●旅行業界の求める人物像は『コミュニケーション能力がある』『フットワークが軽い』『テキパキ行動できる』『臨機応変な対応力がある』のいずれかを満たす人。
●旅行業界の志望動機では「旅行を通してお客様の幸せを実現したい」などといった旅行業界ならではの理由を述べると良い。
旅行業界は業務の中で国内・海外問わずさまざまな土地に行くことができる業種であり、旅行が好きという理由で、就職を目指している就活生も多いのではないでしょうか。
本記事では、旅行業界の仕組みや仕事内容について紹介するだけでなく「旅行業界って将来性あるの?」「大手企業はどこ?」という人に向けて、近年の業界動向や大手企業、自己PR・志望動機の書き方などをわかりやすく解説していきます。
そして、本記事の最後には旅行業界の売上や利益、年収、従業員数、勤続年数をランキングで紹介していますので、旅行業界を志望している就活生は是非参考にしてみてください。
旅行業界とは?
旅行業界の主な業務内容はホテルや交通機関の手配、ツアーやパッケージ旅行の企画立案と販売です。
また旅行業界は、旅行業法により[旅行業]と[旅行業者代理業]の2種類に分かれており、以下のような違いがあります。
旅行業
旅行業では、基本的に旅行の企画立案をおこないます。『誰をターゲットにし、どこに行き、何をして、何日間の工程なのか』など、旅行パッケージを企画し商品化しています。
代表的な旅行業者はJTB、エイチ・アイ・エス、日本旅行などです。
旅行業を詳しく分類すると、以下のように3つに分類することができます。
第2種:国内旅行のみを企画できる
第3種:特定の条件を満たした場合に国内旅行を企画できる
第3種は、基本的にツアー旅行などの企画はできませんが、旅行・宿泊先が[事業所のある市町村および隣接している市町村・国土交通大臣が定める地域]であれば可能です。
旅行業者代理業
旅行業者代理業は、旅行業者が企画した旅行商品の販売をおこないます。旅行業者が企画、パッケージ化した旅行商品の販売のみを担当し、仲介手数料を得ることで収益を上げています。
代表的な旅行業者は楽天、西日本観光サービス、対馬旅行センターなどです。
つまり旅行業が消費者を対象とする[BtoC]なら、旅行代理業は企業を取引相手とする[BtoB]に該当します。
具体的には、土産物屋、レジャー施設、レンタカーショップ、観光タクシードライバーなど旅先で関わる多岐な事業を担当しています。
旅行業界の商品の種類
旅行商品には[募集型企画旅行][受注型企画旅行][手配旅行]の3種類があります。
以下でそれぞれについて簡単に説明します。
募集型企画旅行
募集型企画旅行とは、旅行会社がエリアやテーマなどを設定し、ホテルや航空会社、鉄道会社などから部屋や座席を仕入れ、パッケージツアーとしてまとめたものを指します。
これらのパッケージツアーは、自社の店舗やインターネットサイト、旅行代理店を通して旅行者に販売されます。
受注型企画旅行
受注型企画旅行とは、旅行ニーズがある個人または法人のお客様の要望を聞いた上で、旅行会社が持つノウハウやネットワークを生かし、旅行の企画としてまとめたものを指します。
これらは企業の社員旅行や学校の修学旅行を企画して販売するケースなどが該当します。
手配旅行
手配旅行とは、旅行者からの依頼にもとづき、宿泊施設や乗車券などを手配するだけでなく、旅行者の指定した宿の予約やチケット手配の手続きまでおこなうものを指します。
これは旅行者自身で行きたいところを自由に組み合わせた旅行企画などが該当します。
旅行業界の主な職種
ここでは、旅行業界の主な職種を紹介します。
旅行業界に興味はあるけど、詳しい仕事内容まではわからないという人は参考にしてみてください。
アテンダント(添乗員・ガイド・ツアーコンダクター)
旅行客のツアーに同行し、観光地案内や旅程管理などを担当する仕事です。また、旅行客が安全かつ楽しみながら過ごせるよう、サポートとマネジメントに注力しています。
商品企画(ツアープランナー)
団体ツアーや個人旅行のプランの企画・開発を担当する仕事です。また、顧客アンケートや現地事情、営業担当者からの情報、最新トレンドなどを総合的に考慮し、魅力的なツアープランを作成します。
個人営業(カウンターセールス)
旅行会社の支店窓口などで顧客対応をおこなう仕事です。顧客から旅の目的や要望、予算、人数などをヒアリングし、ニーズに合ったプランを提案します。
法人営業(アウトセールス)
企業や学校を訪問し、旅行商品の販売をおこなう仕事です。店舗にいらっしゃるお客様の対応をおこなう個人営業とは異なり、企業自らが学校などに商品を売り込みに行きます。
旅行業界の大手企業とは?
ここでは旅行業界の大手企業を4社紹介します。
旅行業界に興味はあるけど、志望企業までは決まっていないという就活生は是非参考にしてみてください。
JTB
JTBグループでは[ツーリズム事業][エリアソリューション事業][ビジネスソリューション事業]をおこなっています。
そんなJTBグループの強みとしては以下が挙げられます。
・プロデュース力
・現場対応力
参照元:JTBホームページ/JTB
KNT−CTホールディングス
KNT−CTホールディングスは[国内旅行会社][海外旅行会社][その他]の3つの事業・領域に分けられます。
そんなKNT−CTホールディングスの強みとしては以下が挙げられます。
・全国に広がる販売店舗や関連施設
日本旅行
日本旅行では[ソリューション事業][ツーリズム事業]をおこなっています。
そんな日本旅行の強みとしては以下が挙げられます。
・全国各地の営業拠点、営業力
・地域行政、事業者のネットワーク
・ワンストップサービス
・事業運営能力、デジタル対応力
・JRセットプラン、着地商品
参照元:日本旅行ニュース/日本旅行
エイチ・アイ・エス
エイチ・アイ・エスでは[旅行事業][ホテル事業][テーマパーク事業][九州産交グループ][その他]をおこなっています。
そんなエイチ・アイ・エスの強みとしては以下が挙げられます。
・グローバルネットワーク
・顧客基盤
旅行業界の動向
ここでは旅行業界の動向を紹介します。
旅行業界を志望している就活生は、旅行業界の動向を必ず把握しておきましょう。
■旅行業界が抱える課題
■旅行業界の新規顧客獲得にむけた5つの施策
まず動向を学ぶ前に旅行業界について数字で見てみましょう。
参照元:業界動向サーチ/2022-23年の業界レポート ※2024年3月時点
旅行者数の推移
旅行者数の推移を訪日外国人旅行客数と国内旅行者数に分けて紹介していきます。
■訪日外国人旅行客数
2022年の訪日外国人旅行客数は前年比1495.8%増の383万人でした。
新型コロナウイルスの影響を受け大幅に減少していた訪日外国人旅行者数ですが、入国上限の撤廃やビザなし個人旅行の再開などにより、2022年は3年ぶりの増加となりました。
■国内旅行者数
国内旅行者数も新型コロナウイルスの影響を受けていましたが、感染拡大が緩和し、行動制限が解除されたことで国内の旅行者数も増加しています。
また、円安による海外旅行の停滞も国内旅行者数の増加に起因していると言えるでしょう。
旅行業界が抱える課題
旅行業界が抱える課題の1つとして人手不足が挙げられます。
観光庁の調査によると、宿泊業の約8割もの企業が人手不足に陥っており、宿泊業の離職率は全産業の平均を大きく上回る結果となっています。
このような人手不足を解消するため、旅行業界ではテクノロジーを導入し、労働力の効率化を目指しているのです。
例えば、旅行会社では、DXカスタマーサービス(※)、実店舗の縮小、顧客とのビデオ通話などをおこなっています。
(※)DXカスタマーサービスとは、IoTやAIなどのテクノロジーを駆使することで今までになかったサービスや商品を生み出すこと
旅行業界の新規顧客獲得にむけた5つの施策
■ワーケーション
ワークとバケーションを組み合わせた造語で、観光地やリゾート地に滞在し、リモートワークで業務を進めながら、オフタイムには滞在先でリフレッシュを図る、新しいワークスタイルです。
働き方改革や、新型コロナウイルス感染予防の観点から在宅勤務が進んだことにより、2020年に政府がワーケーションの普及を目指す方針を打ち出しました。
■インターネットを活用した販売増加
新型コロナウイルスによる外出規制などもあり、インターネットを介しての旅行商品の売買が増加しています。
有名な旅行ツアーを購入できるサイトは[楽天トラベル][じゃらんnet][Yahoo!トラベル][るるぶトラベル]などがあります。
インターネットを使って旅行商品や名産品を販売することで、店舗にかかるコスト(店舗開設費用、店舗の維持費)や人件費を下げることができるため、より低価格で商品を提供することが可能となるでしょう。
様々な業界でインターネットを活用した取り組みをおこなっていますが、旅行業界も例外なくインターネットを活用することで、市場の拡大を狙っています。
■MICE
MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などがおこなう報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などがおこなう国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語で、これらのビジネスイベントの総称です。
海外ではビジネストラベルという意味合いで使われることもあります。
参加者が多いだけでなく、比較的滞在期間が長く、一般的な観光客以上に周辺地域への経済効果を生み出すことが期待されています。
観光庁が日本国内で開催された国際MICEの消費額についての調査を実施したところ、2019年の市場規模は9228.6億円と、6年前の2016年(5384.2億円)に比べ171.4%の成長を記録しました。
参照元:MICEに関する調査事業/観光庁
■統合型リゾート
ホテルやショッピング施設、展示場、会議場などのMICE施設、劇場、カジノなどが集まった複合型の観光施設のことを指します。
これらは大きな経済効果が期待されることから、現在関連する法整備などが進められており、いくつかの自治体が誘致に関心を示しています。
■ビッグデータの活用
スマートフォンの情報提供アプリなどを通じ、訪日外国人が日本滞在中にたどったルートや、関心を持った施設などの情報を取得することが可能になりました。
それらのビッグデータを分析することで、新たな観光資源の発掘や、より良い旅行ルートの提案に生かそうとする試みも始まっています。
旅行業界の求める人物像
旅行業界の仕事は、お客様の要望に沿った旅行プランの提案や販売、そして購入手続きなどお客様と直接コミュニケーションを取る機会がたくさんあります。
また旅行を企画する際は色々な企業を巻き込んで進めていくことが多いため、コミュニケーション能力の高さを重視する企業が多いです。
また、自らでお客様の希望にあった旅行先を探し、交通機関を調べるなど能動的な仕事が多いため、気になることがあったら、すぐに行動に移すといったフットワークの軽さは、旅行会社の仕事の中で役立ちます。
時間に追われることが多いこの業界において、テキパキと行動できることは、仕事の効率を上げるためにも大切な要素と言えるでしょう。
最後に、顧客のニーズや要望を的確に読み取り、時間内に回答できないときには折り返す約束をしたり、メールで連絡するなど、臨機応変な対応力も求められます。
旅行という商品は、実際に手に取ることができないからこそ、トラブルやクレームが多くなります。
トラブルが発生した際、ただ謝るだけでなく、何ができるのかをすぐに提案して対応できる能力はとても重要です。
旅行業界で評価される自己PRの書き方
自己PRを書く際は基本的に『結論⇨エピソード⇨結果・学んだこと⇨入社後どう活躍できるか』の順番で書きます。
(1)結論
自己PRを書く際は最初に「私は○○することができます」といったように自分の長所を端的に述べます。
その際は、旅行業界の求める人物像に合わせ[コミュニケーション能力]や[臨機応変な対応力]といった長所を選ぶようにしましょう。
このように最初に結論を述べ面接官に今から何の話をするのか伝えることで、聞き手側も話が入りやすくなります。
そのため、自己PRをする際は結論として、まず長所を伝えるようにしましょう。
以下で「フットワークが軽い」という長所を選んだ場合の例を紹介します。
(2)エピソード
長所を伝えたら、実際にその長所があることを証明できるエピソードを交えます。
理由としては、企業は、課題・目標やそれに対する行動を通してその人の人柄や価値観を判断しているためです。
(3)結果・学んだこと
エピソードの次は、自分がとった行動によってどのような結果になったか、この経験を通して何を学んだのかについても書きます。
また、結果を書く際は定量的に伝えることでよりイメージしやすい自己PRを作成することができるため「〇〇というアイディアを出し実践したところ、売上を40%上げることができた」など、数字を用いてアピールしてみましょう。
(4)入社後どう活躍できるか
企業は採用活動を通して、自社に貢献してくれる人材を求めています。つまり、面接官にこの学生は「自社で活躍する素養がある」と思わせることが大事です。
より詳しい自己PRの書き方について知りたいという人は以下の記事を参考にしてください。
その他にも企業が自己PRを聞く意図や例文なども紹介していますので、参考にしながら自分の自己PRの作成にお役立てください。
旅行業界で評価される志望動機の書き方
旅行業界の志望動機を書く際は「なぜ旅行業界なのか」「なぜその会社なのか」をしっかりと深堀りしておくことが必要です。
[なぜ旅行業界なのか]については、旅行業界で自分が将来何を成し遂げたいのかを伝えます。
例えば「旅行を通してお客様の幸せを実現したい」「魅力的な旅行を提案したい」「交流によって地方を盛り上げたい」などといった旅行業界ならではの理由を述べるようにしましょう。
次に[なぜこの旅行会社なのか]については、旅行業界の中でもなぜこの企業を志望しているのか、強みや事業形態などの特徴を調べて、競合他社と差別化しながらえます。
例えば国内シェア50%を誇るJTBは、創業から108年を迎える国内トップクラスの企業です。
「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する」という経営理念のもと、人と人の交流に重点を置いています。
そして地方都市と連携して情報発信をおこない、マンガで読める日本のガイドアプリ「Ms.Green」は、総務省主催の「地域情報化大賞2015」において特別賞を受賞しました。
このように企業によって特徴や強みは異なるため、しっかりと企業研究をおこない、企業ごとの特徴や強みを把握した上で、志望企業を決めるようにしましょう。
旅行業界ランキング
ここでは旅行業界のランキングを紹介します。
[売上][経常利益][利益率][年収][従業員数][勤続年数]の6つのカテゴリーにおけるランキングを紹介していきます。
旅行業界の業績ランキング
参照元:業界動向サーチ/旅行業界の売上高ランキング(2022-2023年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。また企業名にあるホールディングスを「HD」と省略しています。(※2024年3月時点)売上については1位がJTB、2位がKNT−CTホールディングス、3位が阪急阪神HD、経常利益は1位がANA HD、2位が阪急阪神HD、3位が東武鉄道です。
売上や利益、利益率をチェックした方が良い理由は、以下の2点です。
・利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示している
売上は企業の財務力、ビジネスの規模を表しています。つまり売上が高い企業の方がおこなっているビジネスの規模が大きいということです。
またA社とB社が同じ利益の場合、売上が大きい企業の方が金融機関からの融資を受けやすいとされているため、売上を見ることで企業の資金調達力もチェックすることができます。
次に利益、利益率は企業が行っているビジネスの成否を示しています。そのビジネスによる付加価値がどれくらいあるかを測る指標です。
つまり利益がほとんど出ていなかったり、赤字だとビジネスに何らかの問題があるということになります。
ただし、このランキングだけでなく、成長率も大事であるため各企業の過去についても振り返っていきましょう。
旅行業界の社内環境ランキング
参照元:業界動向サーチ/旅行業界の売上高ランキング(2022-2023年)は上記企業の有価証券報告書に基づき作成しています。ランキングは上記企業のデータの合計または平均を表したものです。また企業名にあるホールディングスを「HD」と省略しています。(※2024年3月時点)年収は1位が日本航空、2位が阪急阪神HD、3位がANA HD、勤続年数は1位が東武鉄道、2位が名古屋鉄道、3位がKNT−CTホールディングスとなります。
勤続年数が長いということは定着率が高いということになります。一概には言えませんが、定着率が高い会社は良い会社である可能性が高いです。
また従業員数が多い会社は多様な人と関わり合うことができるというメリットがあります。
しかし多いと自分の意見が通りにくい場合もあるというデメリットもあるため、自分にとってどの環境が合っているのか考えてみましょう。
まとめ
本記事では旅行業界の仕組みや仕事内容、自己PR・志望動機の書き方などについて紹介してきました。
旅行会社の仕事は決して楽ではなく、景気や社会情勢に左右されやすいというデメリットもあります。
それでも旅行会社に就職したい、旅に関わる仕事がしたいと思っている人は、旅行業界で自分に何ができるのか、どんなキャリアを積んでいきたいかなど、もう一歩踏み込んで考えてみると良いでしょう。
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