● 不動産業界の中でも特に[ディベロッパー]の年収が高く1,000万円を超えるケースもある。
● 不動産業界の年収が高い理由は[インセンティブ制度を導入している][商品が高額である]ためである。
業界研究・企業研究を進めていくと、できれば年収の高い業界や企業に就職をしたいと考えている就活生もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では不動産業界の平均年収ランキングを紹介していきます。
そもそも不動産業界は他の業界と比較して年収が高いのか?仮に高いのであればなぜ高いのか?といった素朴な疑問についてもお応えしていますので、是非参考にしてみてください。
不動産業界とは?
ランキングを見る前にまずは不動産業界についておさらいをしておきましょう。そもそも、不動産業界とは、建物や土地といった不動産に関わる業務を担う業界のことです。
不動産業界は[ディベロッパー][マンション(アパート)][ハウスメーカー][仲介・売買][管理]の5つの業態に分けることができ、それぞれの業態ごとに、業務内容やビジネスモデル、売上単価も大きく異なります。
これらの業務を多角的に展開している企業もあれば、1つの分野に特化をしている企業もあり、事業運営の仕方によっても年収は異なります。
業種別平均年収ランキング
不動産業界の年収は他の業界と比較するとどうなのでしょうか?ここでは業種別の平均年収についてみてみましょう。
順位 | 業界名 | 年収 |
1位 | 総合商社 | 1,319万円 |
2位 | コンサルティング | 1,146万円 |
3位 | 海運 | 935万円 |
4位 | 半導体・製造装置・材料 | 835万円 |
5位 | 不動産・戸建て・マンション | 814万円 |
- | 全業界平均 | 662万円 |
※上記の業種別平均年収ランキングは、毎年東洋経済新聞社より発刊されている「会社四季報 業界地図2023年度版」の「業界別40歳モデル平均年収」の情報を用いて作成。
不動産業界の平均年収は、業界地図のランキングに掲載されている64業界中、第5位で平均年収822万円でした。全業界の平均年収が662万円であることから、比較的年収の高い業界と言えるでしょう。
次の章では不動産業界の平均年収ランキングを紹介していきます。
不動産業界の平均年収ランキング
不動産業界の平均年収ランキングは以下の通りです。
順位 | 企業名 | 年収 | 業態 |
1位 | ヒューリック | 1,904万円 | ディベロッパー |
2位 | 三井不動産 | 1,269万円 | 総合ディベロッパー |
3位 | 三菱地所 | 1,246万円 | 総合ディベロッパー |
4位 | 野村不動産ホールディングス | 1,033万円 | 総合ディベロッパー |
5位 | 東急不動産ホールディングス | 1,030万円 | 総合ディベロッパー |
6位 | 長谷工コーポレーション | 941万円 | マンション |
7位 | サンケイビル | 926万円 | 総合ディベロッパー |
8位 | 住友林業 | 898万円 | ハウスメーカー |
9位 | 積水化学工業 | 897万円 | ハウスメーカー |
10位 | 森ビル | 887万円 | ディベロッパー |
11位 | エスリード | 871万円 | マンション |
12位 | 積水ハウス | 834万円 | ハウスメーカー |
13位 | 大東建託グループ | 828万円 | アパート |
14位 | 飯田グループホールディングス | 801万円 | ハウスメーカー |
15位 | 新日本建設 | 792万円 | マンション |
16位 | タマホーム | 777万円 | ハウスメーカー |
17位 | 旭化成 | 760万円 | ハウスメーカー |
18位 | 明和地所 | 736万円 | マンション |
19位 | 住友不動産 | 713万円 | 総合ディベロッパー |
20位 | オープンハウス | 697万円 | ハウスメーカー |
※平均年収ランキングは、会社四季報及び業界地図に掲載されている不動産企業71社の中から、有価証券報告書に平均給与が記載されている25社のうち、年収が高い20位までを掲載。(2024年2月時点で最新の有価証券報告書を参照)
※参照元有価証券報告書一覧:ヒューリック・三井不動産・三菱地所・野村不動産ホールディングス・東急不動産ホールディングス・長谷工コーポレーション・サンケイビル・住友林業・積水化成工業・森ビル・エスリード・積水ハウス・大東建託グループ・飯田グループホールディングス・新日本建設・タマホーム・旭化成・明和地所・住友不動産・オープンハウスグループ・スターツコーポレーション・穴吹興産・日本ハウズイング・レオパレス21・ヒノキヤグループ
不動産業界で最も年収が高い企業はヒューリックで1,904万円でした。1位~5位までの企業は平均年収が1,000万円を超えており、これらの企業はディベロッパー事業を展開していることから、不動産業界の中でも特に[ディベロッパー]は高収入が見込める業態であると言えます。
次の章から、[ディベロッパー][ハウスメーカー][マンション(アパート)]の分野別のランキングをご紹介していきます。
ディベロッパーの平均年収ランキング
まずはディベロッパーの平均年収ランキングをみていきましょう。
順位 | 企業名 | 年収 |
1位 | ヒューリック | 1,904万円 |
2位 | 三井不動産 | 1,269万円 |
3位 | 三菱地所 | 1,246万円 |
4位 | 野村不動産ホールディングス | 1,033万円 |
5位 | 東急不動産ホールディングス | 1,030万円 |
6位 | サンケイビル | 926万円 |
7位 | 森ビル | 887万円 |
8位 | 住友不動産 | 713万円 |
※不動産業界ランキングの中からディベロッパーを抜粋してランキングを作成
不動産業界の総合年収ランキング同様、1位がヒューリックで1904万円、2位が三井不動産で1269万円、3位が三菱地所で1246万円となっています。
ランキング掲載中の企業8社平均年収は、901万円であり、不動産業界の平均年収を押し上げていることがわかります。
下記にて1位~5位の企業の紹介をしていきますので是非参考にしてみてください。
1位:ヒューリック 1,904万円|ディベロッパー
ヒューリックは創業60年以上の歴史があるディベロッパーです。東京23区を中心に好立地での不動産事業を手がけており、2008年に東証プライム上場以降、営業利益・経常利益共に最高益を更新し続けています。
2位:三井不動産 1,269万円|総合ディベロッパー
三井不動産は、総合ディベロッパーとして業界トップクラスの企業です。ビル・マンションだけでなく、商業施設や都市開発事業などを幅広く手がけています。
マンション事業をメインに手がける[三井不動産レジデンシャル]、仲介売買事業を担う[三井不動産リアリティ]、戸建て注文住宅事業を担う[三井ホーム]を傘下に持ち、いずれも業界トップクラスであり、不動産業界を牽引する存在と言えるでしょう。
3位:三菱地所 1,246万円|総合ディベロッパー
三菱地所は、オフィスビル・商業施設・ホテル・空港・分譲住宅等などの開発・運営を実施をしている総合ディベロッパーです。中核事業は、丸の内エリアを中心とした全国の主要ビジネスエリアでオフィスビルの開発・運営を手がける事業であり、エリアの魅力を高める街づくりに貢献しています。
子会社にはマンション事業にて「ザ・パークハウス」ブランドを手がける[三菱地所レジデンス]、商業施設「プレミアム・アウトレット」を手がける[三菱地所・サイモン]があります。
4位:野村不動産ホールディングス 1,033万円|総合ディベロッパー
野村不動産ホールディングスは、分譲マンションや分譲戸建て住宅・オフィスビル・商業施設などの企画開発・大型複合開発や再開発までを手がける総合ディベロッパー企業です。
「プラウド」ブランドを手がけるマンション分譲事業が主力事業であり、子会社には不動産仲介大手「野村の仲介」「ノムコム」を運営する[野村不動産ソリューションズ]があります。
5位:東急不動産ホールディングス 1,030万円|総合ディベロッパー
東急不動産ホールディングスは、都市開発事業を主とする[東急不動産]、不動産仲介事業をトップクラスの[東急リバブル]、マンション・ビルの管理を担う[東急コミュニティ]、不動産流通事業を担う[東急住宅リース][学生情報センター]の5つ会社により成り立っています。
東急電鉄から出資を受けていることもあり、東急と共同し渋谷駅周辺の開発事業も手がけています。
6位~8位の企業について詳しく知りたい人はこちらをご確認ください。
ハウスメーカーの平均年収ランキング
次にハウスメーカーの平均年収をみていきましょう。
順位 | 企業名 | 年収 |
1位 | 住友林業 | 898万円 |
2位 | 積水化学工業 | 834万円 |
3位 | 積水ハウス | 834万円 |
4位 | 飯田グループホールディングス | 801万円 |
5位 | タマホーム | 777万円 |
6位 | 旭化成 | 760万円 |
7位 | オープンハウスグループ | 697万円 |
8位 | ヒノキヤグループ | 466万円 |
※不動産業界ランキングの中からハウスメーカーを抜粋してランキングを作成
ハウスメーカーの年収ランキングでは、1位が住友林業で898万円、2位が積水化学工業で897万円、3位が積水ハウスで834万円です。
全業界の平均年収が662万円であることから、大手ハウスメーカーの年収は業界平均年収より高く、比較的高収入を得る可能性が高いことが伺えます。
下記にて1位~5位の企業の紹介をしていきますので是非参考にしてみてください。
1位:住友林業 898万円
自由設計を基盤とする注文住宅事業を展開しているハウスメーカーです。「木」を活かすことをモットーとし、住宅事業の他に、山林事業・木材の流通・製造事業なども展開しています。
海外展開に力を入れており、海外には408社の子会社・関連会社を有している点も特徴の1つと言えるでしょう。
2位:積水化学工業 834.2万円
1947年に当時新素材であったプラスチックの総合的事業化を目指して創業し、それ以降、セロハンテープなど生活やインフラに密着した素材を開発し続けています。
現在の主軸事業は、高機能材料を基にした[戸建て住宅事業]の他にインフラ基盤を支える[環境・ライフライン事業][高機能プラスチック事業][メディカル事業]です。
3位:積水ハウス 834万円
戸建て住宅の大手企業である積水ハウスは、1960年に積水化学工業から分離して設立された企業です。
省エネ住宅に力を入れており、戸建て住宅事業の他に、「シャーメゾン」ブランドをはじめとした賃貸住宅の販売や管理事業、リフォーム事業なども展開しています。
4位:飯田グループホールディングス 801万円
分譲住宅に強みを持ち、日本全国の分譲戸建住宅の3割、年間約40,000戸以上は飯田グループが販売・提供しており、分譲戸建住宅市場のシェア率は業界トップです。
分譲住宅事業の他に、マンション分譲事業・注文住宅・リフォーム事業も手がけています。
5位:タマホーム 777万円
注文住宅事業を中核として、戸建分譲事業・リフォーム事業・集合住宅事業・マンション事業などを手がけています。
営業効率・施工効率・徹底した広告戦略によりコストダウンを実現したことより、低格で良質な住宅の提供を実現している点が強みです。
6~8位の企業について詳しく知りたい人は以下をご確認ください。
マンション(アパート)の平均年収ランキング
ここではマンション(アパート)の平均年収をみていきましょう。
順位 | 企業名 | 年収 |
1位 | 長谷工コーポレーション | 941万円 |
2位 | エスリード | 871万円 |
3位 | 大東建託グループ | 828万円 |
4位 | 新日本建設 | 792万円 |
5位 | 明和地所 | 736万円 |
6位 | 穴吹興産 | 605万円 |
7位 | 日本ハウズイング | 556万円 |
8位 | レオパレス21 | 480万円 |
※不動産業界ランキングの中からアパート(マンション)を抜粋してランキングを作成
マンション及びアパート事業を主軸に展開している企業のランキングです。
1位は長谷工コーポレーションで941万円、2位がエスリードで871万円、3位は大東建託グループで828万円となっています。
上位5社は業界平均年収である661万円を超えています。企業の業務内容やビジネスモデル・業績によっても年収に濃淡がありますので、その点を理解した上で企業選びの参考として各社の年収を確認していくと良いでしょう。
下記にて1位~5位の企業の紹介をしていきますので是非参考にしてみてください。
1位:長谷工コーポレーション 941万円
長谷工コーポレーションは、マンション事業をトータル的にプロデュースしている企業です。マンションの建設・設計・流通・管理・リフォーム・賃貸・建替えといったマンションに関わるすべての事業を担っています。
マンションの施工実績は業界トップであり、日本全国のマンションの建替えの約14%を同社が担っており、マンション業界を牽引する存在であると言えるでしょう。
2位:エスリード 871万円
「不動産業界をリードする(REAL ESTATE LED)」という想いから1992年に設立しています。マンション事業を主軸としており、関西エリアを中心に新築分譲マンションの開発・販売をしています。
マンション販売のみならず管理・メンテナンスといったマンション周辺事業にも注力すると同時に総合ディベロッパーとして歩みを進めるべく、戸建事業・ホテル事業・リゾート開発などの成長拡大を進めていく方針です。
3位:大東建託グループ 828万円
大東建託グループでは、アパート・マンションといった賃貸物件の企画・設計・施工・管理・運営までを一貫しておこなっている企業です。
賃貸物件の企画・設計・施工を担う[大東建託]、賃貸物件を仲介する[大東建物リーシング]、賃貸物件の管理。運営をおこなう[大東建託パートナーズ]と3社が協働し、アパートオーナー、賃貸物件の入居者にとって最適なサポートを実施しています。
4位:新日本建設 792万円
新日本建設は、建設事業(ゼネコン)と開発事業(ディベロッパー)を融合させた「インテリジェントディベロッパー」であり、2つの事業を融合させることにより安定的な成長を実現しています。
首都圏を中心にマンションの施工・販売をしており、経常利益・自己資本比率は業界トップクラスであり、安定して長く働ける財務基盤を保有している点が特徴です。
5位:明和地所 736.4万円
明和地所は1986年に設立されたマンション専業のディベロッパーで、都心を中心に「CLIO(クリオ)」というブランドを展開しています。
土地の仕入れからマンションの建設・宣伝・販売が主な業務です。都心という競争率の高い市場の中で、スピード感を意識をした行動により、業績を伸ばしています。
6~8位の企業について詳しく知りたい人は以下をご確認ください。
不動産業界の年収が高い理由
ここまで不動産業界の業種別平均年収を紹介していきました。どの業態も比較的年収が高いことがわかりましたが、なぜ不動産業界は年収が高いのでしょうか。
ここでは、不動産業界の年収が高い理由を紹介していきます。
インセンティブ制度を導入しているため
不動産業界の多くの企業では、売上(もしくは物件の成約数など)に応じて営業担当者にインセンティブ(歩合給)を支払うインセンティブ制度を導入していることが年収が高い理由の1つです。
特に住宅やマンション販売をおこなっている企業では、このインセンティブ制度を導入しているケースが多く、制約単価の〇%を営業担当者にインセンティブとして支給することもあり、販売戸数が多い、もしくは成約単価が高ければその分多くのインセンティブを得ることが可能となります。
そのため、営業成績次第では1000万円を超える収入を得ることは充分に考えられるのです。
商品が高額なため
不動産業界ならではの特徴として商品が高額である点も年収が高い理由の1つと言えます。
不動産業界で取り扱う商品は、基本的に住宅や住宅やマンションの場合1戸あたりの単価は数千円以上が一般的です。
高額な商品設定の中には、資材や建築費、人件費なども含まれており、営業担当者にインセンティブとして還元できるだけの利益を確保できる商品単価設定ができているため、高い年収を維持できるのです。
不動産業界の求める人物像
実際に、不動産業界ではどのような人物が活躍しているのか、興味を持った人もいると思います。そこで、不動産業界で働いていくうえで適性のある人物像を3点挙げていきます。
協働ができる人
協働ができる人とは、周囲の人間と連携して仕事をおこなうことができる人のことです。
特にディベロッパーを志望している場合、土地開発という大きなプロジェクトをおこなっていくうえで、社内の人間だけではなく、社外の人間とも協力しなければなりません。
そのため、ディベロッパーになるにはチーム意識を持った協働性のある人材が求められていると言えます。
リーダーシップがある人
リーダーシップがある人とは、周りの人を束ねて牽引する人のことです。
多様な業務の総合的な管理をおこなわなければならないため、周囲へ気配りをしながらメンバーを率いていく能力が必要になります。
顧客のニーズを正しく理解できる人
その他にも[顧客のニーズを正しく理解できる人]は必要不可欠です。ハウスメーカーやマンション販売などで営業職として充実する場合、顧客は家という一生に一度あるかないかの大きな買い物をすることとなります。
そのため、顧客が最重視しているポイントは何か、顧客のニーズを満たすために必要な情報は何かを見極めて顧客に寄り添った提案をしなければ、顧客からの信頼を得ることは難しいでしょう。
信頼されるコミュニケーションを心がけ、顧客の想いを正しく理解できる人は不動産業界で働く上で必要とされるスキルの1つと言えます。
まとめ
本記事では、不動産業界の年収についてお伝えしてきました。本記事を通して不動産業界の年収が高いこと、その理由や求める人物像についても理解できたのではないでしょうか。
企業や業界を選ぶ際の指標の1つとして年収を念頭に置くことは悪いことではありません。しかし、今後社会人として働く上で、「年収が高いから」という理由だけでは長く働き続けることは難しい可能性があります。
仕事にやりがいはあるか、スキルアップは可能か、社会人としてなりたい理想像を得ることができるか、など自分自身が社会人として働き続けるために必要な軸と照らし合わせながら、最も自分に合った業界・企業を選んでみると良いでしょう。
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