
自動車業界にも、他の業界同様、人事・総務・経理財務などの職種もありますが、ここでは、自動車業界ならではの[商品企画][マーケティング][生産][研究・開発]という4つの職種を紹介します。
商品企画
消費者が欲しいと考えている自動車を考察し、新しい自動車のコンセプトを練り上げる職種です。その他にも、市場の調査や資材・部品の調達なども担当します。
商品企画という職種は華やかな職種の印象を受けますが、緻密な調査を元に予算策定したり、商品のアピールポイントなどを自社のブランドイメージと掛け合わせた上で経営陣へプレゼンをしたり、研究チームとの調整をしたりと仕事内容は多岐に渡ります。
マーケティング
市場調査・カスタマーニーズをもとにCMやインターネット告知、イベントなどのプロモーション・集客をおこなう職種です。
具体的には、新車発売のイベントやキャンペーンなどを企画したり、新車購買時の特典やノベルティを考案したりします。
トヨタ自動車のハウスエージェンシーであるデルフィスのように、マーケティング機能全般を担うグループ会社を持っている企業もあります。
生産
生産は需要に応じて過不足なく部品を手配し、生産量を調整したり、製造ラインのチェックやスケジュール・品質管理をおこなったりする職種です。
具体的には、市場の売れ行きに応じて部品発注計画を綿密に立て、何台であっても消費者の求める納品期日に間に合うように生産します。
また納品日に対して、どのように効率よく自動車の量産ができるかを考えるのも生産の役割です。
研究・開発
研究・開発は、自動車の部品や新たな技術の研究・開発をおこない、新しい技術を生み出している職種です。
電子技術・モーター・エンジン・トランスミッション、そしてHV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)などの次世代自動車といった様々な分野からそれぞれの専門家が集まり研究・開発が進められています。
研究・開発では、それぞれテーマに沿った実験や解析、データ収集、検証など、新製品の自動車の開発や既存自動車製品の改良に、必要な研究をおこないます。
また研究によって得られた結果をもとに、製造時の安全の確保や製造コスト計算、モニタリングなど製品化に向けた業務も担っています。
自動車業界が求める人物像とは?
自動車は完成までの期間が長く、売上に繋がるまで数年程度かかります。そのため1つの事柄に対して情熱を持って粘り強くチャレンジできる人が向いていると言えるでしょう。
また自動車業界は自分1人、1つの企業だけで完結する仕事は少なく、様々な企業や部署の人と協力しながら仕事を進めていかなければなりません。
研究開発などの専門職であっても、企画や製造、取引先など社内外の多くの人と連携を取る必要があります。
そのため周囲の人と良好な人間関係を築くことはもちろん、上司や他部門の人ともしっかり交渉・調整できる能力が求められるでしょう。
また近年自動車業界の海外進出は加速しており、日本メーカーが現地生産した車を日本国内へ輸入する企業や海外での自動車の販売に力を入れている企業も増えています。
つまりグローバルな視点を持てる人も求められると言えます。
上記をまとめると、自動車業界で求められる人物像は以下の3点を満たす人であるということがわかります。
- 情熱をもって粘り強くチャレンジできる人
- 様々な人と良好な関係が築けるコミュニケーション力と調整力がある人
- グローバルな視点を持てる人
自動車業界で評価される志望動機に必要な2つの要素
自動車業界で評価される志望動機を作るにあたって、まずは[自動車業界で評価される志望動機]に必要な要素を把握しましょう。
自動車業界で就活で評価される志望動機には、以下の2つの要素が欠かせません。
・数ある業界の中で、なぜ自動車業界を志望しているのか?
・数ある企業の中で、なぜその企業を志望しているのか?
[なぜ自動車業界なのか]については、例えば「高齢者でも安全に車の運転ができるような新しいカタチの車を作りたい」といった自動車業界ならではの理由を入れましょう。
[なぜその企業なのか]については、志望企業の強みや事業形態などの特徴を調べて、競合他社と差別化しながら伝えます。
例えば、国内最大手の自動車メーカートヨタの強みは、レクサスを代表とする高級車とハイブリッド車、および燃料電池車です。またトヨタの生産方式は、世界中の製造業でお手本とされています。
ホンダはトヨタ自動車に次ぐ売上を誇る企業です。ホンダは四輪事業以外にも、二輪事業や芝刈り機や草刈り機のような作業用製品を扱う事業、航空事業なども展開しており、中でも特に二輪事業に強みを持っています。
このように同じ自動車業界に属する企業とはいえ、企業ごとに強みや注力している事業は異なるため、企業ごとの特徴を把握した上で、[自分が自動車業界・その企業を志望する理由]を考えるようにしてください。
自動車業界で評価される志望動機の作り方
[自動車業界の求める人物像]と[自動車業界で評価される志望動機に必要な要素]を理解したら、早速自動車業界で評価される志望動機を作成していきましょう。
志望動機を作成する際、「他の就活生の志望動機に埋もれないようにオリジナルの構成にしなければと…」と考える就活生もいるようですが、必ずしもそうではありません。
シンプルでわかりやすい文章構成が、相手を意識した書き方であり、読んでもらうコツです。
志望動機を作成する際は、以下の構成で作成しましょう。
(2)背景・動機を伝える
(3)その企業を志望する理由を伝える
(4)入社後にどのように活躍したいと考えているかを伝える
具体的にそれぞれどのような文章を書けばよいのか、本田技研工業(ホンダ)の内定を獲得した22卒の就活生の志望動機を参考にして確認してみましょう。
(1)志望動機を一言で伝える
(2)背景・動機を伝える
(3)その企業を志望する理由を伝える
(4)入社後にどのように活躍したいと考えているかを伝える
引用:unistyle/本田技研工業(事務系総合職 22卒内定者)
自動車業界の志望動機例文
過去に選考を通過した人の志望動機を見ることで[自動車業界で評価される志望動機]の書き方や伝え方を知ることができるでしょう。
以下では、unistyleにて公開されている自動車業界の選考を通過したESの志望動機の例文を、[自動車メーカー]と[自動車部品メーカー]に分けて紹介します。
自動車メーカー企業の志望動機
トヨタ自動車の志望動機の例文(24卒内定者)
モノづくりを通じて人々の暮らしや社会をより良くしていく意識と、それが実感できる働き方
【理由】
幼い頃からモノづくりに興味があった自分はその歴史を学ぶ中で、社会基盤の発展と技術革新の両輪こそ、短い期間で人々の暮らしが劇的に変化した大きな要因であると実感しました。貴社の持つ「産業報国」の社是はまさにこの価値観に合致するものだと思い、高い魅力を感じています。
日々の生活に不安を感じずに過ごせて初めて技術革新のアイデアが芽生えると考えています。安全な社会の構築に向け、〇〇でも安全に乗員を輸送できるクルマの開発、中でも〇〇システムである〇〇領域での〇〇の分野で活躍したいです。〇〇が重要な貴社の〇〇製品や〇〇に魅力を感じており、〇〇でなくても十分な安全性が担保できる〇〇車両の開発に挑戦したいです。自身の研究で培った〇〇における基本的な理論や考え方は、実際に貴社の製品設計のノウハウを学ぶ下地として強みになると考えています。
日産自動車の志望動機の例文(23卒R&D職内定者)
SUBARUの志望動機の例文(22卒営業職内定者)
私は、貴社が共有する安全性能に関する技術力の高さと、乗っていて愉しい移動空間を提供するという信念の強さは、競合他社と一線を画すと考える。一方で、それらの技術や信念が消費者にとって価値として認識されなければ、他社と比べて高価な車という認識に止まってしまう。私は、この現状を変え、一人でも多くの消費者に対してスバル車を選択してもらいたい。そこで、営業職としてマーケティング業務に従事し、「安心と愉しさ」の価値を、自身の傾聴力を生かし、顧客の感性に訴えるメッセージを通じて普及させたい。そして、より多くの消費者に対して日々の移動に喜びをもたらし、事故で悲しむ人を未然に一人でも多く救うことによって、社会に対して良いインパクトを与えていきたい。
マツダの志望動機の例文(22卒電子性能開発部内定者)
自動車部品メーカーの志望動機
DENSO(24卒技術系総合職内定者)
アイシン(24卒技術系総合職内定者)
ブリヂストン(22卒セールス&マーケティング内定者)
また、業界トップシェアの地位に甘んじることなく、世の中の変化に柔軟に対応する姿勢が自身の志向とマッチしたため、貴社を志望しました。
私は学生時代に2年間バングラデシュで過ごした経験から、異文化の中で周囲と信頼関係を築く力や、変化の激しい環境において、自らの価値は何かを考えて行動する毎日に刺激と楽しさを感じました。
モビリティから社会に貢献するという軸を持ちつつ、新しいニーズや社会の流れに合わせた変化を積極的に行う点が私にとって魅力的であり貴社を志望します。
私は学生時代の経験から、インフラの未熟な新興国、途上国の人々にとって最適な移動手段を提供したいと考えるようになりました。
そのためには、モビリティの基盤となる貴社製品の特徴を知り、最も市場に受け入れられるモノは何かということを考えることが大切であると考えます。
そのうえで、ある地域の文化や特性、消費者のニーズを把握し、常に現場目線、顧客目線から売り上げに貢献できる事ができると考えて、該当職種を志望します。
まとめ
繰り返しになりますが自動車業界は、日本のモノづくりを支える大きな柱となる業界です。
そのような自動車業界は現在、EV化や自動化にむけ大きな転換期を迎えており、今後の成長も期待できるでしょう。
とはいえ自動車業界は入社を目指す就活生は多いため、自動車業界の選考を通過するためには他の就活生と差別化できる志望動機を作成することが大切です。
あらためて「どうして数ある業界の中で自動車業界を志望しているのか?」「自動車業界の中でも完成車を扱いたいのか?部品・素材を扱いたいのか?」「数ある企業の中でもなぜその企業なのか?」を考え、自分の言葉で説明できるようにしましょう。
そうすることであなたの志望動機に説得力を持たせることができるはずです。
就職エージェントneoを活用して選考対策をしよう!
- 「自動車業界の中で自分に合っている企業がわからない….」
- 「自動車業界以外にも企業の幅を広げてみたい…!」
- 「自分の自己PR・志望動機にフィードバックが欲しい…」
- 「そもそも就活のことを誰に相談していいかわからない….」
このように悩んでいる就活生は、是非就職エージェントneoをご活用ください!
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